糖質制限をしている人の中にはコンニャク麺などを麺料理に使い、「これじゃない……」とやり場のない悲しみを抱えた人もいるはず。そんな中、中華料理に使われる「豆腐干」は麺のような見た目にも関わらず、糖質量が中華麺の90%オフ、タンパク質量が3倍以上と聞き、これが味の面でも代替麺として使えるのであれば最高ではないか……?と思い、実際に購入していろいろな味付けを試してみました。

豆腐干は「豆腐麺」「豆腐干絲」という名前でも扱われています。今回購入した豆腐干は、500gが1パックとして冷凍された、以下のもの。女性が手に持つとこのくらいのサイズ感です。



原材料名には大豆・食塩・豆腐用凝固剤・着色料がつづられています。Wikipediaによると豆腐干は「堅めに作った豆腐を圧縮し、脱水する」という作り方とのことで、原材料は豆腐と同じです。



栄養成分表示を見てみたところ、100gあたりのカロリーが159kcalで、タンパク質が16.3g、脂質が10.1g、炭水化物が1.9g、食塩相当量が1.52g。一般的な中華麺は100gあたり149kcalで、タンパク質が4.9kcal、脂質が0.6g、炭水化物が29.2gなので、炭水化物の量は90%以上オフ、タンパク質は3倍以上。ただし、脂質が18倍と多めです。



Amazonで購入した豆腐干でしたが、特に食べ方の説明書などはなかったのでネットで調べてみたところ、基本プロセスは解凍→ゆでるでOK。室温で解凍すると数時間かかりますが、流水解凍であれば30分ほどで解凍できます。



流水解凍したものを開封してみたところ、色合いがやや白っぽくなっていました。



箸でほぐせるのですが、バサバサとした質感で、少し生麺のような独特の匂いがあります。食べられないことはないのですが、このまま食べるものではないので……



沸騰したお湯に入れて5分ほどゆでていきます。



ゆで終わったらボウルにあげ……



重さを測ってみたところ、565g。そこまでお湯を吸うものではないようです。



高さ138.4mmの第2世代iPhone SEと比較すると、1パックの量はだいたいこのくらい。



100gをみそ汁用のおわんに入れてみるとこれくらいの量です。



まずはそのまま食べてみます。箸で持ち上げた瞬間に輪ゴムっぽいゴワつきを感じたので、「ボソボソしていそう……」とあまり期待せずに食べたのですが、麺はブチブチ途中で切れるものではなく、ボソボソした食感は皆無。しっかりとした弾力があり、「うどんはコシが命」と豪語する人からはかなり好評でした。当然ながら小麦粉の風味はなく、ほのかに塩気と、豆腐のような豆のような香りがあります。味わいとしては非常に淡白です。



また表面に凹凸があるので中華麺のようなツルッとしたのどごしがないのは大きな違い。人によっては食べた時のざらっとした舌触りに違和感を感じそうです。



豆腐干は中華料理店などでおつまみのような感じで出されることもあり、ゴマ油や塩と混ぜるだけでもアテになりそうな味わい。なお、「中華料理店で食べたアーモンドオイル・塩・豆苗と混ぜたおつまみがめちゃめちゃおいしかった」と語る編集部員もいました。



今回は「麺の代用として使えるか?」という点をチェックするため、まずはラーメンから作っていきます。お湯で溶くタイプの味噌スープと具材を用意。



味噌スープをおわんに入れて……



お湯を注いだらゆでためんを投入。



具材をもろもろ入れて完成。スープから豆腐干がのぞいていますが、色合い的にも違和感がなく、見た目は普通のラーメンです。



いざ食べてみたところ、驚いたのは豆腐干がむちゃくちゃスープと絡むということ。一般的な中華麺がツルッとしているのに対し、豆腐干は表面に凹凸があるのでスープとの絡みが最高。また、そのまま食べた時に感じた独特の匂いは、スープと合わさることでほぼ消えます。強いコシがあるので通常の麺と食感の違いはありますが、「こういう中華麺です」と言われれば納得してしまう程度でした。コンニャク麺などの代替麺はコンニャクの匂いと独特の食感ゆえに「コレジャナイ」感が大きいのですが、豆腐干はそれとは比較にならない満足度です。



次はパスタを作っていきます。ソースはカルボナーラとたらこを用意しました。



麺100gをお皿に載せるとこれくらいの量。



高さはこんな感じ。



温めたソースを豆腐干にかけて……



完成。



これも豆腐干の表面に凹凸があるゆえに、ソースが絡みまくります。カルボナーラの場合、市販のパスタソース1袋に対して豆腐干100gだと、ソースが絡みすぎてやや塩辛いぐらいでした。ソースを減らすか麺を増やすかといった工夫が必要そうです。味としては、複数人に食べてもらったところ、「ソースがおいしいと言えばそれまでだが、むしろほかの代替麺のようにソースの味を全く邪魔しないというのがすごさでもある」と好評でした。



たらこソースをかけても……



合います。豆腐干はもともとの味が淡泊で、風味もクセがないため「何にでも合う」という高いポテンシャルを感じました。



いろいろ食べているうちに「豆腐干は一体何に合うのか?」という視点から「一体何だと合わないのか?」という視点に。「具だくさんの麺料理にするとボソボソして食べにくそう」という意見があったので、試してみました。豚ミンチを豆板醤やオイスターソース・しょうゆなどと炒めて……



名古屋名物の台湾まぜそばを作っていきます。豚ミンチのほかねぎ・ニラ・たまご・のり・かつお節粉などを用意し……



もりもり豆腐干の上に載せます。



豆腐干同士が絡まるのでやや具材と混ざりにくい感じは確かにありましたが……



食べてみたところ、具材が増えることによって豆腐干独特のザラッとした舌触りが埋もれるので、むしろこれまでの中で最も代替麺としての違和感の少ない品に。一方で、色んな味付けで食べているうちにどんどん豆腐干そのものの味が好きになっていった人々からは、「あまり豆腐干らしさが感じられない」という意見もありました。



豆腐干はパッケージに「解凍後の再冷凍は避けてください」とあったのですが、再冷凍→解凍するとどのくらい味や食感に変化が生まれるのか気になったので、ゆでたものを冷凍してみました。



1日後、カチカチに凍った豆腐干を……



電子レンジでチン。



さすがに再冷凍するとボソボソになるのだろうか?と思っていましたが、以下のように引っぱり上げても豆腐干が切れてしまうことはナシ。食べると少し水分が抜けた感じはありましたが、ほぼ味や食感は同じだったので、「ゆでた後であれば再冷凍しても問題無いのでは……?」という結果に。



めんつゆにつけてざるそばっぽく食べてみましたが、味付けを選ばない豆腐干なので、もちろん合います。そば粉の香りはないのでそばの代替にはならないかもですが、麺料理を食べたいという欲求はしっかり満たしてくれました。



なお、今回購入した豆腐干はAmazonで税込510円、送料が890円のもの。このほかAmazonで100g12袋入りのものが3800円で扱われているほか、中華食材店でも扱いがあるとのことです。

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