2004年7月のデビュー以来、2005年11月にリリースされたセカンドアルバム「CANDLE」まで、短期間でコンスタントにリリースを重ねてきたdoa。前作から9ヶ月の期間を経て、8月23日に7枚目となるシングル「ゼロの気持ち」をリリースする。今作の作詞を担当した大田紳一郎(ボーカル、ギター)と、作曲および編曲を担当した徳永暁人(ボーカル、ベース)に、彼らにとっての“ゼロの気持ち”とは何なのかを聞いてみた。

■前作のリリースから今作までの9カ月間は、どんな活動をされていたのでしょうか?

徳永暁人(以下、徳永):セカンドが出た後から、ずーっとレコーティングをしていて、去年の暮れとか正月とかも。大体20曲位ストックが出来るくらいにいっぱい作って。セカンドまでには、やり遂げたことや、自分達で見えてきたこととかあったんですけど。「じゃあ、そこから先どうしようか?」といった時に、やっぱり欲も出てくるし、今までのこととかも考えると、それを守りたいとか、壊したいとか、色んな思いがあって。煮詰まった時期があったりとか、色んなことを試さなきゃいけない時期があったりとかして、ずっとそれをやってましたね。

■20曲ほどの候補曲がある中で、なぜ今回この「ゼロの気持ち」という曲をシングルに選ばれたのですか?

徳永:やっぱり、それを打破してくれた曲だったんですね。特にメッセージ、詞の部分で「ゼロの気持ち」というのが、ちょうど僕らの状況にすごく当てはまって。「今、僕らが1番表現したいことだな」と思って決めました。

■タイトルはどの様にして決まったのですか?

大田紳一郎(以下、大田):僕の中で色々と曲を作ってきて思ったことというか、色々と煮詰まったりもしたんですけど、一回doaの原点に帰ろうと思ったんですよ。「このままやっても多分、良いものにはならないだろう」と感じた時があって。それで、doaのファーストシングルから聴いてみて、「俺らは最初から何を言ってきたのか」という所に帰ってみようと思って、「ゼロの気持ち」というのが出たわけです。

■年齢や経験を重ねてくる内に、ふと変わってしまったような自分に気付かされる場面があったり、単純に“子供=純粋”ではないと思いますが、大人になって“無くしてしまったもの”だったり、“失いたくないもの”なのかなと。そういうものに気付かされる場面はありますか?

大田:ありますね。曲を作ってたりしててもそうですけどね。色んな音楽を聴いたり、色んな人の意見を聞いたりすると、「自分が最初に好きだったものは何だったんだろう?」とか思うし。僕は今、doaという帰る場所があるんですけど、例えばサポートメンバーとか、そういう仕事ばっかりやってたとしたら、「自分はどこに帰って、本当は何がやりたかったんだ?」とか。確かに、音楽をやってることは幸せなんだけど、そういうのが悩みみたいな人もいるし、僕もそうだと思うし。例えば、アマチュアで好きな音楽をやっていたとしても、それはそれで考えることはまたあると思うですよね。だから“原点”みたいなとこかなって。

徳永:音楽とか以前の問題で、生きてて、何の仕事をされてる方でも、学生さんもそうかもしれないですけど、「ここまで行ったら自分はOK」というのって難しくないですか?出世が目標だったら、例えば「部長になったらオレはOKなんだ」とか、「社長までいかなかきゃ嫌だ」とか、貯金だって「いくら貯めなきゃ嫌だ」とか。物質世界のそういうものってすごく難しくて、大人になっていけばなっていくほど。最近、そういうことを考えるようになったんですよね。でも、そういうことじゃなくて、もうちょっと“フラットな気持ち”、“ゼロの気持ち”。だから、“ゼロ”っていうのは、ここ(一番下)じゃなくて、実はここ(真ん中)で、マイナスもあるわけですよね。マイナス50の時の気持ちもあるし、プラス50の時もあるし、100の時もある。マイナス50だったら“ゼロ”に持ち上げなきゃいけない、浮かれててもいけない、とか。その“フラットな状態”というのに自分が立ち返ると、本当に病人を治したくてお医者さんになった人のゼロの気持ちとか、良い世の中を作りたくて政治家になった人のゼロの気持ちとか、そういうことでみんなが生きてたら、本当はすごく世の中が上手くいくよな、ってよく感じてますね。

■初心や、初期衝動ですね。

徳永:はい。