車でドライブ旅行を楽しむ人にとって、カーナビはなくてはならない必需品だ。土地勘のない未知の地域に行ったとしても、カーナビで目的地を設定しておけば、ちゃんと届けてくれる。こんなありがたいことはない。

ところが......、2020年1月12日に投稿された、こんなツイートが話題となっている。

写真には、とある場所に設置されていた標識だ。「NAVI」の上に、赤いバツが付けられている。カーナビの案内に従わず、右折を勧める説明もある。「カーナビも、全て正しく案内してるとは、限らない」というコメントも添えられているのだ。

いったいこれはどういうことだろう? Jタウンネット編集部は、この標識を設置した島根県雲南県土整備事務所に聞いてみることに......。

地元の人は、カーナビを当てにしない


カーナビNGの標識 広岩(ひろいわ)(@route2hiroshima)さんのツイートより

投稿者の広岩さんによると、標識のあった場所は、島根県南部にある飯南町だという。

標識は、NAVIどおり国道184号を進むと道が狭くなるので、農道・県道経由を勧めているのだが、広岩さんはあえて国道を進んだそうだ。

「私は国道184号を走りましたが、一部区間 は通行止めでしたし、道も狭かったです。通行止め区間は、看板とは別の道を迂回しました」

なかなかの難所だったようだ。やはり最初から標識に従って、農道・県道経由で進んだ方が良かったかもしれない。

ところで、この標識はどんな経緯で設置されたのだろう。それを確認しようと、Jタウンネット編集部は島根県に電話した。

答えてくれたのは、島根県雲南県土整備事務所の担当者だった。

「お尋ねの標識は、当事務所で設置したものであることは確かですが、いつ、どのような経緯で設置されたかについては、不明です。当時の担当者も現在はおりませんので、すぐにはお答えしかねます」

さすがに、記録は廃棄されたわけではなさそうだが、時間はかかりそうだ。

現在の担当者の推測でよければ......、とこう話してくれた。

「国道184号というのは、山の中の狭い道で、すれ違うのも容易ではありません。県外の方々がカーナビを手がかりに運転されて、ずいぶん苦労されたのだろうと思います。それを見かねて、当時の担当者が設置したのでは......、とあくまでも推測です」

標識が案内する「飯石ふれあい農道」は2車線の比較的新しい道路だという。

地元の人は良く知っているから、国道を通らず、農道を通って、県道に迂回するのだという。「カーナビなんか見ませんから」と担当者。地元の人は、カーナビを当てにしないのだ。当然のことだ。カーナビとは、あくまでも旅行者のためのものだろう。