アメリカの最新ごはん事情vol.17】1989年に渡米し、「セレブ御用達プライベートシェフ」としてアメリカで料理を作り続けてきた明比玲子さんに、日本ではなかなか知ることができないアメリカの食事情を教えてもらいます。第17回目のテーマは「餅」。アメリカ人もお餅を好むのでしょうか?オススメのお餅スイーツレシピも教えてもらいました。

アメリカ人は「餅」が苦手?


学生時代から、日本で生まれ育ち和食大好きなアメリカ人の友人達は、「お餅はちょっと苦手」と言っていました。そして私がニューヨークに住み始めた頃は、アメリカでお餅に出会えるのはお正月前の日本食料品店だけでしたが、異変が起きたのは20年近く前、あるフローズンヨーグルトのお店でのこと。10種類ほどあるトッピングの中に、なんと「Mochi」があったのです!アメリカのお店で「Mochi」という言葉を聞いたのは、この時が初めてでした。

でも、「Mochi」という言葉は便宜上のもので、本当は求肥(ぎゅうひ)です。アメリカ人には「Mochi」の方が覚えやすいのでこの名前にしたのでしょう。

アメリカで「餅」が流行ったきっかけ



その後ネット上では、もち粉を使ったお菓子を時々みかけましたが、今の爆発的な「Mochi」流行を決定的にしたのは、2017年の夏にホールフーズというスーパーマーケットが出した、「Mochi アイスクリーム」専用の冷凍庫でした。ちなみに、「Mochi アイスクリーム」とは、日本で言う「雪見だいふく」のことです。


自分好みのフレーバーを、好きなだけビニール袋に入れて購入できるようになっていて、1つ2ドルでした。残念なことに、今は新型コロナの関係で1つずつパックされていて、専用冷凍庫も撤去されてしまいました。

とはいえ、この専用冷凍庫が置かれて以来、他の「Mochi アイスクリーム」もたくさん発売され始め、今や、私が出入りをしているセレブの家の冷凍庫には必ず常備されていると言っても過言ではないです。「mochidoki」というMochiアイスクリーム専門店もありますし、ある有名イタリアンのレストランでも、「Fior di latte Mochi」(牛乳が原材料のモッツァレラチーズで作ったMochiアイスクリーム)がデザートに提供されていて、ここの名物です。

どうしてこんなに流行ってる!?


ここまで流行した理由ははっきりとは分かりませんが、アメリカ人がアジア料理を好むようになり、自然とあの柔らかくて甘い求肥「Mochi」にも慣れ親しんでいき、「手で食べられるアイスクリーム」という手軽さが気に入られたのではないかと思います。

今やもち粉を使ったクッキー、ケーキー、ブラウニー等も人気の的です。

Mochiアイスクリームを作ってみよう


今回は、ニューヨークのセレブの間で大流行しているMochiアイスクリームを、これまた去年人気の高かったウベフレーバー(紫山芋)と、日本人には馴染みの深い黒胡麻フレーバーで作ってみます。

Mochiアイスクリーム


【材料】 (約6個分, サイズによって変わる)

<ウベフレーバー>

バニラアイスクリーム……2カップ

ウベパウダー……約大さじ3 (パウダーによって違うので、色と味を見ながら調整)

<黒胡麻フレーバー>

バニラアイスクリーム ……2カップ

黒胡麻ペースト……約大さじ4 (好みにより調整)



もち粉(又は白玉粉)……80 g

砂糖……100 g

水……160 cc

コーンシロップ(又は水飴)……小さじ1+1/2

コーンスターチ……適量

【作り方】

1)バニラアイスクリームを少し柔らかくして、自分の好みのフレーバーを入れてよく混ぜ合わせる。型がある場合は、ここで型に入れて完全に凍らせる。型に入れない場合は、大きい容器に入れて冷凍し、ある程度固まったら、アイスクリームディッシャーで同じ大きさのアイスクリームを作り、天板などに乗せて冷凍庫で凍らせる。

2)電子レンジ可のボウルに、もち粉と砂糖を混ぜ合わせる。

3)2に水を少しずつ加えて、だまがないように混ぜ合わせ、最後にコーンシロップを入れて混ぜる。色をつけたい場合は、ここで色をつける。

4)3にふんわりとラップをかけて、600Wのレンジに2分ほどかける。レンジから出して、よくかき混ぜる。

5)4の状態によって、15〜30秒ほど、レンジに再度かける。Mochiに透明感と艶がでるまで、4と5の工程を繰り返す。

6)透明感と艶が出てきたらできあがり。見た目でよくわからない場合は、味見をしてみて、粉っぽくなければできあがり。

7)クッキングシートにあらかじめコーンスターチをたっぷりかけておき、そこに7を広げる。

8)綿棒にもしっかりコーンスターチをまぶし、ゆっくりと広げていく。一気に広げようとすると、Mochiが綿棒にくっついてしまうので、ゆっくり広げましょう。

9)包みたいアイスクリームの量から広げる大きさを考えて、十分な大きさに広がったら、丸い型で抜くか、ナイフでアイスクリームの数に合わせてMochiを切り分ける。

10)アイスクリームをMochiで包む。生地がなるべく重ならずに薄くなるように、分厚くなったり余ったら、ハサミで切るとよい。そして、ラップで1つずつ包み、反対側で捻って冷凍する。アイスクリームが溶けてしまうので、この工程は素早く行いましょう。

11)最低2時間冷凍したら、完成!

今回は、市販のバニラアイスクリームを使用しました。フレーバーはお好みで変えてみてください。材料のコーンシロップを入れることで、冷凍してもMochiがやわらかめに仕上がります。また、4〜5までの工程はフライパンを使ってもできますが、焦がさないように気をつけて。

明比玲子

兵庫県芦屋市生まれ。1989年に渡米し、ニューヨークのシェフ養成学校で学んだ後、本格的に料理に取り組む。著名レストランでパティシェとして経験を積み、アメリカ人と日本人に料理とお菓子の指導も行う。日本の料理雑誌への寄稿やフードスタイリングも行いつつ、2008年からは、コンサルティングの仕事なども兼ねながら、ニューヨークセレブのプライベートシェフとして、活躍中。

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