ムリだと思っていてもじつはキレイにできる可能性アリ

 外装というのは、紫外線の影響で劣化するのはイメージしやすいが、内装も同様に劣化する。クルマというのはグラスエリアが大きいので紫外線は侵入するし、止めたままであれば熱や湿気がこもる。さらに素材も樹脂や布など複合しているのは、劣化という点でもやっかいだ。

 そうなると、次第にヤレが進んで、貧相な感じになってくるのは仕方がないとはいえ、大切な愛車だけになんとかしたいところだ。ただ、この点も外装と違って、どうしたらいいのか、わかりづらかったりする。ひとつひとつ整理して、対処法を紹介しよう。

1)樹脂部分(シボの入っているところ)

 ダッシュボードの表面には質感を上げるためにシボと言われるシワが入れられている。このシボがやっかいで、単純につや出し剤を塗るだけではダメ。ポイントはシボに入り込んだ汚れを取り除いてから、塗るということ。長年に亘って汚れが蓄積しているだけに、かなり汚いハズだ。

2)樹脂部分(ツルツルのところ)

 最近は高級感を出すために、シフトのまわりなどにピアノブラックと呼ばれる黒いツルツルの樹脂が使われていることがある。またツルツルでいうと、メーターカバーも次第に汚れが溜まったり、キズが付いてヤレてくる部分でもある。磨いてキズを取るのは至難のワザなので無理としても、汚れ落としも大変で、むやみにこするとキズが増える可能性もある。

 そこで流用テクをひとつ。汚れ落としにはメガネクリーナーを使うといい。スッキリ、ムラなくきれいにできる。またバイク用品店で売られているヘルメットのシールドクリーナーでもいい。さらにキズは、透明樹脂用の復活剤というのがあるので、それを使えば表面を平滑化してくれるので、復活が可能だ。

3)スイッチやダクト

 ここは上記のテクだけではダメ。細かいので汚れやホコリが入り込んでいる可能性が高いので、それを放置してツヤだけ出してもダメ。つまりシボの場合と同じで、綿棒や歯ブラシなどを使って、入り込んだ汚れを取り除いてからツヤ出し剤を塗るようにする。

丸洗いできないものもこまめな作業で汚れは落とせる

4)レザー部分

 まず覚えておいてほしいのが、レザーというのは表面に色を塗って作られているということ。それはブラウンの場合も同様だ。なので、復活させるには再度色を塗るしかない。しかし、革に色を塗るなんて素人には無理と思うかもしれない。ひどく革自体が毛羽立って、薄くなっていると無理というか、張り替えになったりするが、色が薄くなってきた程度であれば、じつは簡単だ。

 使うのは靴用のクリーナー(靴墨)で、色が付いているもの。これを塗って、二度拭きで仕上げればいい。ちなみに二度拭きで余分なクリーナーを取り除かないと手に付いたりしてやっかいだ。もちろん色が合わないとダメなので、すべてというのは無理だが、レザー製品の色というのは基本的にそれほどたくさんないので、スタンダードな色の場合は合う可能性が高い。

5)布シート

 新車時はパリッとしていたのに、だんだんくすんでくるのは汚れが大きな原因だ。よく考えたら、シートは洗えないしクリーニングもしないので、汚れや汗などは染み込み放題の部分。そうなれば次第にヘタった感じになるのも当然だ。シートのクリーニングのポイントはいかに入り込んだ汚れを取り除くか。完璧な仕上げはさすがに無理なのだが、軽く絞ったタオルを使ってトントンと染み抜きの要領で全体を拭き上げていくしかない。また思った以上にホコリが細かいところに入り込んでいるので、掃除機掛けも行っておきたい。

6)内張り

 内張りはドアの裏や天井に使われていて、前者であれば開閉時に手アカなどが付くし、天井はタバコを吸うならヤニは上に上がるので黄色くなっていたり、髪の毛が付着していたりする。シート同様に水拭きなどでいいと思いきや、あまり派手にやると内部の糊が剥がれて布が浮いてきてしまうので、そこそこで止めるのがコツとなる。それでもかなり汚れは取れるハズだ。

番外編)輸入車のベタベタ

 1990年代頃のヨーロッパ車に多いのが、内装のベタベタ。グニョグニョしていて、非常に気持ち悪い感じになる。しっとりとした質感のために採用された、プロテイン塗装と呼ばれるもので、クルマ以外だと高級カメラにも使われていたりする。いずれにしても見た目も触感も非常によくないのでなんとかしたいが、方法としては専用のクリーナーで剥がしてやるしかない。逆を言えば、剥がせるので気になる人は剥がしてしまったほうが気持ちもいい。