販売店スタッフも初耳?ひっそりすぎる最期
トヨタのコンパクトワゴン「ポルテ」と「スペイド」が、2020年9月中旬で生産と受注を終了していることがわかりました。
突然の出来事に、販売店やユーザーはどのような反応を示しているのでしょうか。
ポルテとスペイドは、2020年7月2日に特別仕様車「F“Safety Edition”」、「G“Safety Edition”」を発売していました。しかし、前述のとおり、その2か月後の9月中旬で生産と受注を終了していたことに関して、公式のアナウンスがなかったといいます。
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2020年9月16日にマイナーチェンジをした「ルーミー」はそれまで兄弟車としてラインナップしていた「タンク」と車種統合する形で姿を消していますが、「ルーミーへの1本化」として継続販売しています。
一方で、同じく兄弟車であるポルテとスペイドは車種統合せずに、どちらもひっそりと「消えていく」ようです。
では、そんなポルテとスペイドに対し、販売店スタッフやユーザーは、どんな反応を示しているのでしょうか。
まず、現在の販売状況について、トヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「当店では、月に1台出るか出ないかといった印象でした。
購入するお客さまは、先代モデルから乗り換えたいという人や、街で見かけたりレンタカーで乗って室内の広さや片面スライドドアを気に入った、という人が多かったです」
現行のポルテとスペイドは、2012年に登場しました。ポルテは2代目、スペイドは初代モデルとなっています。
近年の国内市場では主流となった、ボディサイズを抑えつつも室内空間の高い「コンパクトワゴン」の先駆けともいえる存在です。
ボディサイズは、全長3995mm×全幅1695mm×全高1690mm-1720mmです。持ち味の室内空間は、室内長2160mm×室内幅1420mm×室内高1380mmと、広々としています。
また、ポルテとスペイドの最大の特徴は、初代ポルテから採用されている片面の大開口スライドドアです。
運転席側は、運転席と後部座席のそれぞれがヒンジドアとなっていますが、助手席側はスライドドア1枚の仕様となり、この独特な装備は、同社がラインナップするモデルでは唯一です。
しかし、その特徴は販売には繋がらなかったようで、現行モデルのポルテとスペイドを発売当初から知るトヨタの販売店スタッフは以下のように話します。
「はじめはそこそこの売れ行きでした。変わったスライドドアや丸いフォルムは、女性からも人気が高かったのを覚えています。
しかし、今のシエンタとルーミーが発売された2015年から2016年頃から一気に伸び悩みました。
ちなみに、ポルテが受注を終了していることは、私もお問い合わせを頂いて初めて知りました」
シエンタとルーミーの影響で、ポルテとスペイドは影の薄い存在になった!?
現行シエンタは2015年7月、現行ルーミーは2016年11月より販売され、瞬く間にヒット車種となりました。
例として、2017年の年間新車販売台数ランキング(軽自動車のぞく)をみると、シエンタは7位(9万6847台)、ルーミーは11位(7万8675台)となっています。
一方、同年でポルテは47位(8808台)、スペイドは50位(8061台)。前年比ではポルテは51.7%、スペイドは40.4%となっており、シエンタとルーミーの登場とヒットが、ポルテとスペイドの販売不振に大きく影響していることがわかりました。
前出の販売店以外にも数店舗へ取材したところ、ほとんどのスタッフがポルテとスペイドの受注終了を把握していませんでした。
なかでもあるスタッフは、「最後“も”全然売れずに消えていくようです」と話しています。
また、同スタッフは「今後も車種整理はおこなわれていく方針ですが、『アルファード/ヴェルファイア』や『ノア/ヴォクシー/エスクァイア』はルーミー同様にどれかに絞った形で継続されると見られています。
しかし、『プレミオ/アリオン』は今回のポルテとスペイドと同じくらい販売不調なので、ひっそりと無くなる可能性もありえます」
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トヨタは、2018年にその時点で約60車種あるラインナップを約30車種まで半減する方針ということを明かしています。
今回、コンパクトワゴンジャンルの先頭を走っていたポルテとスペイドは、有終の美を飾ることなく、ひっそりとモデルライフを終了しましたが、今後はさらに1本化や統合の流れが加速しそうです。