全日本空輸(ANA)が2023年1月30日、羽田空港第2ターミナルの大型デジタルサイネージ(電子看板)をすべて撤去すると発表し、利用者に驚きが広がっている。

ANA広報部は31日、J-CASTニュースの取材に「スマホやアプリでお客様が必要な情報を入手していただくスタイルにシフトしていくということを進めており、その一環となります」と、背景にはDX(デジタルトランスフォーメーション)戦略があるとした。

「ANA Smart Travel」普及推進へ

ANA広報部によれば、4つある保安検査場(A〜D)上部にそれぞれ設置する大型デジタルサイネージを、2月9日で撤去する。同社が30日にツイッターで発表すると注目を集め、利用者の間で混乱が広がっている。

広報部は撤去理由を「契約更新のタイミングということと、表示できる便情報も直近1時間程度ということもあり撤去を決めました」と話す。

C、Dのサイネージは2010年に、A、Bは12年に設置していた。サイネージはANAが所有するが、保守業務をディスプレイ業者に委託していたという。

SNSでは「無いと困ります」「急いでいる時に『パッ』と見られるのが大切なのに」と困惑は少なくなく、経費削減との見方もあるが、「会社としてスマホやアプリでお客様が必要な情報を入手していただくスタイルにシフトしていくということを進めており、その一環となります」と理解を求めた。

ANAは22年5月から、航空券・ホテルの予約やチェックインなどがスマホで完結できる「ANA Smart Travel」を推進している。サイネージと同じ情報は「ANAアプリ」でも確認でき、急な搭乗口の変更や出発の遅延にも対応する。

井上慎一社長は当時の会見で「コロナ禍で多くのお客様の声に向き合い、考え、全員で議論を行いました。その結論がANA Smart Travelです」と社会のデジタル化の加速に対応するためだと強調し、「決して経費を削って、人を削ってという世界ではない」と主張していた。普及のため、国内線の自動チェックイン機437台を2023年度中にすべて廃止する方針で、大型デジタルサイネージの撤去もそれに続く決定となる。

空港内の小型・中型モニター34台は引き続き設置し、撤去後も混乱を最小限に抑えたい考えだ。