トッピングを売りにしたオンライン専用の料金プラン「povo」を発表し、大きな話題を集めたKDDI。最安値をうたっていないにも関わらず、武田良太総務大臣から「非常に紛らわしい」と批判されたことで、異論が噴出。逆宣伝になり、発表は最後発だったものの、一気に知名度を上げてしまった感もあります。

▲au、UQ mobileの新料金やオンライン専用料金のpovoを発表したKDDI

そんなpovoのインパクトの大きさにすっかり隠れてしまった印象はありますが、KDDIは無制限プランのデータMAXや、小容量から中容量をターゲットにしたUQ mobileまで、全方位で料金プランを改定します。話題性ではpovoが圧倒していますが、実は影響の大きさでは、UQ mobileの方が上かもしれません。今回の新料金プランで、価格がMVNOと並んでしまうからです。

▲3つのカテゴリーのうち、povoの説明に時間が割かれたが、実質的なインパクトが大きそうなのはUQ mobileの新料金だ

UQ mobileの新料金プランは、余った容量を繰り越せるのが特徴。「くりこしプラン」と銘打ち、容量別にS/M/Lの3種類に分かれています。「くりこしプランS」は3GBで1480円。「くりこしプランM」はデータ容量が一気に5倍になり、15GBになります。価格は2480円。このプラン以上は、容量超過時や節約モードに設定した際の通信速度が1Mbpsになります。最上位の「くりこしプランL」は25GBで3480円です。

▲現行プランから500円ずつ値下げ。MとLは、容量もアップする

UQ mobileは、10月にKDDIに統合され、auと並ぶもう1つのブランドに“昇格”しました。競合は同様の形態でソフトバンクが運営するワイモバイル。ワイモバイルも2月から新料金プランを導入しますが、3GBの「シンプルS」は1980円、10GBの「シンプルM」は2980円、20GBの「シンプルL」は3780円と、いすれのプランもUQ mobileより割高。MやL同士の比較では、データ容量も5GBずつ、UQ mobileの方が多く、全方位でワイモバイルを上回っていることが分かります。▲競合のワイモバイルも2月に料金を改定するが、割引前の金額ではUQ mobileに軍配が上がる

ワイモバイルは光回線とのセットか家族割引の2回線目以降で500円割り引かれてUQ mobileと同額かほぼ同額になりますが、1回線目からスパッと値引いてきて、なおかつ繰り越しができるのがUQ mobileの思いきりのよさ。シンプルと銘打ったワイモバイル以上のシンプルさで、12月まで複雑怪奇な料金プランが批判されていたKDDIの汚名を完全に返上した格好です。あまりの安さと分かりやすさに、筆者も発表会を見ていて、驚いてしまったほどです。▲光回線のセット割や家族割引をつけると、金額面では並ぶ一方で、データ容量には開きがある

実際、KDDI側もUQ mobileがキラーだと考えている節があります。代表取締役社長の高橋誠氏は、「UQ mobileにはすごくこだわってやってきた。非常に強い料金を打ち出せたのではないか」と自信をのぞかせています。高橋氏は、「モメンタムをしっかりつけていくため、UQ mobileをどこまで踏み込むかを考えた」といい、実はUQ mobileを強力な武器にしようとしていることがうかがえます。コンセプトが新しかっただけに、povoの陰に隠れがちになってしまいましたが、それ以上にユーザーに指示される可能性が高いと言えそうです。

対ワイモバイルで強力なプランを打ち出せたのはもちろんですが、povoと比べてもあまり見劣りしないのがポイント。povoは20GBで2480円ですが、同じ2480円をUQ mobileで選ぼうとすると、15GBのくりこしプランMが選択できます。これは、5GBの差分でショップを利用したサポートを受けられることを意味します。povoの話題性でショップに来てしまったユーザーに対し、おすすめしやすい料金プランと言えるでしょう。どうしても20GBは必須という場合には、くりこしプランMやpovoより1000円高いくりこしプランLがあります。サポートがオンライン一本になってしまうpovoではどうしても不安というときに、選択しやすい形になっているというわけです。▲povoはオンライン専用。これを見てショップに来たユーザーを、UQ mobileに誘導できる可能性もありそうだ

3GBで1480円という料金水準は、ワイモバイルだけでなく、格安スマホとも呼ばれるMVNOにとっても脅威的です。上位のMVNOと料金プランを比較すると、例えばIIJmioは3GBで1600円、mineoは3GBで1510円(au回線を使うAプランの場合)、OCNモバイルONEは3GBで1480円。MVNOと横並びか、むしろMVNOより安い料金設定になっていることが分かります。

単純に金額が安いだけでなく、UQ mobileはauから帯域を借りているのではなく、別ブランドとしてau回線をそのまま使っているため、時間帯によるトラフィックの混雑影響を受けづらいメリットもあります。MVNOのように、お昼休みの時間帯に接続する帯域が不足し、速度が大幅に低下してしまうおそれが少ないのです。リアル店舗のUQスポットが現時点で200もあり、今後はauと両対応したショップが増えていくのもUQ mobileの強みです。▲MVNOの3GBプランより安いか、同じ金額まで下がってしまった。画像はIIJmioの料金プラン

これは、平たく言えば、MVNOより充実したサービスを、MVNOと同程度か安い価格で展開するということ。KDDIグループからの流出抑止になるだけでなく、MVNOユーザーを獲得する武器にもなりそうです。ahamoやSoftBank on LINE、povoは、低容量ユーザーを多く抱えるMVNOにとって、直接的な競合ではありませんでしたが、UQ mobileとはユーザー層も完全にかぶっています。MVNO側も、対抗策を打ち出す必要に迫られそうです。