新型コロナウイルスの影響で結婚する人が戦後最低レベルまで激減しているという。厚生労働省の人口動態統計(速報値)によると、2020年1〜10月の婚姻数は約42万5000件で前年同期比13%減。とはいえ、コロナ禍でも婚活マーケットは盛況だという。

お話を伺った、佐藤優菜さん(仮名・43歳・派遣社員)は、コロナ禍から婚活を始めたが、「同世代からはほとんどニーズがなく、紹介されるのは“将来の介護要員”を探しているのでは? と思う高年齢の人ばかりなんです」とこぼす。

交際している男性に浮気をされ続けてきた

優菜さんは、スッとした美しい女性だ。明るい栗色のボブにベージュのパーカーとデニム。流行の革ボストンがスタイリッシュだ。ボーイフレンドはたくさんいるけれど、「女性として見てもらえない」のだという。

「女性として見られないとは、恋愛……つまり心だけではなく、体も……その対象ではないということ。自分でも魅力がないとは思いたくないですが、いわゆる“モテ”がない。35歳くらいまではそういう誘いもありましたが、36歳になると一切なくなりました。誘いはあっても、遊びか、既婚者ばかり。今はそれすらもなくなりました」

優菜さんは潔癖なところがある。本命の彼女や妻がいるのに、他の女性に手を出す男性のことを、蛇蝎のように嫌っている。

「自分が水瓶座ということもあるかもしれないけれど、そういう“目に見えないだらしなさ”が嫌いなんですよね。不倫している女性って、微妙な弱さと甘えみたいなものがあり、それが自分を腐らせてしまっていることに気付いていない。夫婦がお互いに割り切って、妻も認めているとかいう浮気相手もいますが、それはかなりの少数派。それだって健やかではないと思います」

ここまで浮気を憎むのは、自分自身がさんざん浮気をされてきたからなのだそう。

「35歳までに交際したのは10人ちょっと。全員が“優菜といると息が詰まる”と言って浮気をしました。全員ですよ。半年くらいしか恋愛が続かない。男性側から告白してきたのに、浮気するって……意味がわからないんです。そして、浮気相手が妊娠して、本命彼女だった私が捨てられる例もいくつかありました。私が30歳の時に、それまで勤務していた会社を辞めたのも、社内恋愛がこじれたからです」

仕事がデキず、向上心もない“ゆるふわ女性”が運命を暗転させた

仕事がデキても、出世は遅かった

優菜さんは名門女子大を卒業し、総合職でIT関連会社に入った。

「文系・理系関わらず新入社員はSEになる会社で、ここでかなり鍛えられました。今も派遣社員でそこそこの収入があり、仕事が切れる心配がないのは、ここで鍛えてもらったおかげ。自分で言うのはなんですが、私は同期入社30人のなかでもずば抜けて仕事がデキたと思います。それなのに、他の人ばかりが出世して、いつまでも現場仕事ばかりだったんです」

がむしゃらに仕事をして、達成感を味わう毎日は充実していた。28歳のとき、慕っていた2歳年上の先輩社員から、飲みに誘われた。

「当時は徹夜で仕事をするのが“当たり前”で、土曜の朝に仕事が終わって、そのまま飲みに行ったんです。築地までタクシーを飛ばして、お鮨をつまみながらビールを飲んで、そのまま晴海にある先輩のマンションに行って、そういう仲になりました」

彼は「本気で将来を考えている」と言い、翌週には築地にある実家に優菜さんを誘い、両親に紹介した。

「社内恋愛も結婚も多い会社で、社長も社員を妻にしていた。“社内結婚すると役員への道が近くなる”という噂もあり、彼からプロポーズされた。これで私の人生も安泰だと思った数か月後、彼が私の後輩と浮気してしまい、その子がすぐに妊娠したんです」

その後輩は、優菜さんが仕事をゼロからたたき込んできたのだが、いわゆる“ゆるふわ女子”だった。

「仕事への向上心もなく、教えても“どこがわからないかわかりません”と平気な顔で言う。自分で調べろって思いますよね。メモをとらないので、メモを取れと言ったら、しぶしぶメモは取り始めたものの、そのメモをすぐ置き忘れる。この女は、専務と不倫しているという噂もあって、ろくでもないと思っていましたが、彼はそこにいってしまった」

優菜さんは交際を公表したがる彼に対して「仕事に恋愛は持ち込みたくない」と言い、徹底して隠すようにしていた。

「さらに、彼を会社では無視するなど、塩対応をしてしまいました。私たち世代はトレンディドラマ全盛期で鈴木保奈美さん、山口智子さんなどが演じる“カッコいい大人の女”を見て育った。だからか素直になれないんです。ツンデレの“デレ”がなくて、“ツンがデレ”なんですよ。そこを理解してもらえなかったのか、彼は“ゆるふわ女子”にいってしまいました」

プライベートと仕事はきっちり分けたいと考えているキャリア女性は多い。

会社から「辞めてはどうか」と言われてしまい……〜その2〜に続きます。