渋谷に平置き駐車場は見つからない!?

 現在、都心部において「月極駐車場が見つからない問題」が深刻化しているといいます。
 
 その背景には、そもそも都心部には駐車場が少ないことに加えて、コロナ禍でクルマ移動をするユーザーが増えたことなどが挙げられます。

機械式駐車場には高さ制限があり背が高いクルマは駐車できないことがある… そのため背の高いクルマは平置き駐車場を探さなければならない

 ただ、港区や千代田区などでは、ある程度の予算を覚悟すれば駐車場を見つけること自体は難しくありません。

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 一方、渋谷駅周辺では、SUVやミニバンなどのハイルーフ車(全高1550mm以上)のクルマを契約できる月極駐車場は皆無となっており、一部のユーザーを困らせています。

 渋谷駅周辺で月極駐車場を探しているというある男性は次のように話します。

「私が保有しているSUVは全高が1700mmを超えるため、基本的には平置き駐車場がベストです。

 私が住んでいるマンションには数台の平置き駐車場が用意されているのですが、予約待ちが相当な数になっており、私は予約すらできませんでした。

 そこで近隣の駐車場を探したのですが、ハイルーフ車が入庫可能な平置き駐車場はほとんど空いておらず、かろうじて見つけられたものは11万円という超高額なものでした。

 これまでの相場から、4万円から5万円程度を想定していたため、さすがに手が出ません」

 一般的に、駐車場の価格はその地価に比例します。日本で最も人の集まる場所のひとつである渋谷は、当然地価も国内トップクラスであることから、駐車場の価格も高額になるのはやむを得ないようにも感じます。

 一方、この男性は次のように続けます。

「ただ、ハイルーフ車でなければ比較的割安な駐車場を見つけることもできます。

 例えば、渋谷駅徒歩1分で2万円台というのはめずらしくありませんし、少し歩けば1万円台のものもあります。とにかく、ハイルーフ車の駐車場が見つからなくて困っています」

 この男性の話を裏付けるように、駐車場仲介会社の担当者は次のように話します。

「渋谷駅から徒歩圏内に限定すると、現在ご案内できる平置き駐車場はほとんどありません。

 道玄坂にある立体駐車場の平置き部分や、高級ホテルの地下駐車場などにはわずかに空きがあるようですが、およそ8万円以上となっているほか、法人契約専用となっているなどさまざまな制約があります」

平置き駐車場が少ない「渋谷ならではの理由」とは

 では、なぜこれほどまでに平置き駐車場を見つけることが困難となっているのでしょうか。

 渋谷区内の不動産関係者は次のように話します。

「再開発の進められている渋谷ですが、実際には築40年を超えるような古いビルも多いのが実情です。

 そうしたビルにも機械式駐車場が備わっている場合は少なくありませんが、ほとんどの場合、全高1550mm以下専用のものとなっています。

 ハイルーフ車に対応している新型の機械式駐車場を導入するのは、ビルオーナーにとっても大きな負担です。そのため、ハイルーフ車を駐車できる場所がなかなか増えていません。

 また、最近では、平置きの月極駐車場を運営していたオーナーが、時間貸し駐車場へと業態変更する例も多く見られます。

 その理由は、単純に時間貸し駐車場のほうが収益性が高いということのようです。

 加えて、渋谷は流行に敏感な方が多い街です。その点では、大企業や官公庁などによるセダンの契約の多い港区や千代田区よりも、現在のトレンドとなっているSUVを駐車したいというユーザーは多いと思われます。

 さらに、アパレル関係やクリエイティブ関係の企業も多く、商品や機材を積載するためのバンが必要となる場合も少なくありません。

 こうしたことから渋谷では、平置き駐車場の需要はとくに高いということも関係しているのではないかと思います」

都市部では古いタイプの機械式駐車場が多いが…今後改善されるのか?

 つまり、平置き駐車場そのものが少ないという供給側の事情に加え、平置き駐車場を求めるユーザーが多いという需要側の事情が重なり合った結果、渋谷駅周辺では月極契約のできる平置き駐車場が極端に少ないという問題が起こっているようです。 

※ ※ ※

 現在の自動車業界のトレンドを見ると、SUVが今後の主流となることは確実視されています。

 つまり、平置き駐車場やハイルーフ車対応の機械式駐車場に対する需要はさらに加速することが予測されています。
 
 一方、現在渋谷駅周辺では大規模な再開発がおこなわれています。

 それによって平置き駐車場やハイルーフ車対応の機械式駐車場の供給量が増えれば、こうした駐車場事情も少しは改善するかもしれません。