[画像] 夢は“最強”の7ORDER長妻怜央、メンバー阿部顕嵐と交わした言葉

埼玉県入間市を舞台に描く、笑って泣いて、大人から子供までみんなで楽しめる青春映画『ラストサマーウォーズ』(7月1日より全国順次公開)。

主人公は映画好きの内気な少年、陽太(阿久津慶人)。密かに思いを寄せる明日香(飯尾夢奏)の転校を前に、明日香をヒロインとした映画撮影に挑戦することとなる。


様々な困難が立ちはだかる中、映画の完成を目指す子どもたち。陽太の兄・匠役として物語を盛り上げる、長妻怜央(7ORDER)に、同作の魅力や映像作品への思いを聞いた。

兄役に不安も「台本に助けられました(笑)」


──今作への出演が決まった時の心境はいかがでしたか?


埼玉の入間市を舞台とした映画だったので、デビット伊東さんや井上小百合さんなど、出演者の方に埼玉出身の方が多くて「茨城出身の僕が出ていいのかな」と思ったんです。でも皆さん快く歓迎してくださったので、茨城出身でも大丈夫でした(笑)。


──今回の役柄はいかがですか。


僕は今回お兄ちゃん役なんですが、これまでは自分が年下であることのほうが多かったので「お兄ちゃんできるかな?」と思いました。本読みの時にお会いした阿久津くんがすごく大人だったので、兄弟というより6年生の阿久津くんと同い年みたいな感じでしたね。セリフはお兄ちゃんっぽかったので、台本に助けられました(笑)。


映画出演、舞台との違いを実感し「すごく楽しい」


──撮影現場はいかがでしたか。


自分なりにやってみたつもりなんですけど、客観的に見てみると「勝手が全然違うな」というのは改めて思いますね。振り返ってみると「もっとできることがあるんだな」と感じました。すごく新鮮でした。反省点もいっぱいありましたが、それが顕著に見えるのはすごく良かったです。舞台と違って、映像だとばっちり映るじゃないですか。それが個人的にはすごく楽しいと思いましたし、好きだなと思いました。

──どんなことを意識して取り組みましたか?


自分なりに意識したのは、大きく芝居をするんじゃなくて普通にしゃべっている感じ。舞台の感覚だと「果たしてこれでいいのか」と思いながらだったんですが、それが意外と自然というか。もっと経験して、意識できるポイントを増やしていけたらいいなと思いました。


休日も現場へ「せっかくだったら見させていただきたい」

 

──今作では“映画作り”を主軸に物語が展開していきますが、映画への印象が変化したことなどはありますか?


現場では、自分が出ていないシーンでも基本的に見るようにしていたんです。そうすると「これがここに繋がってるのか」と思うんですよね。監督の頭の中で「これを撮ってここで繋げよう」と考えているんだな、と。当たり前のことなんですが、そういうところを目の当たりにしたのが印象的です。夜に撮影したシーンが、どう見ても昼に見えたのも驚きです。照明でこんなに変わるんだ、と不思議な感覚でした。


──今後も映画作品には出たいと思いましたか?


できればやりたいと思いましたね。

──出番じゃなくても見学していたということですが、それは休みの日?


そうです。休みだけど現場に行って、せっかくだったら見させていただきたいなと。


──他の俳優さんの演技もご覧になって、どんな学びがありましたか?


デビット伊東さんと一緒のシーンがあったんですが、僕の撮影が終わった後にちょっと見させていただいたんです。やっぱり流れが自然ですよね。セリフとセリフを繋ぎ合わせるのは役者の仕事だから、と直接教えていただきました。

阿部顕嵐とお風呂トーク「映像って難しいよな」


──グループのメンバーには映像のお仕事されてる方もいると思いますが、アドバイス貰うこともあったのでしょうか?


そういうのはあまりないんです。ただ、「こういう風にやってみたんだよね」というような話はお風呂でしました。

──お風呂で?


阿部顕嵐と「映像って面白いけど難しいよな」「たしかに難しいね」みたいな。2人で結構語り合いましたね。


子どもたちに共感「我慢していることってあるな」


──劇中では長妻さんが太鼓を披露するシーンもありました。


太鼓は以前、舞台とかで叩いたりしていたこともありました。今回の撮影場所が監督の家だったんですが、すごい大きい家なんですよ。部屋のシーンとかも、昔は監督の部屋だったらしいです。敷地が広かったので、音漏れも気にせず練習ができました。


──あれは監督の家だったんですね。長妻さんは、今作のストーリーを見てどんなことを感じましたか?


子どもの立場からしたら「何でやりたいことができないんだ」とつらいと思うんです。親に「映画を撮影してはいけない」と言われるんですけど、きっとそう言われれば言われるほどやりたくなってしまうことってあるなというのは改めて感じました。自分も我慢していることってあるなと。


──というと?


夜には寝なきゃいけない、とか(笑)。夜はあまり遅くまで起きていちゃダメです、という風潮があるじゃないですか。わかっているけど夜更かししちゃうみたいな。


──ルールがあるとはみ出してみたくなる、みたいな?


それはたぶんありますね(笑)。この映画では、どちらかというと僕は子どものほうに近いかなと。仕事でも、ちゃんとしたことを言わなきゃいけないようなところでふざけちゃうところがあります。後で怒られちゃう、みたいな(笑)。

──そんな思い出があるんですか?


司会のような感じで僕がみんなの話を聞いて回すみたいな場面で、めっちゃふざけてしまって全然話にならなかったようなことがありました(苦笑)。『アクダマドライブ』という舞台のコメンタリー映像のようなものを撮る時で、そこまで大げさな話ではないんですけど、まとまってはなかったな、と。


──なるほど(笑)。本来は仕切りをするべきだったのにふざけてしまったんですね。


僕もやっていて「全然違うなこれ」と思って途中で修正をしたんですけど、やっぱりちゃんとやるべき時もあるんだなと思いました。

長妻怜央が“やり残したこと”


──今回の映画では「後悔のないように過ごすこと」がテーマでもあったかと思いますが、長妻さんはやり残したことや後悔していることはありますか?


あります。楽器をやっているんですが、小さい頃からキーボードは習っておけば良かったなと思いました。今、勉強することがいっぱいあって結構大変なんです。小さい頃からやっておけばもう少し伸びたのになと思いますね。英語ももっと勉強しておけば良かったです。学生の時はとにかく寝ることしか考えてなかったので(笑)。


──この作品は小学生が中心に登場しますが、長妻さんが小学生の頃はどんな子どもでしたか?


人の心は持ってなかったですね。

──人の心?


すぐ意地悪しちゃう子だったんですよ。ちょっと悪ガキでして(笑)。今思うと本当にバカだなと思いますけど、当時は映画を見て感動している人とかを見ても、何に感動しているのかがわからなくて、悲しいとか感動とかの感情がなかったんです。今はすごい思いますよ。「これは感動するな」って。成長と共に道徳心が芽生えたというか。道徳の授業の「この人はどう思ってるんでしょう」というような問題が得意じゃなくて、共感するのが苦手みたいなところが子どもの頃はありましたね。でも今は成長しました(笑)。


──では、自分が子育てをするとしたらどういう子どもに育てますか?


僕はやっぱり、さっき言ったように「夜は寝て朝早く起きなきゃいけない、それが健康だよね」みたいな「こうしなきゃいけない」というような概念には「なにをもって『健康だ』と言っているんだろう」と思っちゃうんですよね。朝にするような仕事じゃなければ、別に朝は寝て夜に仕事をするということでもいいんじゃないかなと個人的に思ったりもするんです。だから子どもがもし「夜寝たくない」と言ったら、どうしたら夜寝なくて済むか考えてあげたりしたいです。

──柔軟に考えたいということでしょうか。


そう、柔軟に考えたい。個人的にはですよ。その時に奥さんがいたら、たぶんめっちゃ怒られると思うんですけど(笑)、「こういうことがしたい」と言われたら「どうやったらそれができるか」を一緒に考えたいですね。


夢は「最強になること」


──長妻さんの今の夢を教えてください。


僕はグループで活動させていただいているんですけど、7ORDERがもっと多くの人に知られるようなグループになりたいなと思います。そのためには今やらなきゃいけないことはたくさんあると思っています。お芝居もすごく好きだし、音楽活動もすごく好きなんです。今よりもどんどんグレードアップしていくことがすごく好きなんです。本当の最終目的は「最強になること」なんですけど。

──最強に?


はい。もうなんでもできちゃうみたいな。何が最強かというと、仙人級になると無駄な力がいらない、というようなところがあるじゃないですか。おそらく最強になるとほぼ力がいらないんです。それになりたいです。楽になりたいです。


──夢は最強、という答えでいいですか?


楽に最強になるっていう。楽な最強ですかね。

──楽な最強になること...。


その答えで大丈夫です。はい。


──なるほど。最後に改めて、長妻さんの思うこの作品の魅力を聞かせてください。


子どもの目線で描かれている映画なんですが、もし大人の目線で書いたらここまで壮大なお話ではないかもしれないんですよね。小さい頃に見ていたクリスマスツリーが大人になると小さく見えるように、子どもにとっては大変なことなのに、大人になって振り返ると意外とあっさりしているようなことってたくさんあると思うんです。この映画は、そういう「子どもの見ている世界」が表現されているんじゃないかなと自分は思いました。小さい頃を思い出して初心に返れるような作品だと思います。


 

取材・文・撮影:山田健史

スタイリスト:kawase136

ヘアメイク:堀川貴世