さまざまな特典があり、お得さで人気の株主優待。9月は優待を受けられる銘柄が3月に次いで多い “優待祭り” の月だ。まずは、初心者のための基本のキを学んでおきたい。解説してくれるのは、節約アドバイザーの丸山晴美氏だ。

「まず株を購入するには、証券会社に口座を開く必要があります。『権利確定日』に株主であれば、優待を受けることができます。9月末が確定日なら、2020年の場合は9月28日(月)までに株を購入することが条件となります」(丸山氏、以下同)

 今回は初心者でも購入しやすいように、10万円以下で購入でき、9月に権利確定する銘柄から、本誌と丸山氏がベスト20をセレクトした。その銘柄が冒頭の表だ。選び方のポイントは?

「株主優待も魅力ですが、あくまで投資であることを忘れないこと。株価の動きや、今後の動向についてしっかり調べましょう。投資額に対してどれだけの優待があるか、『優待利回り』も重要な指標ですね。

 が、いくら利回りがよくても、自分が利用しない店や、近隣に使える店舗がなければ、無駄になる可能性が高いので、避けるべきでしょう」

 2020年はとくに、新型コロナウイルスの影響が大きいという。

「投資ですから、なによりタイミングが大事。コロナ関連ニュースが株価にも大きな影響を与えているので、こまめにチェックしてください。

『ここまで下がれば買い』という自分の基準を作って指し値しておくのも手です。今回のリストは飲食系が多いですが、長期的に見れば、今後は伸びていく可能性があります」

 銘柄によっては、「1年以上保有」などの条件がある場合もあるので注意が必要だ。また、9月の優待は、送付が11月以降という場合が多いという点にも留意されたい。

「全体的に評価は辛口になってしまいましたが、『ワタミ』はいいですね。優待券にありがちな使用時期の条件がないのが素晴らしい。『力の源』は、一風堂ラバーなら星3つの評価でもいいかもしれません」

 以下では、冒頭の表で紹介した20銘柄について、丸山氏が解説する。せっかく投資するなら、株主優待で得したい。じっくり選ぼう。

【株主優待銘柄ベスト20】
●ゼット(8135)
 公式オンラインショップの取扱商品が通常販売価格の2割引きで購入可能に。ゼットの野球用品以外にもコンバースやThuleなどのブランドも扱っている。

「ある程度スポーツ用品を購入するなら検討の価値あり」(丸山氏、以下同)

●ひらまつ(2764)
 レストランの飲食代、ホテルの宿泊・飲食代が1割引きになる優待カード。500株以上保有すれば20%割引になる。披露宴での飲食代割引も選べる。

「年間20万円以上の利用があれば、お得といえます」

●愛眼(9854)
 メガネフレーム及びレンズの30%割引券が1枚もらえる(特別限定品は20%割引)。500株以上保有で割引券は2枚に。補聴器10%割引券ももらえる。

「『ここの眼鏡でなければ』という人にはおすすめ」

●ヴィア・ホールディングス(7918)
「やきとりの扇屋」「魚や一丁」などで使える割引券がもらえる。飲食代金1000円ごとに500円割引となる券が10枚=5000円相当。保有100株ごとに枚数増。

「優待利回りが約30%で優秀。よく利用する方にはおすすめ」

●エスクリ(2196)
 30万円相当のウエディングアイテムチケットに加え、レストランの30%割引券。レストランは東京・青山、大阪・梅田、沖縄・北谷の3店舗ある。

「使用できるのが3店、クリスマス期間不可などの条件に注意」

●極楽湯ホールディングス(2340)
 従来は1年以上保有が条件だが、今年はその条件がなく9月末保有で「無料入浴券」が2枚もらえる。従来は1年以上保有で4枚(100〜300株未満)。

「年1回の優待。入浴券は約1000円相当。株価のわりにはお得感あり」

●リネットジャパングループ(3556)
「ネットオフ」買物券1000円分もあるが、メインは「宅配買取クーポン」。査定金額3万円以上で査定金額が1万円アップ。2年以上保有ならさらに得。

「 “断捨離” ブームで、買取クーポンを上手に活用したいですね」

有名電機店で買い物も

●東急不動産ホールディングス(3289)
 リゾートホテル宿泊優待券1枚、「東急ステイ」など宿泊優待券2枚、「スポーツオアシス」など優待券2枚。3年以上、500株以上でカタログギフトも(3月)。

「100株でも、それなりに楽しめる。株価の割安感もあり」

●海帆(3133)
 居酒屋「昭和食堂」など、東海地方を中心に展開。2000円分の食事券に加え、20%割引券または「おこめ券(2キロ)」。9月のみ、1年以上保有でクオカードも。

「東海地区の方には、おすすめ。買うなら200株以上、長期保有で」

まんだらけ(2652)
 2000円分の自社優待券。1年以上継続保有の場合は5000円分。自社発行の隔月刊誌の優待価格販売もあり。優待券がもらえるのは9月の権利確定のみ。

「1年のお得感はやや薄いものの、2年め以降はお得です」

●三越伊勢丹ホールディングス(3099)
 10%割引になる株主優待カード。4〜9月の新規株主は利用限度額が15万円(100株)。3月確定は限度額が30万円。利用限度額まで何度でも利用可能。

「百貨店の1割引きはありがたい。お歳暮、中元などで利用できそう」

●ヤマダ電機(9831)
 1枚500円相当の優待買物券×4枚=2000円相当がもらえる。買い物1000円につき500円分の優待券が利用可能。3月は優待券2枚。1年以上保有で枚数増。

「長期保有で優待券が増え、優待利回りが向上するのは魅力」

●一家ダイニングプロジェクト(9266)
「屋台屋 博多劇場」「大衆ジンギスカン酒場ラムちゃん」などグループ店舗で使える500円券×5枚=2500円分の食事優待券。12月は利用不可。

「割引券ではなく、飲食代金として使えるのはグッド」

●力の源ホールディングス(3561)
「一風堂」などで使える10%割引カード。毎月「1」のつく日(1日、11日など)は20%割引になる。1000株保有で、1品無料の優待券3枚。

「優待券は、同伴者1名のぶんも無料に。株価が安くなったときが狙い」

●ゼビオホールディングス(8281)
 20%割引券1枚と10%割引券4枚をセットで。買い物1回につき1枚利用可。買物限度額は30万円。1000株保有で割引券は、20%が2枚+10%が8枚に。

「30万円の買い物で20%割引なら、6万円引き。割は悪くないのでは」

●ラウンドワン(4680)
 クラブ会員入会券1枚と500円割引券5枚、レッスン優待券1枚。500円割引券は1000円以上で、1人1回1枚限り利用可。クレジットカード支払い時利用可。

「利用頻度が高いなら、長期保有前提でじっくりと使ってみても」

●タカラトミー(7867)
 公式通販サイトで10%割引。1年以上保有で30%割引、3年以上で40%割引になる。3月はオリジナルトミカ2台がもらえる。

「2000株でもらえるトミカ4台+リカちゃんは、高額で売買も」

●アトム(7412)
 2000円相当のポイント。「ステーキ宮」などアトムのブランドだけでなく、コロワイドやカッパ・クリエイトの店舗でも使用可能。

「ポイントで商品が購入可能なので、無駄になりにくいのがミソ」

●ルネサンス(2378)
 施設無料利用券が2枚。1枚1名、15歳以上。レンタル用品一式も無料。または、1000円以上の商品2割引き、入会金無料のいずれかを選択。500株で10枚。

「株価は割高感あるものの、年4枚の施設利用無料券は魅力あり」

●ワタミ(7522)
 グループ店舗や宅食で利用できる500円分の優待券×6枚=3000円分。ワタミファームの農産物を使った商品と引き換えることも可能。

「ランチタイムや繁忙期にも使えるのが魅力。太っ腹ですね」

※各企業IR情報から本誌が作成。株価は8月27日の終値、優待内容などは8月27日時点

(週刊FLASH 2020年9月15日号)