どのiPhoneを買おうかと、きっとあなたは悩んでいることだろう。なにしろアップルは「iPhone 13 Pro Max」から「iPhone SE」の第2世代モデルまで、これまで以上に幅広い選択肢を用意しているのだ。

「いま「iPhone」を購入するなら、どれを選ぶべき? 全モデル完全ガイド」の写真・リンク付きの記事はこちら

そこで今回は、アップルによる宣伝と現実とを切り離す手伝いをしたい。ここに最新モデルの実機レヴューを踏まえてiPhoneの購入ガイドをアップデートし、『WIRED』US版が選ぶ“最高の1台”と、それぞれの長所と短所について解説する。

まずは旧モデルを売ることを考える

iPhoneの旧モデルから買い換えるなら、アップルに下取りしてもらうと少しではあるがお得になる。その前に、ほかの店舗や業者などが高く買い取ってくれないかチェックしてみてほしい。iPhoneは特に新品同様だったり傷のない良好な状態を保っていたりすれば、驚くほどの価値が残っている。

最もお買い得:「iPhone SE」(第2世代モデル)

第2世代のiPhone SE(日本では49,800円から)には、アップルの独自プロセッサーである「A13」が搭載されており、数百ドル(数万円)も高い2019年の「iPhone 11」や「iPhone 11 Pro」と同じパフォーマンスを得られる。

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このためどんなアプリやゲームでも、まったく問題なく動作させることができる。iPhoneの旧モデルを愛用しているなら、いま買えるiPhoneで唯一、古くからのデザインを踏襲しているのがiPhone SEだ。厚いベゼル(画面の枠)とホームボタン、ロック解除用の指紋認証システム「Touch ID」を備えている現時点で唯一のモデルとなる。残念ながらヘッドフォンジャックはない。

とはいえ撮影した写真の品質では、「iPhone 12」や「iPhone 12 Pro」には及ばない。ナイトモードがないので夜間の撮影も通常モードになる。

また、過去のレヴューにもあるようにバッテリーの持続時間は短く、平均的な使用で1日もつかどうかだ。iPhoneを買いに出かけて最新モデルの価格に尻込みした人には、このiPhone SEをすすめたい。なかでもポケットに入らない大画面スマートフォンを嫌う人に向く(いまでは最小モデルの座はiPhone 13 miniに譲ってはいる)。もちろん低価格モデルならAndroidスマートフォンという選択肢もある。

最強の標準モデル:「iPhone 13」

「iPhone 13」は、ほとんどの人にとって最高のiPhoneとなる。というのも、以前は「iPhone 12 Pro」以上にしか搭載されなかった機能が導入されたからだ。

例えば、センサーシフト式の手ぶれ補正機構がメインカメラに搭載され、最低64GBだったストレージ容量が128GBからになっている。それに、有機ELディスプレイの6.1インチというサイズもちょうどいい。

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新たに追加された機能で最も優れているのは「シネマティックモード」だ。これはポートレートモードとヴィデオを融合させたもので、被写体を背景をぼかしてくれる。ただし、やや扱いが難しいところはある。

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また、全体的にカメラの性能が向上した。広角と超広角のカメラは従来より多くの光を取り込めるようになり、暗所での撮影性能が向上した。このため、夜景をよりシャープで明るく撮影できる。

バッテリーのもちもよくなっており、頻繁に使っていても1日以上は余裕でもつ。独自チップの「A15 Bionicチップ」は、なかなかいい仕事をしているようだ。

弱点を挙げるとすれば、本体の色の選択肢がいまいちなところだろうか。とはいえ、防水・防塵のレヴェルはIP68で、5G通信に対応しており、マグネットを用いた「MagSafe」を用いた周辺機器も利用できる。

小型の端末がお好きなら:「iPhone 13 mini」

巨大なスマートフォンのことが嫌いなら、このiPhone最小のモデルがいい。ベゼルが薄く、指紋認証「Touch ID」の代わりに顔認証「Face ID」を採用した最新のiPhoneのデザインであることから、物理的なサイズは第2世代のiPhone SEより小さいにもかかわらず、有機ELディスプレイのサイズは5.4インチと大きくなっている。バッテリーのもちを除けば、性能はiPhone 13と同等だ。朝から晩までバッテリーはもつが、場合によってはモバイルバッテリーや充電アダプターが必要になるだろう。

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最強モデルを選ぶなら:「iPhone 13 Pro」「iPhone 13 Pro Max」

「iPhone 13 Pro」や「iPhone 13 Pro Max」に1,000ドル(約11万円)以上を払うのは、正当な理由がある。本体の素材としてiPhone 13のようなアルミニウムではなく、ステンレスとガラスを組み合わせたことで耐久性が高いのだ。

iPhone 13 Pro Maxには6.7インチという大型の有機ELディスプレイが搭載されているので、可能な限り大きな画面を必要とする人(iPad miniではなく)には必需品となるだろう。ディスプレイのサイズが6.1インチのiPhone 13 Proの性能や機能はMaxと同等なので、小さいほうを選んでも間違いはない。

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また、ディスプレイのリフレッシュレートは120Hzになり、画面の表示やスクロールがよりスムーズに感じられるようになった。ディスプレイの明るさが向上しており、長もちするようになったバッテリーは1日以上でも快適に使える。性能がiPhone 13のような標準モデルより高いのは初めてのことで、チップのグラフィック処理用コアが多い。このため負荷の高いゲームなどの動作がわずかに改善された。

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メインのトリプルカメラには光学3倍ズームカメラが含まれており、ナイトモードはすべてのカメラで機能する。3つのセンサーはより多くの光を取り込めるようになり、暗い場所でもよりシャープで明るい写真を撮影できるようになった。超広角カメラはマクロカメラとしても機能するので、愛犬の鼻先にiPhoneを押し当てるようにしてクローズアップすることもできる。

年内にはアップル独自の高品質フォーマット「ProRes」でのヴィデオ撮影にも対応する。これは撮影した動画をより自由に編集できるフォーマットだが、4K画質での撮影にはストレージ容量が256GB以上のモデルが必要になる。128GBモデルでは画質が1,080pに限定される。ただし、少しでもコストを抑えたいなら、標準モデルのiPhone 13でも性能に遜色ないことは頭に入れておきたい。

いまも十分に魅力的:「iPhone 11」

最新で最高のiPhoneは必要ないが、中古では買いたくない──。そんな人のために、アップルは「iPhone 12」「iPhone 12 mini」「iPhone 11」という3つの選択肢を残している。もし小型サイズのminiに注目しているなら、個人的には差額の100ドル(日本では17,000円)を出してでもiPhone 13 miniを選ぶ。ストレージ容量が2倍になり、カメラがより美しくなり、バッテリーのもちも少しよくなるからだ。iPhone 12 miniのバッテリーのもちは本当に心もとなかったので、特に最後のポイントは重要である。

ストレージ容量が64GBのiPhone 12も、価格が729ドル(日本では86,800円)では選択肢に入りづらい。どうしても「MagSafe」を利用したいという理由でなければ、コストパフォーマンスを考慮すると妥当なチョイスは「iPhone 11」(日本では61,800円から)だろう。

iPhone 11の「A13 Bionic」チップは十分にパワフルで、メインカメラはナイトモードに対応しており、しかも超広角カメラもあるので汎用性も確保されている。確かにディスプレイは有機ELではなく液晶で、エッジが立っていない丸みを帯びた旧デザインで、5Gに対応していない。それでもIP68の防水性能とワイヤレス充電機能を備えており、バッテリーは約1日もつ。

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もし安く買えるなら:「iPhone 12 Pro」シリーズ

アップルは公式には「iPhone 12 Pro」と「iPhone 12 Pro Max」を販売終了としたが、これらを選んでも問題ない。高速なプロセッサーを搭載しているうえ、3つのメインカメラには超広角と望遠のカメラも含まれる。ステンレス製のボディに表示性能が優れた有機ELディスプレイ、長もちするバッテリー、防水機能、ワイヤレス充電など、求められる要素のすべてが揃っている。

ただし、iPhone 13の価格が829ドル(日本では98,800円)からなので、iPhone 12 Proシリーズにそれ以上を払うことがないようにしたい。実際のところ、すでに多くの販売店からは姿を消しているようだ。それでもネット通販や再販品を扱うようなサイトでは、新品または新品同様の製品を手に入れられるかもしれない。

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避けるべきiPhone:iPhone 1〜8、iPhone X、iPhone SE(第1世代)

「iPhone X」や「iPhone 8」「iPhone 7」「iPhone 6s」、そして第1世代の「iPhone SE」といった古いモデルは、どこかで入手できる可能性があったとしても手を伸ばしてはならない。これらの旧モデルは最新のソフトウェアを処理する能力がなく、あったとしても近いうちにOSをアップデートできなくなる。このうち「iPhone 11 Pro」と「iPhone 11 Pro Max」なら検討には値するが、それでも550ドル(約61,000円)未満で購入できる場合に限る。

実際に「iPhone 6」では、すでに「iOS 14」にアップデートできなくなった。iPhone 6sは「iOS 15」に対応したが、それでも古すぎる。こうしたアップデートに対応しないとセキュリティ面での安全性が徐々に低下し、動きも遅くなり、やがて使えなくなってしまう。

また、これらの旧モデルに搭載されたカメラもそこまで最新ではない。タダ同然で手に入るという理由でもなければ、価格が手ごろなiPhone SE(第2世代)のような今回リストアップした機種をすすめたい。

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いまは「買いどき」なのか?

もちろん、買いどきと言っていい。アップルはiPhone 13シリーズを発表したばかりなので、2022年9月までは新しいiPhoneが発表されることはない。ただし、22年上半期に新しいiPhone SEの発表というサプライズがない限りの話ではある。

そこまで本気でiPhoneの買い換えを考えているわけではないなら、まずはバッテリーの交換を検討してほしい。最大の問題がバッテリーのもちなら、バッテリーを交換するだけで最新モデルに買い換えた気分になるだろう。旧モデル(iPhone 8以前とiPhone SE)のバッテリー交換は49ドル(日本では5,940円)で、iPhone X以降なら69ドル(日本では8,140円)だ。

MagSafe対応のケース選びは慎重に

最新のiPhoneの本体は両面がガラスになっており、セラミックで強化されているとはいえガラスは壊れやすい。そこでケースが必要になる。通信キャリアもアップルもこの事実を踏まえ、iPhoneユーザーに60〜70ドル(約6,500〜7,600円)もするケースや高価なアクセサリーを売りつけようとする。価格を気にしないなら、どれを選んでもいいだろう。

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磁石を使ったMagSafeによるワイヤレス充電は、最新モデルであるiPhone 12シリーズ以降でしか使えない。「MagSafe充電器」のようなアップル純正の周辺機器も用意されており、iPhoneの背面に磁石でくっつけて急速充電できる。このほか、クレジットカードなどを収納できる「MagSafe対応iPhoneレザーウォレット」も用意されている。

サードパーティ製のアクセサリーも数多く発売された。もしケースを購入する場合は、MagSafeの強力な磁力やワイヤレス充電に対応した製品を選ぶようにしてほしい。

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