タバコ大手の英インペリアル・ブランズ(以下、インペリアル社)の日本法人、インペリアル・ブランズ・ジャパン(東京都港区)は、国内で展開している海外製の紙巻きタバコ「ウエスト」「ダビドフ」「ゴロワーズ」「ジタン」の4ブランドの販売を終了すると公式サイト上で発表した。

同社は2010年代後半に電子タバコや加熱式タバコの国内販売にも乗り出していたが、いずれも21年に撤退。紙巻きタバコ事業に注力するとしていた。

日本文化とのつながりも

インペリアル社は1901年にイギリスで設立。2000年代にはドイツのレームツマやスペインのアルタディスなど世界各国のタバコ会社を買収し、規模を拡大してきた。13年には日本法人のインペリアル・タバコ・ジャパンを設立し、20年に現社名へ変更した。英調査会社ユーロモニターインターナショナルによると、インペリアル社の19年の紙巻きタバコの世界シェアは日本たばこ産業(JT)に次ぐ5位。

インペリアル・ブランズ・ジャパンは10月下旬に公式サイト上で、国内で取り扱っている紙巻きタバコ「ウエスト」「ダビドフ」「ゴロワーズ」「ジタン」の4ブランドの販売を、取扱店の在庫をもって順次終了すると発表した。店舗によっては既に販売終了となっているケースもあるとし、同社は「長年にわたり多くの皆さまからご愛顧いただきましたこと厚く御礼申し上げます」としている。

終売ブランドの中でも「ゴロワーズ」と「ジタン」はフランスを代表するタバコとして知られる。ゴロワーズを題材にした故・かまやつひろしさんの楽曲「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」は多くのアーティストがカバーした名曲として有名だ。また、宮崎駿監督のジブリ映画「紅の豚」では、主人公のポルコ・ロッソが「ジタン」を愛煙するシーンが描かれるなど、日本文化とのつながりも深かった。

4ブランドの終売発表を受け、ツイッター上では「めちゃくちゃショック」「残念だねぇ」「寂しくなる」などと惜しむ声が広がった。

同社は18年6月に電子タバコ「myblu」(マイブルー)、19年5月に加熱式タバコ「PULZE」の国内展開をはじめたものの、21年6月に販売を終了。同年4月の発表ではウエストなど紙巻きタバコ事業に注力していくとしていた。