2019年2月末、ドラマの打ち上げでスタッフに挨拶する、田中みな実

「このところ、田中みな実に関するクライアントからの問い合わせが、日を追うごとに増えているんです」

 そう話すのは、某大手広告代理店のCMキャスティング担当者だ。

「出演依頼やギャランティの額など、現在の契約状況に関する問い合わせがほとんどですが、『うちの社長と対談できないか』『自社パーティの司会を依頼したい』というものも。なかには、『一緒に飲めないか』というものまで(笑)。とにかく、注目度が高い」(同前・以下同)

 すでに大ブレイクを果たし、テレビで彼女の姿を見ない日はないほどだが、ことCM出演についてはこれからが “本番” なのだという。

「テレビ番組での露出量を考えれば、CM出演も、まだまだ伸びる余地があります。また、ここへきて彼女の『インパクト』や『女性への訴求力』を評価する声が増えている、という背景もあります」

 そんな話を裏づけるのが2020年7月に、某大手広告代理店が主要なクライアント約2000社を対象におこなったアンケート調査。その「CMに使いたいタレント」の女性部門で1位を獲得したのが、田中みな実なのだ。

「バラエティ女王の指原莉乃や、若手女優の注目株・浜辺美波、清原果耶らを抑えての1位ですから、価値は高いといえます。

 もともと彼女はアンチが多いキャラで、CM業界では『アナウンサーとしてもタレントとしても中途半端』というイメージでしたが、2019年に出演した『オープンハウス』のCMで、評価が一変しました。

 最初は保健室の先生役としてのスポット出演でしたが、反響が大きく、年間契約になったそうです。2020年に入って一気に出演CMが増えたのは、ご存じのとおりです」

 田中みな実を「使いたい」クライアントの声はーー。

「女性からの支持や影響力は、見逃せないものがある」(日用品メーカー)
「テレビCMだけでなく、雑誌やネットでもアピールできる」(アパレル関連)
「彼女が使ったり推薦する商品が、バカ売れしている現実がある」(食品メーカー)

 といった高評価が並ぶ。

「CMクリエーターたちからも、『ドラマであんなに振り切った演技を見せられると、それを超えるCMを作りたくなる』『彼女をメインに、監督からスタッフまで、全員女性スタッフで撮影してみたい』なんて声が聞こえてきます」(前出・某大手広告代理店のCMキャスティング担当・以下同)

 ただし、今の彼女が「CMに使いたいタレント」調査で1位に選ばれることは、ある程度予測されていたという。

「結果がわかっていたのなら、なぜこんな調査をおこなったのか? それは、田中みな実の『調整』のために、必要だったからでしょう」

「調整」とは何か?

「あるタレントにクライアントから殺到するCMの出演依頼を、広告代理店最大手である電通が仕切り役となり、『調整』することをいいます。これは、『電通案件』ともいわれ、広告業界内だけで通じる隠語なんですよ」

「調整」が必要とされるのには、2つの理由があるという。

「まずは、出演料の適正価格を設定し、価格競争になることを防ぐこと。たとえば、ある社がどうしても田中みな実を使いたいからといって、札束攻勢をかける。その出演料があまりに高すぎると、すでに出演しているCMの企業や、ほかのタレントとの釣り合いが取れなくなってしまいます。

 そしてもうひとつは、出演CMの “競合” を排除するため。“1業種1社” という、業界内の暗黙のルールがあるので、出演CMがかぶることのないよう、交通整理が必要なのです」

 この「電通案件」の対象となるタレントは、最近では珍しいのだという。

「大谷翔平や大坂なおみ、渋野日向子などのスポーツ選手で『調整』が入るケースがありますが、タレントでは少ない。今後、対象になるのは、棋士の藤井聡太でしょう。

 田中みな実が『電通案件』になったのは、ここへきて、CMタレントとして注目度が一気に上がったこと。そして、有名タレントや一流アスリートに比べれば、出演料がまだ安いという点が大きいでしょう」

 田中みな実のCM出演料は、いくらなのか。

「つい最近までは、年間契約で1500万円程度でしたが、倍額にランクアップしたようです。キリンビールのCMに出ていますが、あれは最初スポット契約だったものが、年間契約になるそうです。その出演料が、約3000万円といわれています」

 3000万円クラスは、なかなかの “大物” だという。

「3000万円オーバーは、アスリートも含めて、女性では20名もいません。女優では桐谷美玲や広瀬すずが、どちらも3000万円クラスです」

 田中みな実の勢いを証明するデータとして、「2020上半期タレントネットニュース登場回数ランキング」(ニホンモニター)がある。「Yahoo! トピックス」と「LINE NEWS」への登場回数をカウントしたものだが、2020年の1位は、不倫騒動があった渡部建(352回)。

 2位は、ドラマや長女のデビューが話題になった木村拓哉(329回)。3位は中居正広(263回)で、田中みな実は僅差の4位(260回)にランクインしたのだ。ちなみに5位は、258回で松本人志となっている。彼女が女性ではトップということだ。

 CM業界でも、トップの座を狙う田中みな実だが、現時点で新たに4社のCMが内定しているという。

「某動画配信サービスは、映画などを観る “楽しいお家時間の過ごし方” を提案する内容。某自動車メーカーは、同世代の女性向けにおしゃれで安心・安全な車をPRするもの。

 ほかにも、某家電メーカーの美容にいい空気清浄機や、衣服を傷めない洗濯機のCMに。そして新機種が出る秋シーズンに合わせて、携帯電話会社のCMに出演予定です」

 2020年は台風の発生が遅いようだが、CM業界では田中みな実が、“台風の目” になっている。

(週刊FLASH 2020年8月18・25日号)