輸出できないことで国内で在庫が飽和状態に

 緊急事態宣言が解除されるなど、徐々に日常を取り戻しつつあるが、まだまだ油断できない新型コロナウイルスによる影響。その影響は当然、自動車業界にも吹き荒れている。

 先行きの見えない不安感から、不要不急の出費は控えるようになっており、4月の新車の販売台数は前年同月比28.6%減と大きく減少していることからも明らかだ。

 そして、当然その影響は中古車にも響いており、一部の人気車種を除いて相場価格も下落しているというのだ。これはもちろん、前述のように消費自体が冷え込んでいるのも理由のひとつであるが、もうひとつ大きな理由が、中古車の輸出がストップしてしまっていたことにあるようだ。

 今回のコロナ禍の影響で輸出先の国の多くで国境閉鎖や入港制限、保税区の停止などがあって、輸出したくても輸出できず、日本でだぶついているのである。

検討していたワンランク上のモデルを狙うチャンスか

 海外に輸出される日本の中古車と聞くと、日本では値段の付かないようなくたびれた実用車というイメージがあるかもしれないが、最近ではレクサスやトヨタ・アルファード/ヴェルファイア、ハリアーなど、登録から数年落ちというものが海外の富裕層向けに輸出されているのである。

 そういった本来、輸出されるハズだった中古車が輸出できなくなってしまったことで、自社在庫を抱えたくない輸出系の業者が再び国内業者オークションに出品し、若干の飽和状態となっているようなのだ。

 そのため、消費が冷え込んでいる上に流通台数が増えたことで、車種によっては供給過多の状態となって、一部の車種の価格が下がっているというのが真相となる。

 今後も予断を許さない状況が続いていくことが予想されるだけに、数百万円クラスの買い物は控えたいタイミングではあるが、もし狙っている車種があるのであれば、今のタイミングで相場感などを再チェックしてみるのもいいのではないだろうか?