ライターの仕事をフリーランスとしてやっていくのは難しいことでしょうか。Webコンテンツのライティングなら未経験でも仕事は取れますが、「本業としてやっていくほどの収入は得られないのでは? 」と思う人も多いでしょう。

しかし、フリーランスライターの年収調査では、7割もの人が年収200万円以上を得ているとの結果も出ています。収入を大きく伸ばすために取り組みを続けることで、自活できる程度の収入を得ることは十分に可能です。

本記事では、未経験からフリーランスのライターになる方法について解説します。文章を書くことが好きで、ライティングで収入を得たいと考えている方は、ぜひご一読ください。

フリーランスライターになるだけなら簡単

フリーランスのライターとして仕事を始めるだけなら、特に難しいことはありません。ライターを名乗るのに資格は不要。どのように動けばいいか分かっていれば、今日からでもすぐにフリーランスのライターとして仕事を始められます。

最初に、未経験の人がライターの仕事を始める方法について解説します。

フリーランスライターになるだけなら簡単


○クラウドソーシングサイトに登録

Webコンテンツのライティング案件なら、ライター未経験の人でも、比較的手軽に仕事を見つけられます。未経験の人がWebコンテンツのライティングの仕事を探すには、クラウドソーシングサイトの登録が便利です。ライティング案件が多いクラウドソーシングサイトは以下の通りです。

クラウドワークス

ランサーズ

サグーワークス

Shinobiライティング

クラウドワークスやランサーズは、日本のクラウドソーシングサイトでも特に知られているサイトです。タスク形式か、プロジェクト形式で文字単価0.5〜1.0円の案件なら、初心者が応募しても採用されやすいでしょう。

○プロフィールを充実させる

クラウドソーシングサイトに登録したら、プロフィールを充実させましょう。どのような経歴があり、ライティングではどのような分野の経験があるかを記載するだけで、プロフィールを見てもらえる可能性は高くなります。

タスク形式やプロジェクト形式でライティング案件に採用されたら、ひとつひとつの案件を着実にこなして、高評価をコツコツと蓄積しましょう。対応した仕事は、プロフィールに「経験」として反映することを忘れないでください。

一定以上の高評価が蓄積されると、提案が非常に通りやすくなり、仕事を獲得しやすくなります。

○実績を積んだらプロフィールやポートフォリオを更新

安定的に仕事を受注できるようになると、さらに実績に厚みが出てきます。新しく経験した案件は、プロフィールやポートフォリオをこまめに更新して追加してください。

実績が増えてくると、これまでの案件でやり取りをした顧客から継続して仕事の依頼が来たり、新規の顧客から仕事の相談を受けたりするようになります。

フリーランスライターの年収事情

フリーランスのライターは、人によって年収にかなり違いがあります。どれぐらいの幅があるのか確認してみましょう。

フリーランスライターの年収事情


○年収200万円以上の稼ぐフリーライターは7割弱

フリーランスのライターは、年収200万円未満が32.0% 、200万円以上は68.0% 。稼働時間などの関係もありますが、頑張れば十分な年収を得られることが分かる数字です。

フリーランスライターを継続するためのポイント

フリーランスとしてライターを続けていくためには、収入を継続的に上げていかなくてはいけません。収入を継続するためには、いくつかのポイントがありますので解説します。

フリーランスライターを継続するためのポイント


○取引先との関係を良好に保つ

ライティング案件を獲得して仕事をする以上、必ず取引先とのやり取りが発生します。取引先との関係を良好に保つためには、以下のことを意識して仕事を進めましょう。

・納期を守る、提示された納期が難しい場合は最初に交渉する

納期を守るのは当然のことです。基本的には提示された納期を受け入れますが、他の案件との兼ね合いで、提示された納期では難しいこともあるでしょう。その場合は、納期を提示されたタイミングで相談すると、取引先の心証を損なわずに納期調整ができます。

仕事の依頼を受けたタイミングで納期を調整するには、現在の受注・稼働状況を日ごろから把握しなければなりません。Excelでも紙のノートでもいいので、毎月受注状況と納期を忘れないようにメモすることをおすすめします。

・キーワードから記事を作成する場合は、構成を提出して認識合わせをする

仕事を受注する際、特定のキーワードを渡されて記事作成をする場合は、記事を作成する前に記事の構成案を作成して、取引先に確認しましょう。取引先と事前に記事内容の合意を取ることで、取引先も期待した方向性の記事が仕上がるかどうか確認できるので安心できます。

・納品する前に記事の推敲を必ず行う

記事の品質を保つため、納品する前には誤字脱字チェックを行って記事の品質を高めることも、取引先の信頼を得る上で重要なポイントです。ツールで誤字脱字チェックを行った後は自分でも読み返します。

・規程文字数は必ず守る、文字数のカウント方法は事前に必ず認識を合わせる

文字数についての認識は、細かい部分で違いが出てしまう場合があります。文字数のカウント方法で注意しないといけない点は、タイトルや見出し、URLを文字数に含めるかどうかです。認識が違うと文字数確認でもずれが出てしまいます。

また、記事を作成する際は、規程文字数を200程度上回る文字数を目指しましょう。この程度の文字数なら、修正が発生しても規程文字数を下回りにくくなります。

・修正対応は誠実に対応する

記事は、納品したら終わりではありません。特に、初めての取引先では、何度か修正依頼が発生することもあるでしょう。修正対応は誠実に対応します。指摘された修正は、対応漏れが無いよう注意してください。修正依頼の意図が分からない場合は、素直に質問をして疑問を解消してから進めましょう。

・取引先が確認しやすいよう、参考サイトの情報をコメントで付与する

記事を作成する場合、参照サイトの情報を必ずコメントで付与してください。参照サイトは、可能な限り公的なサイト(政府・大学・役所・製品の企業サイトなど)を参照します。統計や調査などの情報も、調査資料を直接参照しましょう。

記事を納品した後、記事は校正者や校閲者によって、誤字脱字や事実確認などが行われます。その際、参照元をコメントにつけることによりチェックする人の工数が少なくなり、取引先にも喜ばれます。

○現状に不満があるなら人脈を広げる努力を

現状の収入が低いと不満がある場合は、人脈を広げる努力をしましょう。人脈を広げる方法のひとつとして試ししてほしい方法のひとつは、クラウドソーシングサイトの運営側が募集している公式案件に挑戦することです。

初心者でも採用されやすい公式案件は、文字単価1〜1.5円程度の案件です。納期をしっかり守って修正依頼にも着実に対応していくことで、運営側の信頼を得られるように継続してみてください。公式案件で実力が認められると、新しい案件があるときに運営側から声をかけてもらえるようにもなります。

○クラウドソーシングなどのサイトは複数登録

クラウドソーシングサイトなど、ライティング案件が募集されているサイトは、複数登録しましょう。いろいろ試しているうちに、自分にとって相性のいいサイトがどこかが見えてきます。仕事を多く受注できるようになったら、そのサイトでの活動をメインにしましょう。

○常に複数の取引先を持っておくこと

クラウドソーシングサイトの話とも被りますが、取引先は最初から絞り込まず、できる限り多くしておくことが重要です。高単価案件の多い取引先でも、いきなり仕事がなくなることも少なくありません。多くの取引先を持っていると、それだけリスクが分散されます。

○自分のブログを持つなど宣伝手段も持とう

実績が増えてきたら自分自身のブログを持ち、これまでの実績をポートフォリオとして公開するフリーランスのライターも多く見られます。クラウドソーシングサイトのプロフィール欄にまとめていた内容を、見やすい形に整えましょう。

クラウドソーシングサイトなどを介さず取引先企業から直接仕事を依頼されるようになれば、システム手数料を支払わないで済む分、収入は多くなります。

フリーランスの受注経路ベスト5

「フリーランス白書2020」では、ライターを含むフリーランスの受注径路について、回答の多い順に紹介されています。フリーランスがどのような受注径路から仕事を受注しているのかも確認しましょう。

フリーランスの受注経路ベスト5


○1.知人の紹介など人脈

もっとも多い受注径路は、人脈を通じた紹介です。独立したときに、それまでに築いた人脈を通して仕事を得るパターンが多いことが分かります。

ライターの場合、出版社や新聞社など、紙媒体の記事作成に関わる仕事をしていた人は、このパターンで仕事を受注可能です。ただし、未経験でフリーランスのライターになる場合、最初から人脈で仕事を得るのは、ハードルが高いでしょう。

○2.過去・現在の取引先

2番目の受注経路は、過去または現在の取引先からの受注です。仕事を受注して信頼関係を構築していけば、新しい案件が発生したときも声をかけてもらえ、継続で受注できるようになります。

案件が終了した過去の取引先であっても、定期的に「仕事はありませんか」と声をかけてみると、新しい仕事を受注できる場合も。過去・現在どちらの取引先であっても、関係を良好に保つ努力を続けることが次の受注につながります。

○3.自分自身の広告宣伝活動

3番目の受注径路は、自分自身の広告宣伝活動です。仕事用のブログやSNS活動、仕事で関係する人に渡す名刺など、広告宣伝活動はさまざまなものがあります。

先ほど説明したクラウドソーシングサイトのプロフィールを充実させることも、立派な広告宣伝活動です。受注が伸び悩んでいる場合は、広告宣伝活動を見直してみましょう。

○4.エージェントサービスやクラウドソーシングの利用

4番目の受注経路は、エージェントサービスやクラウドソーシングの利用です。特に未経験の状態でフリーランスのライターを目指す場合、これらのサービスを利用しないと、なかなか受注できません。ある程度実績を積んで人脈ができてきたら、仕事の幅を広げていきましょう。

○5.求人広告

5番目の受注経路は、インターネット上で見られる求人広告です。在宅ライターの募集をしている求人サイトを探し、仕事を得ることもできます。ただし、在宅ライターも、クラウドソーシングサイトと同じように、ある程度実績がないとなかなか採用に至りません。ある程度実績を積んでから、求人広告に応募してみましょう。

フリーライターの需要が高い領域とは?

未経験でフリーランスのライターになっても、収入を上げるのは簡単ではありません。しかし、これまでの経験で専門性の高い分野の知識を積んでいれば、フリーランスのライターとなっても需要が多く、かなり稼ぐことも十分に可能です。

ライターの需要が多い分野には何があるか、いくつか例を挙げて紹介します。

専門性の高い分野のフリーライターなら需要も多い


○医療分野の知識を活かせるメディカルライター

医療分野の知識がある人は、メディカルライターとして活躍の場が多くあります。医師・獣医師・看護婦・薬剤師など、医療分野に携わる人は、専門知識を持つ人として、ライティングだけでなく、記事の監修なども依頼される場合もあるでしょう。

医療・美容分野のライティング需要は多いので、薬機法(旧・薬事法)に配慮したライティングができれば、かなりの収入が見込めます。

○アニメやゲームなどのシナリオライター

テレビドラマや映画のシナリオライターになるのは、かなりの狭き門であり、何度も公募に応募しなければなりません。しかし、近年では、アニメやゲーム、またYouTubeの動画用のシナリオライターの需要も高まってきています。

シナリオライティングには専門的な知識が必要ですので、養成講座に通うか、独学で通常のライティングとは別の勉強をしなければなりません。しかし、仕事を受注できるようになれば、経験を積み重ねていき、収入を増やしていくことも十分可能です。

売れっ子のシナリオライターになれれば、かなりの高収入が見込めるため、挑戦しがいのある分野と言えます。

○金融機関勤務経験や資格が有効な金融ライター

高単価案件の多い分野のひとつに、金融関連があります。クレジットカード、キャッシング、投資、不動産など、金融にかかわる分野はアフィリエイトでも高単価のものが多いため、記事作成の需要も多いのです。

金融関連のライターは、金融機関の勤務経験や、ファイナンシャルプランナーなどの資格が大きな武器となります。金融関連の勤務経験や資格がない場合も、金融関連の案件を数多くこなして知識と実績を蓄積しましょう。継続していくことで、安定した収入を得られるようになります。

フリーランスライターである筆者の手順を公開

筆者自身、前職を退職した後、4年の時間をかけてフリーランスのライターとして少しずつ収入を伸ばしてきました。4年ほど前のからの体験談になるため、現状とはずれがあるかもしれませんが、ひとつの参考例としてご一読ください。

フリーランスライターである筆者の手順を公開


○文字単価0.5円の案件からスタート

筆者は、20年以上勤めていた会社を退職した後、一度同じ業界で派遣社員として1年近く働いていました。クラウドソーシングサイトにも登録していましたが、そのころはいくら応募しても案件を獲得することができないでいました。

初めてのライティング案件は、インターネット上で募集されていた占い鑑定文の作成案件です。取引先は3社ありましたが、当時の文字単価は0.5円、0.7円、0.9円固定でした。

○量をこなして執筆スピードを上げる訓練

文字単価が低い仕事をしている時代は、文字数を多くこなすことで、毎月10万円の収入を得るまでになりました。

自分の執筆スピードは大体1時間1,000字でしたが、しばらく訓練を続けているうちに、1時間2,000文字程度までは書けるように。占いの知識があったため、占い鑑定文作成の仕事を続けていました。インターネットであまり検索しなくても、持ち前の知識で文章が書けるので、それだけ執筆スピードも高めることが可能でした。

○収入を増やす転機はある人との出会い

ひたすら占い鑑定文作成の仕事を続けている私ですが、収入の上限も見えてきて、将来性に疑問を抱くようになりました。そのころ、ライターとして自立するきっかけとなった、大きな出会いが訪れます。占い鑑定文の仕事をしてから半年ほど経過したころのことです。

その方は、クラウドソーシングサイトで公式に近い案件を担当している人でした。その方から定期的に仕事を受けることができるように。占い鑑定文以外の文章を書く楽しさを知った私は、精力的にその方の仕事を続けます。回ってくる案件は必ず文字単価1.0円以上はあったため、収入も安定感を増しました。

このころの仕事は、旅行関連・グルメ関連・医療関連・美容関連と、とにかく多種多様。どの案件も私にとっては勉強の連続です。

しばらくクラウドソーシングサイトの仕事を続けた私は、ある時点で占い鑑定文の仕事を辞めました。文字単価0.5円の仕事で稼ぐためには多くの執筆をこなす必要がありますが、その分単価の高い仕事ができずに困ることが増えたためです。

占い鑑定文の仕事だけで10万円ほどの収入があったため、その仕事を整理する決断にはかなりの恐怖がありました。しかし、今思うとこの決断は重要で、以降は収入が増えていくことになります。

○校正作業で他ライターの文章から学習

その後、仕事を回してくれていた方から「ライティングだけでなく校正作業もやらないか」と声をかけて頂きました。

校正の仕事では、他のライターさんの文章を多く読むことになります。低単価の案件は初心者が多いため、記事の品質は非常にばらつきがありました。しかし、記事をチェックする立場になったことで、どういう点に注意するといいかが見えるようにもなり、自分のライティングに活かす上で非常に勉強となる経験でした。

案件数も多くこなして自然と実績が増えていったため、このころから、クラウドソーシングサイトの案件受注も増えていきました。それまで続けていた派遣の仕事も辞め、フリーランスのライター1本でやっていく決意をします。

○構成作成の工程を経験して構成力を培う

公式の案件が回ってくるようになってから、横展開で公式案件を紹介してもらうようになりました。中には、記事の作成だけでなく、記事の構成案を作成する仕事も頂けるように。記事の構成案作成では、SEO対策やWeb媒体特有の基本構成などさまざまなことを学びました。

最初のころは何度も修正依頼が入り、案件から外されることもあって非常に苦労しました。苦しい時期でしたが、ひたすら構成案を作る仕事を続けていくことで、少しずつ構成力が培われたと感じています。

ここで構成力とSEOの基礎知識を学んだことで、より高単価の案件を継続的に受注できるように。文字単価1.5円から2円の仕事も少しずつですが獲得できるようになりました。Webライティングに自信が持てるようになったのはこのころです。

気が付けば、占い鑑定文の仕事を始めてから2年ほど経過していました。このとき売上高は、約400万円に。実際には、そこにクラウドソーシングサイトのシステム手数料が加わるため、300万円程度の売上高ではありましたが。このころから、「ライティング1本でやっていけそうかな」と思うようになりました。

○文字単価1円台の案件を卒業して高単価案件に挑戦

仕事が非常に増えて来た3年目は、多いときには20案件以上を抱え、広く浅く仕事を続けている状態でした。

ここから、文字単価1円台の仕事から、文字単価2円以上の仕事にシフト。ただし、これまでお世話になってきた方々からの仕事は受けるようにして、信頼関係を損なわないように注意しました。収入は月ごとに上下しながらも、さらに増えていきます。3年目の売上高は額面上577万円に達しました。

○年収アップのきっかけは人脈から

仕事が軌道に乗り始めたころ、クラウドソーシングサイトから紹介されたフリーランスの交流会に参加しました。このとき知り合った同業の方の1人は、今重要な取引先のひとつです。

この方とクラウドソーシングサイトからの収入で、1カ月に手がける案件数も落ち着いてきて、10件程度で十分に生活できる収入が得られるようになりました。

私はどちらかと言えばあまり積極的に人脈を広げるタイプではありません。それでも、やはり人脈は重要であり、他人と交流する機会は大切にしないといけないと感じています。

○足かけ4年で会社員時代の収入超え

フリーランスのWebライターとしてやってきた4年目、売上高は700万円を超えました。これはラッキーな要素もあったため、自分の実力としては3年目の売上高ぐらいが妥当かもしれません。それでも、売上高が会社員自体の年収を超えたことは私にとって喜ばしいことでした。

現在、私が受ける仕事の平均文字単価は平均2.5円。決して高い方ではありません。それでも、十分に生活していくだけの収入は得られるようになりました。

未経験からでもフリーランスのライターになれる!

紙媒体主体の時代は、フリーランスのライターになるには出版社や新聞社、編集プロダクションなどでの勤務経験が必要でした。

しかしWebメディア増加中の今、常にWebコンテンツ作成の需要がある状況です。今後もWebライターは求められるため、地道に仕事をつづけることで収入を増やしていくことは十分に可能です。

これからフリーランスのライターを目指す方は、できることから始めてみてはいかがでしょうか。