カタール放送局の女性記者が取材「なぜ、日本のサッカーファンは試合後に清掃するのか?」

 サッカーのカタール・ワールドカップ(W杯)は日本人サポーターが試合後の客席でゴミを拾う様子が話題になり、今や各国のサポーターに普及した。中東メディアは日本人がなぜゴミ拾いを行うのか、会場で直撃。取材した女性記者は複数のサポーターから出てきた「ATARIMAE(当たり前)」の精神に感銘を受けている。

 日本が戦ったドイツ戦、コスタリカ戦はもちろん、日本とは関係のない開幕戦から客席で見受けられ、話題になっている客席のゴミ拾い。フランス、モロッコ、ガーナ、サウジアラビアなど他国のサポーターも追従し、海外メディアでも多く取り上げられている。

 そんな中で、カタールの放送局「アルジャジーラ」の英語版ツイッターは「なぜ、日本のサッカーファンは試合後に清掃するのか?」と題した動画を公開し、日本人サポーターがゴミ拾いをする理由について、会場でサポーターに直撃した。

 同局の女性記者、サンドラ・ガスマンさんが、会場外で日本人サポーターを取材。「あなたたちは世界中で有名です」「なぜ日本のファンは清掃をするのですか?」などと質問した。注目されたのは「当たり前」という日本語だ。

 一人の女性ファンは「言われているのは、使う前より使った後を綺麗にすること。それは当たり前。いつも感謝の気持ちを持つことを習っています」と言い、複数のサポーターが使った「当たり前」の言葉にガスマンさんも「ATARIMAE?」と関心を示した。

 意味を知ったガスマンさんは「Atarimaeは史上最高の言葉ですね」と感銘を受け、字幕でも「当たり前の定義:obvious, common, normal」と紹介された。

「世界にもっとこれが広がればいいと思っています」

 映像内で、ガスマンさんは同局のプロデューサーであるアデルさんと食事をしながら「私たちは日本とつながりがあります」と話した。ガスマンさんは日本生まれ日本育ち、アデルさんは片方の親が日本人であるという。そして、再び紹介されたインタビューではサポーターたちがゴミ拾いの“起源”を明かした。

 あるサポーターは「日本の伝説的な選手、ヒデトシ・ナカタから始まっていると思います。彼は酷いファウルであったとしてもいつも立ち上がる選手に手を差し伸べると言っていました。外国でプレーするときは日本全体を代表しているのだと話していました」は言った。

 また、別のサポーターは「対戦相手にも敬意を示します。空手や武道などでは勝った喜びを出しません」と言い、中田英寿のポリシーや日本ならではの武道の精神が理由にあると、思い思いに回答。「世界中にもっとこれが広がればいいと思っています」という答えで映像は締めくくられた。

 大会のたびに話題になるゴミ拾いはカタールでもまた高い関心を持たれている様子だ。

(THE ANSWER編集部)