『007』『ミッション・インポッシブル』『キングスマン』など、数多くの人気シリーズを抱えるスパイ映画ジャンルに「技あり」のニューフェイスが加わった。それが、今回紹介する『スパイinデンジャー』。今年5月に劇場公開が予定されていたアクション・コメディアニメの話題作が、「ディズニープラス」で遂にその全貌を明らかにした。


(c) 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 本作は、『アイス・エイジ』シリーズでおなじみのブルー・スカイ・スタジオが製作、人気俳優ウィル・スミスとトム・ホランドが凸凹スパイコンビの声を演じる。特にウィル・スミスは、ランス役を演じただけでなく、企画段階からストーリーやキャラクター設定などに参加、並々ならぬ熱量を本作に注いでいる。

 どんな危険なミッションも単独でクールにこなす腕利きのエージェント・ランス(スミス)は、日本の武器商人・キムラから最新鋭のドローン兵器「M9アサシン」の回収に成功。意気揚々と本部に帰還したランスだが、何とケースの中身は空っぽ。加えて、アサシン横領の疑惑までかけられてしまうことに。内部調査のエージェント・マーシーに追われる身となったランスは、しかたなく本部の開発ラボで知り合った発明家の青年・ウォルター(ホランド)の元を訪れる。

 しかしランスはウォルターが発明した薬を誤飲したため、何とハトの姿に変身してしまった! 身の潔白を証明するため、キムラのアジトで出会った「ロボットの義手を持つ男」を探さねばならないのに、頼りにできるのは奇妙な発明品を抱えるウォルターとハトの仲間たちだけ。最悪の姿で最悪の事態に直面したランスは、この危機をどうやって乗り越えるのか――!?

(c) 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

スーツ姿が良く似合うエリートスパイ・ランスは、まさにウィル・スミスそのものという貫禄を漂わせるキャラクター。それが一転、何もできないハトに変身してしまってからは気の毒な状況が次々と展開。クールに仕事をこなしたいのに、車のハンドルは握れないし、本能でつい落ちている食べ物に食らいついてしまったり、さらに翼の使い方がわからず飛ぶことができない。実に不幸な主人公ぶりに、大いに笑わされることだろう。

 一方、ランスの相棒を自認するウォルターは、「平和的な解決」を求める優しい青年だ。スパイのために開発した数多くのガジェットは、人を傷つけないことを第一に作られたものばかり。好戦的なランスはそこが気に入らないが、役立たずと思えた彼やガジェットに秘められた過去を知った時、その考えを徐々に改めていくことになる。人を信じること、仲間の大切さ、憎しみの連鎖――笑いの中にピリリとした問いかけと感動が絶妙なタイミングで差し込まれていく。

(c) 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

 心を揺さぶるドラマに加え、スパイ映画ならではのド派手なアクションも大きな見どころのひとつ。冒頭のキムラのアジト(岩手県の山奥に巨大な城が!)でのスピーディーな格闘アクションから始まり、街中でランスの乗る機能満載の「アウディRSQ e-TRON」が魅せる迫力のカーアクション、さらにメキシコ、イタリア、北海へと舞台を広げて、ウォルターの「ネコのキラキララメ」「膨らむハグ」(どんな発明かは観てのお楽しみ)などの珍ガジェットがその効果を存分に発揮するクライマックスまで、最後までハラハラドキドキが止まらない展開に誰もが心を鷲づかみにされること、間違いなし。

 1人でじっくり楽しむもよし、友だちとワイワイ騒ぎながら観るのもよし。この夏、理屈抜きに楽しい時間を過ごしたなら、この1作は要注目なのだ。

(c) 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

【『スパイinデンジャー』の先行カットを全て見る!>>>】

『スパイinデンジャー』(19年・原題『SPY IN DISGUISE』)
ディズニープラスで配信中

STAFF/監督:トロイ・クエイン 、 ニック・ブルーノ
CAST ※カッコ内は日本語吹替キャスト/ランス・スターリング:ウィル・スミス(鶴岡聡) ウォルター・ベケット:トム・ホランド(田谷隼) キリアン:ベン・メンデルソーン(内田直哉) マーシー・カぺル:ラシダ・ジョーンズ(佐古真弓) アイズ:カレン・ギラン(下山田綾華) カツ・キムラ:マシ・オカ(石上裕一)