製作・配給:東映ビデオ
製作プロダクション:特撮研究所
9月1日(木)より新宿バルト9ほか全国公開

(C)2022東映ビデオ

■幽霊と酸欠という異なる恐怖を融合!『ザ・ディープハウス』

〇ストーリー
世界各地の廃墟などをアップし登録者数を増やしている YouTuber カップルのティナとベンは、撮影を目的に、フランスの郊外にある湖に沈められた曰くつきの屋敷にやって来た。湖畔で知り合ったピエールから場所を案内してもらい水面下に潜ると不気味な屋敷が彼らを待っていた。屋敷内を探索、撮影していると不思議な現象や幻影が次々と襲って来る。危険な雰囲気を察知し酸素量も少なくなり屋敷から出ようとするが、いつの間にか出口が塞がれていた。パニックとなる彼らの目の前に、想像を絶する恐怖が……。

〇おすすめポイント
なぜ沈んでいるのか、沈んでいるのに原型をとどめたものが多く、違和感だらけの謎の屋敷。水中でなくても怖いものであふれているというのに、怪奇現象が多発し始める。得体のしれないものからの恐怖を描いたスーパーナチュラルホラーと、酸欠の心配が常に付きまとう水中サスペンスがまさかの融合。そしてストーリー自体はいたってシンプル。考え出すと理解できない点も多い作品ではあるが、そんな違和感もスパイスとして効いている。

〇作品情報
監督・脚本:ジュリアン・モーリー、アレクサンドル・バスティロ
出演:ジェームズ・ジャガー、カミーユ・ロウ、エリック・サヴァン、アレクシス・セルヴァース、アン・クレサン、キャロライナ・マッシーほか
配給:インターフィルム
9月16日(金)より、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー

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■何かが変、でもどこかハートフル『LAMB/ラム』

〇ストーリー
アイスランドの人里離れた山間部。この地で静かに暮らすのは、羊飼いの夫婦イングヴァルとマリア。ある日二人が羊の出産に立ち会うと、羊ではない“何か”が産まれてくる。言葉を失い目配せし合う二人だが、衝撃も束の間、二人は自身の子どものようにその存在を受け入れると、過去に亡くした娘の名前から"アダ"と名付け、育てることに決めたのだ。アダとの家族生活は夫婦に生きがいをもたらすが、我が子を取り返しにやってくるかのように、連日連夜けたたましく鳴き続ける母羊のことが、マリアは邪魔で仕方がない。ある時ふと目を離した隙にアダが姿を消す。不安に苛まれながら必死に探し回ると、そこには薄暗い霧の中で佇む母羊と、アダの姿があった。自宅へアダを連れ戻してからも、諦めずに呼びかけ鳴き続ける姿に業を煮やしたマリアは、母羊へ静かにライフルを向けたのだった……。

〇おすすめポイント
人間が死に絶えたディストピアなのか、煉獄なのか、あるいは『ビバリウム』(2019)のような未知のループ空間なのかと思うほど、人里離れた山間部に住む夫婦が「何か」を育てることになり、その「何か」の存在と生誕の過程においてホラー色、ミステリー色を感じさせるものの、今作が描いているのは「母性」や「家族」である。

人間ではない「何か」に亡くなった娘の名前を付け、娘と同じように育てることになる。そもそも今作の世界観的には、そういったものが普通に存在しているのかと思いきや、トラブル続きのイングヴァルの弟ペートゥルが転がりこんでくることでその疑問が解決される。

ペートゥルは「何か」を当たり前のように育てている夫婦を見て、驚くし不安に思う。そして恐怖でもある。つまり観客の視点と一致するのだ。しかし、このペートゥルが「何か」を受け入れ、家族として受け入れていくのが何故かハートフルにも感じてしまうのだ。これは疑似家族愛を描いているのかと思っていると……。また驚愕の展開をみせる。

〇作品情報
監督:ヴァルディミール・ヨハンソン
脚本:ショーン、ヴァルディミール・ヨハンソン
出演:ノオミ・ラパス、ヒルミル・スナイル・グズナソン、ビョルン・フリーヌル・ハラルドソンほか
配給:クロックワークス
9月23日(金)ロードショー

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■暑い日差しが忘れたい過去の傷を抉り出す『渇きと偽り』

〇ストーリー
メルボルンの連邦警察官アーロン・フォークは旧友であるルークの葬儀に参列するため、20年ぶりに故郷に帰ってきた。自ら命を絶つ前に自身の妻と子供を殺したとされるルークは、10年以上も干ばつが続き、狂気に襲われたこの土地の犠牲者だと思われていた。気が進まないながらも、町にとどまって捜査を行うことにしたフォークは、自身の古傷となっている、当時17歳のエリー・ディーコンの死に向き合うことになる。フォークは数十年も離れて起こった2つの犯罪はつながっているのではないかと疑う。ルークの無実だけでなく、自身の無罪を証明すべく奔走するフォークは、彼に向けられた偏見や、怯えた住人たちが抱える鬱屈とした怒りと戦うことになる。果たしてルークは本当に家族を殺したのか―。そして過去の未解決事件の犠牲者、エリーの死の真相とは……。

〇おすすめポイント
旧友ルークが家族を殺し、自殺したという衝撃的事実を知り、ある事件をきっかけに長年離れていた故郷の地キエワラに戻ることになったアーロン。葬儀だけで帰るはずが、家族を殺したのはルークではないし、自殺ではなく殺されたという疑惑が浮上する。

舞台となる故郷キエワラは架空の町ではあるものの、1年近く雨が降っていない日々が続いており、その強い日差しや暑さがルークを狂わせてしまったのだろうか……。そもそも危険な思想の持ち主だったのか。エリーもルークが殺したのではないだろうか。そんな疑惑も渦巻く中で、アーロンもまた強い日差しを浴びて、その日差しが忘れていた、忘れようとしていた過去をフラッシュバックさせる。全く異なるアーロンの記憶の探求とルークの事件の捜査が巧妙に交差し、やがてひとつに繋がっていくフィルム・ノワールだ。

〇作品情報
監督:ロバート・コノリー
出演:エリック・バナ、ジュネヴィーヴ・オーライリー、キーア・オドネル、ジョン・ポルソンほか
配給:イオンエンターテイメント
9月23日(金)、新宿シネマカリテほか全国ロードショー

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