30日、日本テレビ系「金曜ロードショー」(夜9時〜10時54分)視聴者リクエスト企画5弾として放送される『アダムス・ファミリー』(1991)。不気味でチャーミングなお化け一家の中で、ひと際存在感を放っているのが手首から先だけのキャラクター“ハンドくん”だ。

 本作は、故チャールズ・アダムスが雑誌「ニューヨーカー」に連載した人気漫画を原作に、奇怪な城のような館で暮らすお化け一家の不気味でおかしいライフスタイルを描く物語。監督は『メン・イン・ブラック』シリーズなどのバリー・ソネンフェルド。撮影監督として活躍してきた彼が、初監督作にして世界で大ヒットを記録。続編『アダムス・ファミリー2』(1993)も制作された。第1作では、一家の主ゴメズ(ラウル・ジュリア)の25年前に失踪した兄フェスター(クリストファー・ロイド)が現れたことから巻き起こる騒動が描かれる。

 アダムス家で暮らしているのはゴメズのほか、妻モーティシア(アンジェリカ・ヒューストン)、長女ウェンズデー(クリスティナ・リッチ)、弟パグズリー(ジミー・ワークマン)、祖母グラニー(ジュディス・マリナ)、そして執事ラーチ(カレル・ストリッケン)とハンドくんの7人。

 アダムス一家で人以上に気の利く住人、ハンドくん。主にゴメズのそばにいて、チェスの相手をすることも。手話、モールス信号で意志を伝え、マッサージも得意。せっかちな性格なのか、いつも忙しく屋敷内を動き回っている。一応、所持品だってある。

 英語では「Thing」と表されるハンドくんを演じているのは、全米で大人気のマジシャン、クリストファー・ハート。1987年のニューヨーク・マジック・シンポジウムでゴールドカップを獲得して注目を浴びていた。撮影では、ハンドくんのまるで感情を持っているような繊細な動きを表すため、パペット・テクニック、アニメ・テクニックに加えブルー・スクリーン、ロトスコープ(実写映像をトレースする手法)の技術などが用いられたという(『アダムス・ファミリー』劇場パンフレットより)。

 なお、続編では「前作以上」の表現を目指し、スタッフはハンドくんに走らせたり、車を運転させたり、ひきつらせたり、クスクス笑わせたり(!)とあらゆることをするために15もの人形を用意(『アダムス・ファミリー2』劇場パンフレットより)。続編ではアクロバティックなローラー・スケートのシーンが展開される。(編集部・石井百合子)