弁護士、柳原桑子先生が堅実女子の相談に答える連載です。今回の相談者は、田所愛華さん(仮名・39歳・派遣社員)。

「大学の同級生と不倫しています。私が派遣された会社の部署に、彼が課長としていました。

学生時代、とても仲が良かったこともあり、思い出話をしているうちに、男女の仲になりました。誘ったのは私のほうだったと思います。

今、交際半年なのですが、なんか私に飽きてきたというか、態度がよそよそしいのです。最初は、“妻と離婚するから、結婚しよう”と言って、毎晩のようにウチに来てくれましたが、ここ1か月くらいは仕事の多忙さを理由に来ない。それに、LINEやメールの間隔も空いてきているんです。

彼は妻と、10年前から仮面夫婦で家庭内別居をしていると言っていました。専業主婦をしている年下の奥さんは、彼がグチを言うと、“そういう難しい話はしないで”と言い捨てる。さらには、子どもも産まずに彼のお金でのうのうと暮らしているのだとか。

彼の話では、家事もロクにしないそうです。食卓には買ってきたお惣菜が乗り、台所は使っていないからピカピカだそうです。だから、私が作ったお味噌汁に感動してくれたんだと思います。

もし、私を奥さんにしてくれたら、年齢的にも彼の子供を産んであげることもできます。彼は自分の子どもを欲しがっています。

先日、ウチに泊まった時に、彼のスマホをチェックすると、私とのやりとりなどはすべて消去されていました。これもショックで……きっと奥さんが怖いのだと思います。

彼の夫婦関係を破綻させれば、私と彼は結婚できると思っています。そこで、SNSの匂わせなども考えていますがどうでしょうか。

この計画を友人に伝えると、”暴走はやめなよ”と怒られました。

私がもし、この計画を実行したら、どのような結果になるのでしょうか。法律的に問題はありますか?私は彼を幸せにしたいだけなのですが……」

弁護士・柳原桑子先生のアンサーは……!?

法的には、婚姻関係にある者と交際するということは、その配偶者を傷つけることになると考えるのです。

不倫は法的に保護されませんので、不倫をし、かつ相手の婚姻を解消させようとすることについて、支持するような法的アドバイスはありません。

仮に、あなたの交際相手が不仲のようであっても、同居しているわけですし、本当のところどうであるかはわかりません。

あなたが計画しているように、彼ら夫婦を離婚させるための策略を実行した場合、あなたとの不倫が奥さんに発覚すれば、あなたは奥さんから慰謝料を請求される立場です。

その結果、ふたりが離婚してしまえば、なおさら慰謝料額は上がります。

その後、彼があなたと婚姻したとして、幸せが保障されているものでもないのです。そもそも、その彼はあなたと不倫した人ですから、また他の女性と不倫をする可能性もあります。

あるいは、彼は奥さんと離婚せず、婚姻を継続し、あなたとは別れる可能性もあるのです。

最悪のケースとしては、不倫において感情論から暴力的な事件に発展したり、社会的な制裁が加えられることもあります。

冷静に考え、行動することが大切です。

不倫相手が離婚すると、慰謝料額は上がる傾向がある。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/