二階氏の問題は高齢であることだ。安倍氏としては菅氏経由で二階氏をうまく使い、アベノミクスから積極財政に政策転換する際に、うまく二階氏を使いたいところだろう。失敗したら二階氏の責任とするのだ。

 このままいけば、自民党は清和会の天下が当面2年は続く。安倍首相は今回の改造人事で、後継候補を競わせる手に出た。しかし、後継指名がすんなりいくとは限らない。まさに、仁義なき戦いが始まるのだ。

 安倍後継の岸田文雄政調会長、菅氏…。ただ、経世会(現竹下派)と二階派が薩長同盟のように手を握ったらどうなるか。積極財政派が息を吹き返すのは目に見えている。安倍首相が一番恐れているのは、「田中角栄の亡霊」の復活である。そのキーマンは二階氏、そして二階派と経世会の薩長同盟実現だ。

 ネックは竹下派の竹下亘会長が重篤な病で入院中なうえ、総裁候補とされる加藤勝信厚労相、茂木敏充外相は安倍首相にベッタリなこと。しかし、前出の古参秘書は昨年の総裁選で、石破元幹事長支持に回った参院竹下派は旧経世会の遺伝子を受け継いでいる青木幹雄元参院会長の支配下にあることを強調する。「二階氏とも良好な関係なのは大きい。かつて田中氏が院政を敷いたように、青木氏は二階氏が担えばいいと考えている」と語る。

 竹下派の自民党幹事長経験者の1人が断言する。
「経世会の精神は“一致団結・箱弁当”の結束力だ。お友だちだけしか付き合わない安倍首相は経世会、二階派が結束したら、ひとたまりもない」

 まるで暴力団抗争だ。