ユーザーが抱く「EVへの懸念点」は

 政府が掲げるグリーン成長戦略では、2035年までに乗用車の新車販売で電動車を100%とする目標があります。
 
 しかし、今年おこなわれたあるアンケートでは、9割弱が「EV車の購入予定はない」と回答したという結果が出ているといいます。
 
 EVについてユーザーが懸念するポイントにはどういった点があるのでしょうか。

ユーザーが抱くEVへの懸念点は

 政府は、2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けて「グリーン成長戦略」と呼ばれる産業政策を掲げています。

【画像】「ソファじゃん!」軽自動車とは思えない上質感! 軽EV新型「サクラ」の内装を画像で見る(76枚)

 そのなかで、自動車産業においては「2035年までに乗用車の新車販売は電動車100%」との表明を明らかにしています。

 ここでいう「電動車」とは、電気自動車(EV)のほか、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)の4種類のクルマを指します。

 このため政府は、対象となる電動車を新車で購入することで、補助金を受けられる優遇措置を取るなど、電動車の普及を促す動きが進められています。

 そんななか、駐車場予約アプリ「akippa」を運営するakippa株式会社が全国のakippaユーザー1079名を対象に、EV(電気自動車)に関するアンケート調査を実施。

 調査は2022年7月下旬におこなわれたものですが、今回のアンケート結果からユーザーのEVへの支持について、意外な結果が出たことが明らかとなっています。

 まず「EV(電気自動車)を欲しいと思いますか」の質問では、「欲しい」「とても欲しい」はわずか18%、「今は欲しくないが将来的には欲しい」が47.4%と半数弱を占める結果に。

 年代別にみると20代の半数以上の52.2%が、「欲しいとは思わない」と回答しており、多くのユーザーはEV車を欲しいと思っている人が少なく、なかでも若年層である20代の興味関心が低いということが分かりました。

 また、EV車を「欲しいとは思わない」または「今は欲しくないが将来的には欲しい」と回答した人の理由には、「クルマを買い換える予定がない(25.7%)」が最も多い結果となり、続いて「自宅駐車場(月極含む)で充電ができない(19.7%)」、「出かけた先で充電できる場所が少ない(19.3%)」と、充電に関する理由をあげる人が40%を占めている結果に。

 さらに「EVの購入予定はありますか」という質問では、86.3%もの人が「購入予定はない」と回答しています。

 このように、今回のアンケートからEVへの支持者が少なく、クルマの買い換えの予定のほか、充電に関することが懸念点として挙げられるということが分かっています。

 実際にSNSでユーザーの声をみると、「自宅車庫に充電器を設置できない場合は選ばれないだろう」「自宅で充電できないと不便だよなあ」「現時点でEVはファーストカーにはなり得ない」など、EV車に対する多くの懸念点を挙げるユーザーの声が見られました。

 EV充電器は、全国に普通充電器は21100基、急速充電器は8400基と、およそ約3万基ほど設置されているといいます。(2022年6月末時時点、ゼンリン調べ)

 設置場所には、高速道路のサービスエリアやディーラー、道の駅など、各所に設置されているようですが、ユーザーからは「そもそも探すのに一苦労」「充電のストレスが大きすぎる」との声も寄せられています。

※ ※ ※

 一方で、令和4年度第2次補正予算案では「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(EV、PHV、FCVなどの車両購入に対する補助金)」について、700億円の補正予算が成立したことを2022年12月2日に明らかにしています。

 これは、対象となる電動車を新車で購入すると車両価格に応じて補助金が支給されるものです。

 令和 4 年度予算の「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」は、11月中にも予算に達して終了すると見込まれていましたが、今回新たに補正予算が成立されました。

 上記のアンケートでは、EV車を支持するユーザーが少ないということが目に見えて分かる結果となりましたが、今後補助金が後押しとなりEV車の購入希望者が増える可能性があるかもしれません。

 しかし、昨今の充電に関する不安のほか車両価格や充電費用などに関して懸念点を抱くユーザーが多いというのが実情といえるでしょう。

 より電動車が普段使いしやすい環境の整備がすすめられていくことが、今後の課題といえます。