2022年度を目途に運航を開始します。

「エアージャパン」活用 ANAのボーイング787型機を使い

 ANA(全日空)などを傘下にもつANA HD(ANAホールディングス)の片野坂真哉代表取締役社長と福澤一郎取締役常務執行役員が2020年10月27日(火)、記者会見を開きました。新型コロナウイルスの影響で、同社の連結業績予想は、経常利益でマイナス5000億円に。未曽有の事態に立たされているなか、さまざま事業構造改革を打ち出しています。


記者会見に登壇するANA HDの片野坂真哉社長と福澤一郎取締役常務執行役員(2020年、乗りものニュース編集部撮影)。

 改革の柱となるのは、保有する飛行機のスリム化。整備費用などを削減すべく2020年度内に、計画から機数を大きく削減します。

 当初、年度内での退役を計画していた7機のほか、28機を追加で退役させます。対象となるのは大型機が中心で、ボーイング777型機計22機を退役させるほか、受領予定だったエアバスA380型機1機とボーイング777型機1機の納入を延期することで、計24機の大型機を削減します。

 また、グループ内で新たな航空会社を立ち上げます。中距離となる東南アジア・オーストラリア路線を中心に、拡大が見込まれるレジャー需要獲得を担う新たなLCC(格安航空会社)を立ち上げ、国際線の需要の回復をにらみながら2022年度を目途に運航を開始します。

 新LCCは、傘下の航空会社「エアージャパン」を母体とすることで、速やかな事業立ち上げが可能であり、急激な需要動向の変化への柔軟な対応力を保持します。飛行機は、すでにANAで使用している300席級のボーイング787型機を活用するといいます。

「コロナを乗り切るには、止血策だけではなく、ビジネスモデルを変える必要があると考え、徹底的に議論を重ねてきました。これらの規模縮小は一時的なもので、来年度は必ず黒字化を目指します。これまで幾多の困難をANAは耐えてきました。これからも、より強いANAグループを目指したいと考えています」(ANA HD 片野坂真哉代表取締役社長)

 このほか、グループ内の人員配置の適正化、具体的にはコールセンターやコンシェルジュ、企業の受付などの職種としてグループ外企業にスタッフを出向させるなど、雇用維持政策も並行して図るとしています。