東京で最も急勾配とされる坂道とは、どのようなものでしょうか。前後に車止めがあり、車両は通れないようになっていますが、その車止めが如実に急勾配を示していました。

東京で最も急とされる坂道「37%」

 東京で「最も急な坂道」とされる場所は、まさに、想像以上の感覚でした。


東京で最も急といわれる37%勾配を示す標識(乗りものニュース編集部撮影)。

 坂があるのは多摩地区の北西に位置する東大和市。東京の水がめである多摩湖(村山貯水池)のすぐ南側です。周辺は狭山丘陵の傾斜地に住宅が立ち並んでおり、丘陵の上の湖岸道路(多摩湖通り)と、その下の谷筋の道(湖畔通り)を結ぶ路地のひとつが、その坂です。

 湖岸道路からその路地へ入ると、下り坂の途中で「37%」という勾配の標識が現れます。これが「東京で最も急坂」と呼ばれるゆえんです。

 37%は、酷道として有名な奈良と大阪を結ぶ国道308号「暗峠」の最大勾配と同等。100m進むと37m上がる(下がる)という意味です。高さ37mはマンションの12階に匹敵するといわれます。

 とはいえ、標識が立っているあたりは最急勾配区間ではありません。そこから少し先へ進むと、あたかも崖のような、坂の下がよく見えないほど急になっているのがわかります。

 それとともに、2本の門型の車止めが現れます。あまりに急なためか、車両が通れなくなっているのです。

あり得ない角度で立っている車止め

 最急勾配区間は10mあるかないかというほど短く、道路の中央部は、歩行者のため人ひとり分ほどの幅で階段状にくり抜かれています。その左右の傾斜は、確かに立っていられないほどで、小走りだと「停まれない!」と思うかもしれません。

 最急勾配区間の下にも、湖畔通りからの車両をブロックする車止めが2つあるのですが、ちょっとおかしな立ち方をしています。地面から垂直に立つのではなく「傾斜に垂直」、つまり、横から見ると少し寝かせたように立っているのです。

「この傾斜を降りているあいだ、体はこんなに前のめりな角度になっているのかも……」と思うとともに、停まれなくなった人や自転車を「車止めで受け止めてやる!」という気概のようなものも感じました。

 周辺には、湖岸道路と下の湖畔通りを結ぶ路地がいくつもあり、この路地の西側にはクルマも通れる28%勾配の標識が立つ急坂もあります。この一角は、周辺のなかでも古く、1960年代の航空写真をみても、すでに造成されていることがわかります。現行の道路構造令が制定される前の、古い道といえます。

 一方、37%勾配のある路地からすぐ東側の一角は、後から造成されており、急坂にも変化が見られます。37%、28%勾配の道とも、まっすぐの急坂なのに対し、こちらは道の幅もやや広く、勾配を稼ぐためか、道路をあえてクランク状に切りまわしています。見通しは悪くなるものの、少しでも通行しやすくするための工夫でしょう。