開催まで4か月。予定通り開催することは是か非かの世論調査で、依然として非が大きく上回った状態にある東京五輪。先日、海外から訪れる観戦者の受け入れを断念する決定が下されると、インバウンドの効果が見込めなくなったと、残念がる声が湧いた。

 だが、開催ありきで考えれば、規模をどこまで縮小するかが問われる点になることは、あらかじめ読めていたこと。縮小はこれだけに留まらないはずだ。無観客に変更される可能性は十分ある。参加を見合わせる国も現れるだろう。競技や種目を絞って開催される可能性もあるだろう。本来100%であるものが30%減で済むのか。50%減になるのか。五輪のステイタス、金メダルのステイタスはそれに応じて変動する。50%以下になってしまえば、開催する意義はあるのかという基本的な問題も浮上する。
 
 サッカーは世界的な人気競技とはいえ、五輪競技としてのステイタスは低い。本場欧州ではとりわけで、所属クラブでスタメン争いをしているにもかかわらず、五輪出場を優先しようとする日本人選手(古くはローマ時代の中田英寿とか)に、なぜと驚く現地人は少なくない。

 U-23(今回はU-24)という、半端な年齢設定。それに3人までのオーバーエイジ枠が加わる点も、チャンピオンシップとしての魅力、ステイタスを低下させる要因だ。

 五輪の規模を縮小して行おうとしたとき、男子サッカーが削られる競技の対象になったとしても不思議はない。女子サッカーと男子サッカー。五輪でチャンピオンシップの体を成しているのは断然、女子になる。

 その東京五輪に「金メダル獲得」を目標に掲げて臨もうとしている森保一監督。五輪は予定通り開催されると読んでいるのだろうかーーとは、先日発表されたU-24とA代表のメンバーを眺めながら思ったことだ。今回、それぞれのチームが別々に活動することに、どこまで妥当性があるだろうか。

 日本代表は今月30日。モンゴルとW杯アジア2次予選を戦う。こう言っては失礼ながら、相手は弱小国。勝負はやってみなくては分からないと言っても、日本が敗れる可能性は限りなく低い。また万が一敗れても、その瞬間望みが絶たれるわけではない。2次予選の残り試合を全部勝てば、問題なく最終予選に進むことができる。

 アウェー戦の扱いながら千葉のフクアリで行われるモンゴル戦に、バリバリのA代表で臨む必要は全くない。U-24で十分。プラス3人の代表選手を加えたメンバーで臨むことが、東京五輪を考えたとき有効な選択になると考える。

 3人とはオーバーエイジ枠を指すのだが、五輪本番まで4か月を切ろうとする状況下で、オーバーエイジの具体像はまるで示されていない。金メダル獲得へ向けて、その戦略は鮮明になっていない。森保監督は、本気で金メダルを目標に掲げているのか。疑いたくなってしまう。U-24+オーバーエイジ枠3人は、A代表の50〜60%に相当する。この畑を耕すことは、A代表の強化そのものの強化に直結する。

 今回、26日と29日に、アルゼンチンU-24と対戦する日本U-24だが、監督を務めるのは森保監督ではない。横内昭展コーチだ。そうなった理由は、韓国戦(25日)とモンゴル戦(30日)を戦うA代表と、U-24の試合の日程が重なったからだ。A代表とU-24が別部隊に別れて4試合を戦う意味は何なのか。効率のよい強化方法とは言えない。

 そもそも、森保監督をなぜA代表と五輪チームの兼任にしたのか。それぞれの強化のスケジュールが重なることは、最初から分かりきっていたはずだ。それをもしメリットに変えようとするならば、A代表と五輪チームを別部隊にせず、上記のようにミックスした編成で強化に臨んだ方が断然得策だ。