料金所前後は「難関」ポイントが多い

 対向車も交差点もなく、歩行者も自転車もいない高速道路は、本来は目的地までスムースに安全に速くたどり着くために、積極的に走りたくなるルートのはずですね。でもなかには、「できれば通りたくない」と敬遠する人もいるんです。とくに、免許取り立ての初心者や、免許はあるけどたまにしか運転しない、というようなドライバーにとっては、確かにちょっと怖いなぁと感じるポイントもあるのは事実。そこで今回は、運転に慣れていない人が高速道路で怖いと感じやすいポイントと、恐怖を克服できる運転のアドバイスを合わせてご紹介したいと思います。

1)料金所への入口

 まず1つ目は、高速道路の入り口で料金所を通過する際に、ETCレーンと現金払いレーンのどちらかにうまく入れなくて怖い思いをすること。多くの料金所では、ETCレーンが右、現金払いレーンが左に設置されている場合が多いと思いますが、東名高速道路など大きな入り口の場合には、多数のレーンがあるので自分がどこのレーンに向かえばいいのか、瞬時に判断できずに挙動不審になってしまうドライバーもいます。途中で「ここは違うレーンだ」と気づいても、すでに列ができているところに割り込まなければならず、ププーッとクラクションを鳴らされたりして、余計に怖くなってしまうことも多いですね。

 最近はナビ画面にどこがETCレーンでどこが現金払いレーンなのか、位置情報まで正確に表示されるナビも増えていますが、料金所の手前ではレーンの位置をなるべく早く認識し、自分の進むべきレーンの列にすみやかに移動しましょう。ETCレーンに続く路面には、水色の破線がペイントされているところもありますので、参考にしてくださいね。

2)料金所をすぎたあとの合流

 続いて2つ目は、料金所を過ぎてから本線への合流です。本線までの白線が引いていない料金所では、どこを走れば走行車線に入れるのか迷うところもありますし、首都高速のように助走区間が短いなかで、本線に合流しなければならない場所もあり、慣れないとなかなかスムースに合流するのは難しいものですよね。

 たとえば6レーンの料金所から3車線の本線に合流するという場所では、両隣りのレーンから出てくる車両に注意しつつ、ひとまず自分にいちばん近い、無理せず入れる走行車線に入ってください。そのあと、落ち着いて一呼吸おいてから、自分の速度や流れに合った車線に移動するようにするとスムースです。首都高速など合流地点の見切りが悪く、助走区間も短いような場合には、無理に1発で合流しようと焦らなくて大丈夫。速度を上げ過ぎずにしっかりと安全確認をしてから、本線から来る車両の前に入ろうとせず、通過する車両の後ろについていくようなイメージで合流すると、比較的スムースにいくと思います。

天気の急変時には速度を落とし車間距離しっかり確保!

3)工事や事故の車線規制

 3つ目は、せっかく流れにのって走っていたのに、工事や事故で車線規制になってしまった場合です。規制された車線が右車線の場合は、速度の速いクルマたちがどんどん走行車線に車線変更で入ってきますので、しっかりほかの車線に気を配っていないと怖い思いをするかもしれませんね。

 まず、工事などでこの先が車線規制になっている場合には、およそ1kmほど手前から案内表示が出ていると思いますが、けっこう小さな表示の場合も多いので、それを見逃さないように。そして500m手前にもまた案内表示があると思いますので、それを見たら速度をゆるやかに落としながら、自分の前に入りたがっている車両がいたら、入れてあげましょう。もし自分が規制される車線にいた場合には、1km手前の案内表示を見たら、余裕をもって車線変更を済ませておくと安心です。案内表示を見逃さないことと、周囲の車両の動きに普段よりさらに気をくばること。これがポイントです。

4)渋滞への突入

 次に4つ目は、やはり事故や工事、天候の変化などさまざまな理由で発生する、渋滞に突入する時にも恐怖を感じやすいものです。事前にナビアプリなどで渋滞情報を確認したときに、すでに渋滞していれば心の準備はできていると思いますが、突然の渋滞は寝耳に水といった感じで、何が起こったかわからずパニックになってしまう人もいますよね。ただ、突然の渋滞だと思っても、多くの渋滞は少し手前の電光掲示板などを注意深く見ていれば、「この先渋滞」との案内が出ていた可能性も高いのです。ハイウェイラジオ(AM1620)の放送をマメに聞くことも、正確な情報収集には有効。渋滞のほかにも通行止めや事故などの情報を24時間提供してくれますので、ラジオ放送区間の案内表示を見たら、周波数を合わせて聞くようにするといいですね。

 そして、渋滞の最後尾の車両は「ここから渋滞だよ」と後続車に知らせるため、ハザードランプを点滅させてくれていることが多いので、それを見たらすぐに減速し、自分もハザードランプを点灯すると、後ろから来た車両に追突されるリスクも大きく減ると思います。

5)悪天候に遭遇したとき

 5つ目は、突然の豪雨、雪、濃霧といった悪天候に高速道路走行中に遭遇したとき。できれば高速道路に入る前に、天気予報などで情報をチェックし、天候の変化が予測される場合には時間帯をずらしたり、早めにSAやPAに避難して天候回復を待つのが基本ですが、やむを得ず悪天候に突入してしまった場合には、まずライトを点灯させて速度を安全が確保できるまで落とし、車間距離をいつもよりさらに長めに確保。他車よりも極端に速度が遅い場合には、ハザードランプを点灯したまま左車線を走行して、いちばん近いSAやPAまで移動するか、IC出口で降りましょう。高速道路上で停車するのは危険なのでNGです。

 また、濃霧の場合にはライトを必ずロービームにしてくださいね。ハイビームにすると、光が霧に乱反射してしまい、かえって視界が悪くなってしまいます。前の車両のテールランプさえ見えないような濃霧では、いつ急に前走車が目の前に出てきても、すぐに止まれる速度まで落として走ります。そして、車道に沿って設置されている視線誘導灯などを目印にしながら、最寄りのSAやPAに避難するのが賢明です。

 というわけで、運転に不慣れなドライバーが怖いと感じやすい、高速道路の鬼門をご紹介しました。どれも、単に運転テクニックを上げることが重要というわけではなく、事前の情報収集や運転中に注意深く周囲の様子を観察することが必要になってきます。でも逆に言えば、それをしっかりやっておけば、あとは落ち着いて状況判断をしながら、無理せず対処するだけ。いちばん怖いのは知らないこと。そして焦って闇雲に行動することなので、これを読んだあなたならもう大丈夫でしょう。敬遠していた高速道路、次のドライブの時にはチャレンジしてみてはいかがでしょうか。