「第73回NHK紅白歌合戦」の出場者が2022年11月16日の夕方に発表された。その中には、「欅坂46」時代を含め前年まで6年連続で出場していた「櫻坂46」の名前がなかった。グループのキャプテンを務める松田里奈さん(23)はブログで同日、「私自身とてもとても悔しい思いでいっぱいです」とした上で、ファンに対して「申し訳ない気持ちでいっぱいです」と呼びかけた。

すると、このブログを読んだファンからは、「そもそも、櫻坂の紅白落選はキャプテンが謝罪することではないのだけど」「櫻坂46さん、紅白出られなかったことに関して謝罪とお気持ち表明しなくていいからね」といった、謝罪は不要とするファンの声がツイッターに上がった。松田さんのメッセージは一部メディアも報じるなど注目を集めた。

「謝らないで AKBの努力は伝わってるよ」

AKB48でも同様の動きが見られた。16日には「第64回 輝く!日本レコード大賞」の各賞入選者も発表されたが、前年まで12年連続で大賞候補の優秀作品賞を受賞していたAKB48の名前はなかった。

グループの総監督を務める向井地美音さん(24)はツイッターで同日、「悲しい思いをさせてしまって、歴史を途切れさせてしまって、ごめんなさい」と、レコード大賞と明記はしなかったものの謝罪。メンバーの岡田奈々さん(25)もツイッターで、「自分たちの世代で歴史を途切れさせたこと本当にごめんなさい」と同様に謝罪した。

これらのメッセージに対し、ファンから「メンバーが謝罪してるの見ると悲しくなるから、謝らないで AKBの努力は伝わってるよ」といった声が上がり、2人のツイートは一部メディアでも報じられた。

両グループのファンから「謝罪はやりすぎだ」という旨の指摘が盛んに出た今回の落選劇。なぜメンバーは謝罪したのか。謝罪に何らかの意味はあるのか。J-CASTニュース編集部はプロアイドルヲタクとして知られるブレーメン大島氏に見解を聞いた。

近年のAKBは「確実に話題になりにくくなっています」

大島氏は、まずレコード大賞の優秀作品賞落選に対するAKB48メンバーの謝罪について、ファンに対しての呼びかけというよりは、世の中全体に対するアピールの意図が感じられると指摘する。その理由として、AKB48は近年の活動そのものが世の中から必ずしも強い注目を浴びていないのではないかとした。

「AKBの向井地美音さんや岡田奈々さんによる『レコード大賞落選についての謝罪ニュース』を聞いた世間の方はどう思ったでしょうか? 私の想像ですが、恐らく、『え? AKBって12年も連続でレコード大賞に入選してたの?』といった思いを抱いたのではないでしょうか?」

大島氏は、謝罪することでニュース化され、世の人々の目に触れることの意義を説明する。

「近年のAKBは前田敦子さんや指原莉乃さんがいたころに比べれば、どう見ても勢いは弱く、以前に比べれば確実に話題になりにくくなっています。しかし、今回、向井地さんらが謝罪したことで、AKBという名前がメディアに取り上げられ、『謝罪する必要はない』といった反響を呼びました。つまり、過剰とも言える謝罪を行い、一定の宣伝効果を期待した可能性はあります」

また、AKB48が落選した理由について、大島氏は「楽曲の売り上げと世の中における認知度が選考基準に達しなかったからではないか」と推測している。

櫻坂46の謝罪は「ファン向けのメッセージ」か

一方、紅白歌合戦落選に対する櫻坂46メンバーの謝罪について大島氏は、世の中へのメッセージというより「ファンに向けたメッセージ」ではないかと指摘。その根拠として、2022年に入って、櫻坂46(欅坂46時代を含む)の一部卒業生の行動がファンの間で物議を醸したという事情があると説明した。

その上で、ファンの間で物議を醸すという状況が「紅白側に嫌われた」可能性を否定しきれないとキャプテンの松田さんが考え、その思いが「過剰とも思える謝罪」となった可能性を指摘した。

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)