夕方以降はカフェインを飲むことを控え、スマートフォンの誘惑を断ち切ってようやく眠りについたと思ったのに、翌朝ではなく深夜の3時に目が覚めてしまうとガッカリしてしまいます。こうした、「せっかく眠りについたのに夜中に目が覚めてしまう」という問題について、専門家が解説しています。

Shuteye and sleep hygiene: the truth about why you keep waking up at 3am | Life and style | The Guardian

https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2020/feb/17/shut-eye-and-sleep-hygiene-the-truth-about-why-you-keep-waking-up-at-3am



近年では「質のいい睡眠をとることが重要」「1日8時間の睡眠が理想」といったことが広く主張されていますが、それだけに夜中に目が覚めてしまうと落胆してしまいます。しかし、ロンドンのゴールドスミス・カレッジで心理学教授を務めるアリス・グレゴリー氏は、夜中に目が覚めてしまうのは自然なことだと指摘。

「睡眠は短い覚醒によって中断されています。しかし通常は、人は起きたことに気づかずに再び眠りに戻ります」とグレゴリー氏は述べており、実はほとんどの人が夜中に起きているとのこと。夜中の目覚めは短く、大抵の場合は記憶に残ることもありませんが、たとえば気温が暑すぎたり寒すぎたり、トイレに行きたかったり、悪夢を見ていたり、赤ちゃんの夜泣きが聞こえたりと、条件によっては夜中に目が覚めてしまったことを明確に自覚することもあるそうです。

また、夜中に目を覚ましたとしても、その人が不眠症だとは断定できないとのこと。不眠症と診断されるには、夜中に起きてしまう頻度や起き続けている時間といった、ほかの基準と照らし合わせて考える必要があるとグレゴリー氏は述べました。



「私たちが夜中ずっと眠っているというのは誤解です。誰もそうではありません」と語るのは、適切な睡眠習慣の指導を行っているケイティ・フィッシャー氏。フィッシャー氏によると、夜中に5〜7回ほど目を覚ますのは大きな懸念事項ではないそうで、より重要なのは目覚めた時の気分だとのこと。「朝、あなたはリフレッシュしていますか?それとも、起きて30分もすればふらふらして上手く動けませんか?」と、フィッシャー氏は述べています。

また、夜中に起きてしまう理由が、必ずしも本人の健康状態にあるとも限らないとフィッシャー氏は指摘。「子どもがいるかどうかは非常に重要です。あなたのパートナーはいびきをかいていたり、交代勤務だったりしませんか?」とフィッシャー氏は述べ、他の人が立てる物音が夜中に目覚める原因である可能性があると主張しました。

もちろん、夜中に起きてしまう原因が本人のライフスタイルであることも少なくありません。15時以降はカフェインを摂取しないように気をつけたり、日中に水分をたくさん摂ることも重要だとのこと。「軽度の脱水状態で眠ることは、睡眠を乱す可能性があります」と、フィッシャー氏はコメント。また、就寝前にお腹いっぱいになるまで食事を食べたり、眠りに入るためにアルコールを摂取することも睡眠不足につながります。フィッシャー氏は、睡眠前につまむスナックはミルク入りの全粒粉シリアルやピーナッツバターを塗ったトーストがオススメだと述べ、寝室に電子機器などを持ち込まないといった決まりを守ることも重要だと指摘しています。



睡眠の専門家であるマリアン・テイラー氏は、寝室がホームシネマや仕事場、ダイニングルームとしての役割も兼ねるようになっている点が、ベッドを覚醒状態と脳内で関連付けてしまっていると指摘。そのため、夜中に目が覚めてなかなか寝付けない時には、あえて立ちあがってみるのもいいかもしれないとのこと。また、夜中に目が覚めて時計を確認して、「まだ深夜2時なのに目が覚めてしまった」と心配すること自体が、なおさら寝付くのを妨げてしまっている可能性もあるとテイラー氏は主張しています。

日中に処理しきれなかった心配事やストレスがあると、1人になった夜の時間にあれこれと思い悩んでしまい、寝付きが悪くなる可能性もあります。そこで、起きている間に自身のストレスや不安を上手く管理することが、よい睡眠を手に入れるための第一歩ともいえるとのこと。

しかし皮肉なことに、「1日8時間は眠らないといけない」「よい睡眠とらないといけない」というプレッシャーが、なおさら寝付きを悪くしてしまうこともあるそうです。そこで、「1晩中ぐっすりと眠らないといけない」「睡眠トラッカーでいいスコアをとらないといけない」といった考えを止めることも重要だと、テイラー氏は述べました。