“声優×ラップ”という新たな切り口で、いま若者を中心に熱狂的な支持を得ている音楽コンテンツがある。2017年9月に始動した、音楽原作キャラクターラッププロジェクト『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』(以下、『ヒプマイ』)だ。

ヒップホップシーンを牽引するラッパーやトラックメイカーも手がける本格的な楽曲、それぞれが個性あふれる魅力的なキャラクター、そしてキャストによるライブステージが話題を呼んで、人気が爆発。2020年現在も熱を帯びたまま、さまざまなメディアミックスが進行中だ。

ライブドアニュースでは、10月からのTVアニメ化を記念して、イケブクロ、ヨコハマ、シブヤ、シンジュクの4ディビジョンを連続で特集する。

第3弾は、シブヤ・ディビジョンより、白井悠介(飴村乱数役)、斉藤壮馬(夢野幻太郎役)、野津山幸宏(有栖川帝統役)が登場。「マイペースな3人が揃った」と話すとおり、終始リラックスした雰囲気で、のびのびとした取材となった。

撮影/増田 慶 取材・文/鈴木 幸 制作/アンファン
スタイリング/ヨシダミホ ヘアメイク/小川千沙【白井】、紀本静香【斉藤】、Coomie(B★side)【野津山】
衣装協力/デニムジャケット ¥42,000(codona de moda、tel.03-3408-6855)、チェックシャツ ¥93,000、Tシャツ ¥5,500(GR8、tel.03-3408-6908)、パンツ・ハーフパンツ(MINTCREW参考商品/WORLD STYLING、tel.03-6804-1554)【白井】、ワイドパンツ ¥26,000(Wizard/TENNY RANCH tel.03-6812-9341)、
ネックレス(GIGOR 参考商品/WORLD STYLING)【斉藤】コート・パンツ(参考商品/WORLD STYLING)【野津山】

「TVアニメ『ヒプノシスマイク』」特集一覧

▲左から斉藤壮馬、白井悠介、野津山幸宏

アニメーションで描かれるラップバトルの演出に注目

いよいよ10月からTVアニメ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Animaが始まりますが、シナリオを読んだ感想から教えてください。
白井 原作のドラマトラックでは各ディビジョンがクローズアップされていましたが、アニメでは4ディビジョンが一気に登場するわけですよね。どうキャラクターを絡めていくんだろうと思っていたんです。

あまり細かくは言えないのですが、みんなとてもいいバランスで見せ場を作っていただきました。

ドラマトラックとはスタート地点やキャラクター同士の関係性が少し違ったりして、そこはぜひ楽しみにしていただきたいところですね。
斉藤 そうですね。アニメから入る方にも観やすいように作られていると思います。もともと『ヒプマイ』が好きな方にはアニメならではの魅力をお伝えできると思いますし、「『ヒプマイ』ってよく聞くけど、どこから入ればいいんだろう?」という方にも、このアニメ化はいいタイミングなのかなと。

とにかく1話を観ていただければ、おおむね4ディビジョンの特徴がわかるようになっているので、『ヒプマイ』の入口としては適切なのではないかと思います。
野津山 今までドラマトラックを聴いてくださっていた方も、新鮮な気持ちで観ることができるシナリオになっていると思います。
白井 アニメの幻太郎と帝統は、めちゃくちゃいいヤツなんですよ。アニメでシブヤ・ディビジョンの3人をああいうふうに描いていただけて……。今までのドラマトラックの内容も踏まえているからこそグッとくるものがありますし、おいしいポジションでもあります。
斉藤 幻太郎は、ある話数で、ドラマトラックのときのように全力で「麿(まろ)は〜」と演じたら、「もう少しマイルドに」とディレクションを受けまして。アニメでは、ドラマトラックよりキレイな幻太郎が観られるかもしれません。

乱数と帝統は、かなり細かく動きがついていますよね。
白井 よく動くもんね、ふたりは。
斉藤 ふたりとも基本かわいい感じですが、帝統がちょっと(人気を)獲りにきてるなっていう(笑)。
白井 (笑)。
斉藤 動きがつくことによって、“ワンコ感”がより強調されているような。けっこうアドリブも入れたりして、遊びも多いですよね。
野津山 あとアニメでも相変わらず、帝統はお金に困ってますね……。なので芝居としては、ドラマトラックとあまり変わっていないですね。

3年間ドラマトラックで演じてきたことで、キャストの中にキャラクターができあがっているので、キャストのほうから「この言い回しのほうがキャラクターっぽいかもしれないです」と提案させていただくことも多くて。そういった提案をスタッフさんが受け入れてくださる、とてもやりやすい現場でした。
ラップバトルのシーンについてはいかがですか?
斉藤 今まで音声中心で描かれてきたラップバトルが、アニメーションとしてどう表現されるのか、僕らも楽しみにしていたんです。

(取材時点では)イケブクロ・ディビジョンのラップバトルがほぼできあがった状態のものしか観ていないのですが、できるだけ大きなスクリーンと音で楽しみたいなと思うくらい派手な演出で。曲ごとに個性が感じられて、そこがアニメ『ヒプマイ』最大の注目ポイントのひとつかなと思います。

画がついて動くラップバトルを観るのは僕たちにとっても新鮮で、感じ入るものがありました。
白井 それに僕たちも、兼ね役で、(バトルで)やられる側の人たちを演じていたりするので。
斉藤 そうですね。兼ね役としていろいろなところに登場しています。そして、敵のおもしろさたるや。
野津山 敵が、本当にもう! いい意味でクセが強いんですよ。名前も相変わらず読みづらいし(笑)。
斉藤 かなり誇張されたキャラクターが出てくる点は、非常にユーモアがあっておもしろいんじゃないかなと思います。
毎話、新曲が登場するそうですが、シブヤの楽曲の収録はいかがでしたか?
野津山 シブヤらしさがありつつも、新ジャンルですよね。
白井 ハードな曲もあったりして、すごく楽しかったですね。
斉藤 方向性でいえば、『BATTLE BATTLE BATTLE』のような曲です。
野津山 ひさびさに「バトルした!」って感じの曲ですよね。
白井 まさかアニメでもこんなに歌わせていただくとは思わなかったですね。
野津山 1ヶ月くらい、毎週レコーディングしていた時期もありましたよね。
白井 毎話、新曲が出るからね。シブヤ節が効いた曲ばかりなので、楽しみにしていただけたらと思います。
前半はキャストが揃ってアフレコすることができたそうですが、現場の様子はいかがでしたか?
野津山 アフレコブースに男性キャストが集合して、男性が中王区の外で暮らさなければいけない『ヒプマイ』の世界観を肌で感じられました。

個人的に好きなのは、誰も何も言っていないのに、自然とディビジョンごとに座っていたことですね。ライブの楽屋ではディビジョンごとに席が決まっているのですが、アニメの収録では決まっていなかったのにいつの間にか……。
斉藤 いや、シブヤはそうでもない……(笑)。
白井 けっこうバラバラだったよ(笑)。
野津山 あれ、そうでした?(笑)
斉藤 1話のとき、白井くんだけ別のところに座ってたんだっけ?
白井 そう、僕、どこかにいた。
野津山 白井さんがいつもいないんですよね。
白井 いや、そんなことはないでしょ!(笑)
野津山 斉藤さんと僕は近くに座ることが多いですよね。
白井 イケブクロはいつも3人で並んでたよね。
野津山 ああ、たしかに。
斉藤 シブヤのキャラクターもそうですけど、僕たち3人も比較的マイペースというか……。
白井 まぁ、そうですね。
斉藤 気分で、たまたま隣が空いていたら座るくらいの感覚です。それが逆に心地よかったりもして。現場は全体的にすごくいい雰囲気ですね。みなさんいい方々ですし、ライブでもご一緒していますし。
白井 和気あいあいとしてるよね。
▲飴村乱数(CV:白井悠介)
▲夢野幻太郎(CV:斉藤壮馬)
▲有栖川帝統(CV:野津山幸宏)

3人それぞれ自由に振る舞うのがFling Posseらしいのかな

シブヤ・ディビジョンのキャスト同士の関係性は、この3年でどう変化しているのでしょうか?
白井 誰かが引っ張る、という感じはないですね。
斉藤 でも、やっぱり白井くんがいてくれると、僕は安心します。
野津山 すごく心強いです。
白井 僕はけっこう自由で、乱数に近い部分もあるかもしれないですね。
斉藤 たしかに、野菜スティックを食べていてリハが始まらなかったこととかも……。
白井 ライブのリハだったっけ? それは、ねぇ……(笑)。たまたま僕が野菜スティックを食べ終わったタイミングで、「じゃあ始めましょうか」ってなっただけなんです。「もしかして、野菜スティック待ちしてました……? 申し訳ない」っていう流れで。
斉藤 そういった白井くん独自のペースのおかげで、僕たちも変に緊張せずに、「やるか!」とスイッチを入れることができるんです。
野津山 楽な気持ちにさせてくれますよね。
白井 シブヤのふたりをはじめ、みんな自由にやらせてくれるというか、受け止めてくれているのはすごく感じていて。僕としてものびのびとやらせていただいています。

ふたりはふたりでのびのびやっていると思いますし、誰かが引っ張るのではなく、3人それぞれ自由に振る舞うのがFling Posseらしいのかなって。それは前々から思っています。
斉藤 この状況なので最近は行けていないですが、3人で飲みに行ったりもしましたね。
野津山 そうですね。
斉藤 (3年経って)より仲良く楽しく飲めるようになったって感じもあるけど、わりと初めからフラットな距離感だったよね?
野津山 そう、最初からあまり変わっていないんじゃないかと。
斉藤 3人とも、“がんばって仲良くなろう”というよりは、「あ、あなたそういうおもしろい人なんだね、わかりました」っていうような。チームの在り方はいろいろあると思いますが、僕たちの場合は、ちょっと刹那的な感じもあるかもしれません。
白井 たしかに。
野津山 ノープランでも大丈夫な3人というか。たとえば「渋谷に18時集合で」となれば、「とりあえず18時くらいに行くか、渋谷のどこかは決まっていないけど」みたいな。
斉藤 きちんとするべきときはしますが、いい意味での緩さみたいなものが、心地よさに繋がっているのかな。僕たちの中で「シブヤはこうあるべき」みたいなのがないので。
白井 決まりごととかルールはないですね。
野津山 自由な感じですよね。

二面性がある乱数、じつは常識的な幻太郎、まっすぐな帝統

改めて、演じているキャラクターのとくに好きなところや、ご自身と通じる部分を教えてください。
白井 飴村乱数というキャラクターはとてもかわいいのですが、アニメになって動きや表情がつくことで、よりかわいらしさが伝わると思います。

そして、この言葉にはいろいろな解釈があると思いますが、彼はすごく“人間らしい”人。さまざまな感情を胸の内に秘めずに表に出してくれるのが魅力的で、すごく応援したくなります。
常にフラットで自然体でいらっしゃる白井さんが、乱数のような二面性があるキャラクターを演じているのも興味深いです。
白井 そうですね、僕自身は、二面性はないと自覚していますが。
斉藤 そうだろうね。
野津山 “サッカーを観てるときと、観てないとき”くらいじゃないですか?
斉藤 今、僕もまったく同じこと思った。“リバプールか、それ以外か”みたいな。(白井さんは熱心なリバプールFCファン)。
白井 別に豹変はしないけど、二面性のあるキャラクターを演じるのは、やりがいも感じられて、すごく楽しいですね。
幻太郎はいかがですか?
斉藤 夢野幻太郎さんは作家で、MC名は「Phantom」。「嘘ですよ」とか「嘘ですけど」という口癖からもわかるように、彼のキャラクターテーマのひとつに“嘘”や“フィクション”があります。本心で何を考えているのか汲みとりにくく、まさに人を煙に巻くようなキャラクターです。

ただそれは、あくまでも入口にすぎなくて。僕個人の意見ですが、幻太郎は奇妙な言動も多々あるのですが、その実、わりと常識的なところがある気がします。あえて変に振る舞っているというか。

すごく重いものを抱えている乱数と、ピュアでまっすぐに気持ちをぶつけてくれる帝統のバランスを取っている存在でもあるのかなと思います。

僕も文学が好きなので、そこは彼と共通しているかなと思いますが、僕は生まれてこの方嘘など一度もついたことがないので、似ても似つかないキャラクターだと思っていますね。

(斉藤さんをまじまじと見つめる白井さんと野津山さん)
斉藤 (真顔で)……え、でも、嘘ついたことないですよ?
野津山 (笑)。
白井 僕は待ってたよ、最後に「嘘ですけどね」って言うのを。
斉藤 本当ですよ?
白井 ええっ? そんな人間いる?
野津山 生まれてこの方ですからね。
斉藤 本当ですよ。
白井 おぉー。
野津山 言い切りましたね。
斉藤 (笑)。冗談はともかく、幻太郎は彼の中にいるいろいろなキャラクターを見せてくれる人物です。さまざまな声色を使い分けて、ひとりのキャラクターの幅をどんどん広げていくことができるのは、役者として楽しいなと思いますね。
帝統はいかがですか?
野津山 シブヤのキャラクターって経歴がよくわからないんですが、彼も一見おバカに見えて、過去については頑なに語ろうとしなくて。ただ、“本当にギャンブルが好き”というわかりやすいキャラクターです。

それだけ聞くと、あまりいいイメージを持たれないかもしれないのですが……。
斉藤 そうとしか言いようがないよね。
野津山 有り金全部賭けちゃったり、人にお金を借りて返さなかったりします。
白井・斉藤 (笑)。
白井 大丈夫? 初めて帝統を知る人にとって大丈夫なの、それ?(笑)
斉藤 ほら、なんか、ピュアさとかさ、ワンコ感とか。
野津山 ちゃんと甘えられるといいますか、「お金貸してください」って言える……。
白井 そこ?(笑)
野津山 まっすぐだし、仲間思いなんです。
斉藤 アツい人だよね。
野津山 そうなんですよ。乱数と幻太郎のことを大切な仲間だと思っていて、乱数がピンチのときは「助けに行こう」って言えるし、自分の好きなことにまっすぐなところも魅力だなと思います。

OPテーマは、ひとりで全パート歌えたら本当にスゴい

TVアニメのOPテーマ「ヒプノシスマイク -Rhyme Anima-」を聴いた印象はいかがでしたか?
白井 全員でサビを歌うのが、今までと違う感じがしましたね。たしか、僕は12人の中で最初にレコーディングしたんですよ。
斉藤 これ、1発目は大変だね……!
白井 そうなんですよ。サビの部分は、これまでと違うアプローチを求められて。その中で、より乱数の特徴を歌に乗せるために試行錯誤しながらレコーディングさせていただきました。難しかったですね。
斉藤 どこまでキャラクターを維持して歌えるのかという課題はありましたね。
白井 そうですね。キャラクターを念頭に置きつつ、「今回はサビのニュアンスをより強調したい」というディレクションをもとに収録しました。
斉藤 サビは、思い思いに歌うのではなく、12人のニュアンスを揃えるというディレクションでしたよね。
白井 この楽曲を聴いてみなさんがどういう印象を持つのか気になるところですが、オープニングにふさわしいカッコいい曲に仕上がったので、ぜひぜひみなさんにも歌っていただきたいなと思います。
テンポもかなり速いですよね。
白井 速いですね。
斉藤 TVアニメのオープニングの尺で全員分を表現しようとすると、速くなるんですよね。今までの全員曲に比べて、全体尺が短いのでソロパートもめまぐるしく変わっていって。

ひとりで全パート歌えたら本当にスゴいと思います。一瞬見失ったら終わりですし、たぶんライブで歌うのも難しいと思います。

でも、いい意味でチャレンジングな楽曲だと感じました。僕らを信じてトライしてくれているのかなと。
野津山さんはいかがですか?
野津山 斉藤さんがおっしゃるとおり短い小節でキャラクターが入れ替わる作りになっているのですが、キャラクターがきちんと際立って、誰が歌っているのかはっきりとわかるのがスゴかったです。3年間キャラクターとして歌ってきた経験値もあると思いますが、改めて、『ヒプマイ』のスゴさを実感しました。

シブヤ・ディビジョンの楽曲はポップでエモい

では、アニメから『ヒプマイ』に触れる視聴者もいるこのタイミングで、改めてシブヤ・ディビジョンの楽曲の特徴を聞かせてください。
白井 シブヤは……ポップかつエモい。
斉藤 そうですね。明るいだけじゃないんですよね。
これまでの楽曲で、とくにエモいリリックはありますか?
斉藤 シブヤは刹那的な歌詞が多くて。『Shibuya Marble Texture -PCCS-』は、あの曲調で、歌詞は一瞬の泡沫(うたかた)を歌っていますし。
斉藤 それと、やっぱり、『Stella』の「再生のVerse」じゃないですか? 僕らのあいだで謎の合言葉になったフレーズですね。
斉藤・野津山 (声を揃えて)「再生の〜、Verse!」
斉藤 (白井さんを見て)……覚えてなかったでしょ(笑)。
白井 いやいやいや、覚えてる、覚えてる。
斉藤 ABEMAのライブ(今年3月に開催された『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- 5th LIVE@AbemaTV《SIX SHOTS UNTIL THE DOME》』)のとき、急にやったじゃない?
白井 やった、やった!
斉藤 3人で決めポーズなどはやりますかと本番直前に聞かれて、白井くんが「ありますよ」と答えたんです。野津山くんと僕は、「え? え?」っていう状態で。

そこで白井くんが、「『再生の〜、Verse!』です!」って答えるから、「それ、さっき決めただけのヤツ!」ってなったんですよね(笑)。
野津山 1度もやったことないのに。まぁ、そんな感じなんですよね、シブヤって。
斉藤 ノリで生きてますよね。

『Stella』のデモをいただいたときに、とても好みの楽曲で、シブヤにとって必要な曲だと思ったのを覚えています。3人のグループLINEに、「ふたりとも、デモ聴いた!?」と連絡を入れました。ふたりともまだ聴いていなかったので、「カッコいいから早く聴いてほしい」って。
白井 たしかに、そんな連絡が来ました。「あの壮馬くんからLINEが…!?」って驚いて(笑)。
斉藤 僕は、めったに自分からLINEしないんです。
野津山 このグループ、誰からもあまりLINE送らないですよね。壮馬さんからLINEが来て、びっくりして思わずすぐにデモを聴きましたもん。
斉藤 楽曲の仕上がりもすごく素敵でしたし。もちろんどの曲も印象深いですが、『Stella』でシブヤがひとつの先のステージに進んだ感じがしました。
野津山 僕は『Shibuya Marble Texture -PCCS-』の「帰り道 少し遠回り」が好きなんですよ。
斉藤 帰るのは決まってるけど……みたいなところがいいよね。
野津山 ちょっと遠回りするところがエモい。“チル”でカッコいいな、“チル”で(編注:“チル”とは、落ち着く、リラックスしている、まったりするといったニュアンス)。
斉藤 急に“チル”って言い出した(笑)。
野津山 いや、“チル”もシブヤっぽいなと思って(笑)。
白井 (笑)。僕は、『Shibuya Marble Texture -PCCS-』も『Stella』も違ったエモさがあるし、カッコよくておしゃれだと思っているのですが、個人的には『Stella』の「爪先は前に向けておく」がグッときました。

シブヤ3人の関係性とストーリーがドラマトラックによって発展すればするほど、『Stella』の歌詞に意味が出てくるなと思いますし、それは、聴いてくださっているみなさんも感じるところがあると思います。

僕らが日常を生きる中でちょっと背中を押してくれるような歌詞でもありますし、『Stella』はこれからも歌詞の捉え方が変わっていくのかもしれないなと。

……って、何を笑ってるの(隣で笑い出した斉藤さんを見ながら)。
斉藤 いやいや、4thライブ(『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-4th LIVE@オオサカ《Welcome to our Hood》』)のときに、三角のステージがせり上がる演出があって。それを僕らは勝手に“天空のStella”と呼んでいたのですが、“〇〇のStella”シリーズが、今後もしかしたら、ね?
白井 “地上のStella”とか。
斉藤 “水中のStella”とかね(笑)。
白井 どうするの! 常にボコボコしちゃうよ。
斉藤・野津山 (笑)。

『ヒプマイ』との3年間で、言葉に対する感覚にも変化が

みなさん、「ラップ×キャラクター」というコンテンツはほぼ初めての経験だったと思うのですが、どのようにラップに親しんでいったのでしょうか。
斉藤 愚直に何度も聴いて声に出す、っていうのがいちばんですね。……野津山くんはあれでしょ?
白井 元ラッパー、みたいな。
斉藤 産声がラップだった、みたいな。
野津山 いやいやいや! 産声が「アーイ!」ではなかったですよ(笑)。
斉藤 「アーイ!」はちょっと可能性があるね(笑)。
野津山 ありますけど(笑)。でも本当はラップにあまり馴染みがなくて。
白井 そうなんだ!
野津山 歌ったこともないし、じつは、友達とカラオケに行ってラップを歌われると、「ちょっと怖いな」って思うタイプの人間だったんですよ。
白井 なんで!(笑)
野津山 勝手に、ちょっとアンダーグラウンドなイメージを持っていたんです。だから最初は、アイドルが歌うラップから聴き始めました。
白井 へ〜、意外。
野津山 少しラップに慣れてきた頃、ラップが好きな友達に相談したら、オススメのアーティストや番組を教えてくれたんです。それを聴いてみたら、すごくおもしろくて。それまで食わず嫌いだっただけで、すっかりラップにハマりました。『ヒプマイ』はラップに出会わせてくれた作品です。
白井 僕は声優になる前から、ラップの曲をカラオケでよく歌っていたんです。

あれだけ言葉が詰まった歌を全部噛まずに歌えたときの達成感や爽快感が好きだったのですが、キャラクターを背負って歌うとなるとまったく違うんだなと『ヒプマイ』で実感しました。

飴村乱数という人物がラップをするときにどういう表現をするか考えるのは、新鮮でやりがいを感じるポイントです。「もっとこういう表現がしたい」と練習を重ねるうちに、自分からもアイディアが出るようになって、どんどん楽しくなっていきました。
斉藤 僕はもともと音楽を聴くことは好きなのですが、音楽の原体験の中にラップはなくて。いわゆるギターロックのような曲が好きだったんです。年々、エレクトロニカやヒップホップみたいなもの、それこそ“チル”な感じの曲も聴くようになってきました。(野津山さんを見て)……笑われてる!
野津山 “チル”な感じの、ね(笑)。
斉藤 (笑)。過去にキャラクターソングでラップパートを担当する機会はあったのですが、ここまでラップを主にした作品は想像していませんでした。でも、声優として、キャラクターとしてラップをする感覚はあったので、夢野幻太郎としてラップにどうアプローチするかはあまり悩まなかったですね。

幻太郎のラップって、多くの方がイメージするラップスタイルではなく、“ポエトリーリーディング(しゃべるように歌うスタイル)”なんですよね。ゆったりとしたビートに言葉を詰めつつ、節はつけないフローが多かったので、幻太郎と『ヒプマイ』が僕の中に新たなラップミュージックの引き出しを作ってくれました。

今では、シブヤのラップも多様になってきて。ドラマトラックで、帝統と一緒に超高速ラップができたときはうれしかったです。
野津山 やりましたね!
斉藤 『ヒプマイ』に携わった3年間で言葉に対する感覚も変わりましたし、言葉のリズムや詰め方が声優の仕事にも役立っています。その変化を楽しみながらこれからも頑張っていきたいですね。
ライブでの演出やパフォーマンスはどのように考えているのですか?
白井 ほかのディビジョンがどうしているかはわからないですが、僕たちは打ち合わせをしているほうだと思いますよ。

ライブは、どう見せたいか、どう届けるかが大事だと思っていて。3人でご飯を食べに行って、「ここでこう動いたほうがいいかな?」と相談したこともありました。
斉藤 声優がステージに立つとき、“どの程度キャラクターを見せるか”に正解はないので難しいのですが……。たとえば“自撮り”がシリーズのようになっていますが(白井さん演じる乱数が自撮りをして遊ぶ動き)、実際、僕たちの振る舞いがどう思われているのか気になりますよね。
白井 最初はノリだったんですけどね。
斉藤 いつの間にかシリーズ化していて。そんな自由な楽しさを見せるために、ある程度、打ち合わせをしっかりして、そのうえで自由に振る舞う感じです。
4th LIVEの『Stella』も印象的でした。
斉藤 『Stella』は劇中劇のようなリリックになっているので、普段の3人とはまた違う表情を見せる演出がいいのかなと思っていて。

さっきも言ったように、キャラクターの見せ方に正解はないのですが、僕は『Stella』を歌っていて、乱数がまったく顔を上げなかったり、帝統が切なそうな表情をしているのを見て、3人ともやりたい演出の方向性が似ているのかなと感じました。
白井 そうですね。ディビジョン曲は「キメるところはビシッと揃えよう」などあらかじめ話しますが、今言ってくれたように、自然と同じ意識でステージに立っている気がします。

絆が深まって、未来への伸びしろが感じられる3人

最後に、改めて、ほかのディビジョンに負けないシブヤ・ディビジョンの強みを教えてください。
斉藤 楽曲やキャラクターはすごくポップだけど、ただ明るいだけではなくて、切なさやそこはかとない闇を感じつつ、足取りは軽やかに進んでいく。そんな、刹那的だからこそ目が離せないところが彼らにはあると思います。

先ほどお話した『Stella』は、初期のFling Posseでは生まれなかった曲だと感じるんです。もともと乱数が勝つために集めたチームであるFling Posseが、3人でどんどん絆を深めていったからこそ生まれた楽曲やドラマがある。未来への伸びしろがすごく感じられる3人だと思います。
白井 Fling Posseという名前も、直訳すると“一時の仲間”なんです。乱数も初めはそんなつもりで作ったのかもしれないですが、楽曲もストーリーも目に見えて変化しているので……今後が楽しみですよね。
斉藤 最近のドラマトラック『マリオネットの孤独と涙と希望と』の展開も、いちばんドライに見えたシブヤが、まさかあんなにアツいとはって。
白井 あんなに叫び合うとは思わなかったよね。
野津山 たしかに、3人の絆が結ばれていく過程が見えますよね。原作だとようやく乱数のことがわかってきましたが、まだほかのキャラクターにも謎が多いので、今後どうなっていくのか。シブヤ・ディビジョンの成長や明かされていく秘密を、これからも楽しみにしていてください。

シブヤ・ディビジョンが明かす、キャストの魅力は?

※「飴村乱数」の「飴」は、略字ではない「食へん」が正式表記です。
白井悠介(しらい・ゆうすけ)
1月18日生まれ。長野県出身。A型。2011年に声優デビュー。主な出演作に『美男高校地球防衛部』シリーズ(鳴子硫黄)、『アイドルマスター SideM』(若里春名)、『アイドリッシュセブン』(二階堂大和)、『A3!』(碓氷真澄)など。
斉藤壮馬(さいとう・そうま)
4月22日生まれ。山梨県出身。B型。2010年に声優デビュー。主な出演作に、『ハイキュー!!』シリーズ(山口 忠)、『刀剣乱舞』シリーズ(鶴丸国永)、『アイドリッシュセブン』(九条 天)、『憂国のモリアーティ』(ウィリアム・ジェームズ・モリアーティ)など。2017年よりソロアーティストとしても活動。
    野津山幸宏(のづやま・ゆきひろ)
    12月24日生まれ。大阪府出身。A型。2017年に声優デビュー。主な出演作に、『カードファイト!! ヴァンガード エクス』(士導イズル)、『小さなバイキング ビッケ』(ソー)、『アフリカのサラリーマン』(チュパカブラ)、スペースシャワーTV『ライブを100倍楽しむLIVE YEAH!!!』ナレーションなど。

    「TVアニメ『ヒプノシスマイク』」特集一覧

    作品情報

    TVアニメ『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima
    2020年10月2日(金)24:00より放送開始
    https://hypnosismic-anime.com/
    TOKYO MX、BS11、群馬テレビ、とちぎテレビ、MBS、テレビ愛知、アニマックスほかにて放送
    ABEMAにて地上波同時配信ほか各種プラットフォームにて配信
    ※放送開始日・放送日時は編成の都合などにより変更となる場合がございます。あらかじめご了承ください。

    ©『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rhyme Anima製作委員会

    サイン入りポラプレゼント

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    応募方法
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    受付期間
    2020年9月24日(木)12:00〜9月30日(水)12:00
    当選者確定フロー
    • 当選者発表日/10月1日(木)
    • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
    • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから10月1日(木)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき10月4日(日)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
    キャンペーン規約
    • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
    • 賞品発送先は日本国内のみです。
    • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
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