アメリカ・テネシー州で眼球の虹彩部分に毛が生えたオジロジカが見つかりました。野生の鹿の保護を専門とするNational Deer Association(アメリカ鹿協会)は、「歴史上最も奇妙な病気の1つ」と位置づけています。

Freak Buck Had Corneal Dermoids. Yes, Hairy Eyeballs. | NDA

https://www.deerassociation.com/freak-buck-had-corneal-dermoids-yes-hairy-eyeballs/

Why a dazed deer in Tennessee had hair growing from its eyeballs | Live Science

https://www.livescience.com/deer-hairy-eyeballs.html

問題のオジロジカが以下。ややグロテスクな画像のため、サムネイルにのみモザイクをかけており、画像をクリックすることでモザイクなしの画像が確認可能。画像を見ると、黒目とも呼ばれる眼球の虹彩部分の一部に毛が生えている様子が見て取れます。



このオジロジカは、テネシー州東部のノックスビル市郊外ファラガット町近郊で交通を害したことから処分された個体です。このオジロジカの死骸は同州野生生物資源局の生物学者スターリング・ダニエルズ氏によって鹿のプリオン病の1種である慢性消耗病の検査を目的としてジョージア大学獣医学部に送付されることとなりましたが、その際にダニエルズ氏が眼球に毛が生えていることに気がつきました。

今回確認された眼球に毛が生える現象は、「角膜類皮腫」と呼ばれる眼球上に毛根などの皮膚組織が生成される先天性の疾患だと診断されています。今回発見された個体の検査を担当したジョージア大学獣医学部のニコール・ネメス博士とミシェル・ウィリス氏は「類皮腫は皮膚以外の場所に皮膚が形成される症状で、今回のケースのように角膜の類皮腫の場合は、毛包や汗腺、コラーゲン線維、脂肪などの通常の皮膚細胞に含まれる各要素が形成されることがよくあります」と説明しています。



問題の個体は1歳半で亡くなったとみられており、ネメス博士は「角膜類皮腫は先天性の病気であるため、生まれた時点から徐々に病状が進行したと考えられます。病状の進行速度に関してはわかりませんが、問題の個体はかなり長期にわたって眼球に毛が生える状態だったと考えられます」とコメントしています。

アメリカ鹿協会によると、国内で確認された角膜類皮腫の鹿は2例目とのこと。1例目は2007年に狩猟によって射殺されたルイジアナ州のオジロジカで、左目のみが角膜類皮腫に侵されており、角膜上に毛に覆われた腫瘍が3つも存在したとのこと。この腫瘍を解剖したところ、毛を支える結合組織の中から、骨や軟骨までもが出てきたそうです。