中東の一部の国では、7月に入ってから気温が50度を記録する暑さが続いているという。そんな中でエジプトに住む5歳の男児が、猛暑の中で氷水を飲んだところ突然倒れて亡くなってしまった。地元の医師は猛暑の中で急に冷たい飲み物を飲むことに危険が潜んでいると訴えている。『ElWatan News』『Egypt Today』などが伝えている。

今月24日、エジプト、ガルビーヤ県タンタ市に住むサミール・モハメド君(Samir Mohamed、5)が、気温40度の中で氷の入った冷たい水を飲んだ後に突然亡くなってしまった。当時サミール君は友達と自転車に乗って遊んでいたという。炎天下の中にもかかわらず元気に遊んでいたサミール君は喉の渇きを癒すために氷水を飲んだようだ。

すると、飲んだ直後に突然その場に倒れ、サミール君はすぐに病院へ搬送されたものの到着前に死亡してしまったそうだ。その後サミール君の遺体はタンタ大学病院にて病理解剖が行われた後、家族の元へ引き渡されたという。死因は血液の循環機能が急激に低下した事によるものだと病院が発表している。

エジプト保健・人口省の非感染性疾患部門の心臓の専門医でもあるアラア・エル=ガムラウィ医師(Alaa el-Ghamrawy)は、地元メディアのインタビューに応じ、氷水や冷水を飲むと心拍数に多大な影響を与える可能性があるとし、次のように語っている。

「特に激しい運動をした後に冷たい飲み物を飲むと、心拍数の調整や身体機能を制御している迷走神経を刺激する事があります。そうなると不整脈が起きて失神など起こし、身体が動かなくなって命の危険に繋がることもあるのです。」

さらに同医師は、「冷えた飲み物を飲むことで喉に痛みが生じ、細菌やウイルスに感染しやすい状況を作ってしまうこともある」と述べている。

ちなみに法医学と病理学についての科学雑誌「The American Journal of Forensic Medicine and Pathology」に、1998年11月19日に受理されたアメリカの医師らが提出した症例報告には、12歳少年がフローズンドリンクを一気に飲んで、突然心臓死で亡くなったとある。また、「心臓に基礎疾患がある患者は冷たい飲み物の摂取により致命的な不整脈を引き起こす危険がある」とも記述されている。

画像は『ElWatan News 2022年7月24日付「بعد وفاة طفل طنطا بسبب شرب المياه المثلجة.. طبيب يوضح خطورتها」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)