2月29日、演説後に国旗に抱きつくトランプ氏

「史上最悪の大統領。ウォーターゲート事件で辞めたニクソン大統領が、天使に見えます。司法長官を子分のように扱い、FBIに政敵の情報を集めさせる。同じ米国人として恥ずかしい。トランプ氏の再選は、絶対に阻止すべきです」

 そう憤るのは、筋金入りの共和党支持者である、タレントのダニエル・カール氏(59)だ。

 トランプ大統領(73)の再選阻止のため、いま米国内では “地殻変動” が起きている。米国在住の作家・冷泉彰彦氏はこう語る。

「1990年代、ビル・クリントンの時代から米国大統領選を見てきていますが、こんな劇的な予備選は初めてです」

 2020年11月の米大統領選に向けた民主党の候補者選びは、予備選が集中した3月3日の「スーパーチューズデー」で、劇的な「反トランプ連合」が実現した。

 当初、サンダース上院議員(78)がリードしていたが、ブティジェッジ前サウスベンド市長、クロブシャー上院議員が相次いで撤退し、バイデン前副大統領(77)の支持を表明したのだ。

 さらに、そこにブルームバーグ前ニューヨーク市長も加わり、潮目が一気に変わった。

「バイデン氏が、女性のクロブシャー氏を副大統領候補にしてペアを組み、有権者を安心させ、さらにブルームバーグ氏が資金面で応援すれば、強力な “反トランプ” 連合が形成できます」(冷泉氏)

 元・中日新聞ニューヨーク支局長で、ジャーナリストの北丸雄二氏も、「まとまれば民主党に利がある」と指摘する。

「バイデン氏が、ブティジェッジ氏やオルーク前下院議員などの、新世代の中道派を閣僚候補として前面に立てれば、強いチームとなる。オルーク氏の地盤であるテキサス州は、大統領選での大票田。ここを落とせば、それだけでトランプ氏は窮地に追い込まれます」

 トランプ氏の落選が、現実味を帯びてきた。だが、何をするのかわからないのが、この男。敗北後、次期大統領が就任する1月までが、“地獄のラスト2カ月” となるかもしれないという。放送プロデューサーのデーブ・スペクター氏は、こう語気を強める。

「あの男は、ホワイトハウスの玄関の鍵を替えて、新大統領がなかに入れないようにするくらいのことはやる(笑)。真面目な話、引き継ぎ期間は、次期大統領の批判はしないのが暗黙のルール。でも、トランプ氏がそれを守るわけがない。

 また、大統領選から2021年1月の就任式までの2カ月で、関係者に恩を売るため、恩赦状を出しまくるのでは。“トランプブランド” を維持するため、娘のイヴァンカ氏らが、政界に進出する道も残すでしょう」

 日本にとっても、はた迷惑な展開が予想されるという。

「トランプ氏は以前から、トランプホテルを日本に進出させたがっていました。ホテルを開業させるべく、最後に日本政府に圧力をかけるかもしれませんよ」(スペクター氏)

 史上最悪の大統領には、静かにご退場いただくのを願うばかりだ。

写真・朝日新聞

(週刊FLASH 2020年3月24日号)