Reuters/Stephanie Keith

5月25日に米ミネソタ州にて警官がジョージ・フロイド氏を拘束して死に至らせた事件は、米国のみならず全世界で黒人の命が粗末に扱われてはならないとするBLM(BlackLivesMatter)運動に発展しています。

これには多数の著名人や米大手IT企業も賛同しており、アップルやマイクロソフト(以下MS)もその1つ。後者のサティア・ナデラCEOは従業員への手紙で人種差別に反対し、マイノリティを支援する具体的な取組みを発表しています。

そうしたMSが、BLM運動を宣伝に利用するかのような意図があったとして批判を集める事態となっています。

MSおよびその広告代理店であるマッキャンエリクソンは、世界的なビジュアルアーティストのシャンティル・マーティン氏にBLM運動に対する壁画(米ニューヨーク5番街の同社ストアに飾る予定)を発注したとのこと。そこまではいいのですが、同社は「抗議行動がまだ(時勢と)関連があり、盛り上がっているうちに壁画を完成させてください。理想的には日曜(6月7日)までです」と注文を付けたことが物議を醸しています。

マーティン氏はそのメールをTwitter上で公開し、MSとマッキャンエリクソンが「BLM運動や抗議は今週末には意味がなくなっていると考えていることは明らかです」とツイート。これに対してMSの最高マーケティング責任者クリス・カポッセラ氏は同社を代表して、無神経な言葉を使ったとして全面的に謝罪するとともに話し合いの場を設けることを示唆しています。

さらにマーティン氏は米Business Insiderのコメント要求に対して「私がこれを投稿しなければならなかったのは不本意ですが、数日掛けて考え抜いた結果、公開することが大切だと思ったんです。これが間違っている理由は複層的であり、この種のメールがなぜ、いかにして生まれるのかも色々と理屈づけはできますが、それらは容認できないものだし、問題の一部なんです」と答えています。

まもなくBLM運動が時勢から外れるとの文面は、米国での歴史的に根深い人種差別や警察の問題行動に取り組んできたデモ参加者を侮蔑すると受け取られてもやむを得ないでしょう。MSや広告代理店に対する批判は総じて、BLM運動が自社の宣伝にとって追い風に過ぎない扱いを受けているという趣旨です。

BLMに賛同してメッセージを発する大手企業が相次いでいますが、そうした動きが表面的ではないか、ブームに便乗しているだけではないかと、世論の精査が厳しくなるのかもしれません。

Source:Shantell Martin(Twitter)

Via:Business Insider