協会最高責任者の発言の波紋が拡大、W杯統括責任者は改めて審議する方針表明

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会のA組最終戦で日本に21-28で敗れたスコットランド。試合前には台風19号が列島を直撃し、自然災害を前に試合開催が危ぶまれる中、スコットランド協会最高責任者のマーク・ドッドソン氏が中止の場合、大会側に対する法的措置を示唆。この発言を、W杯の統括責任者のアラン・ギルピン氏は改めて問題視し、独立紛争委員会で審議する方針を明らかにした。スコットランド記者は「勝ち点6以上剥奪となれば、ドッドソン発言は2023年のW杯自動出場権を犠牲にする可能性も」と、大会史上初のペナルティに発展する可能性を指摘している。

「スコットランドがラグビーワールドカップでの法的措置の脅迫で対抗措置に直面」と特集したのはスコットランド地元テレビ「STV」だった。

 台風19号の影響でA組中止となれば、大会規定では試合はスコアレスドロー扱いとなり、両軍には勝ち点2が付与されることに。最終戦を戦わずして敗退の可能性のあったスコットランドの最高責任者、ドッドソン氏は「我々は巻き添え被害を受けるつもりはない。だからこそ、我々は法的手段に出る。我々は意見が違う」と語っていたと報じられている。

 試合が中止となった場合、組織委員会に対して法的措置という強硬手段に出る方針を明らかにしたために、海外メディアでも大きな波紋を広げていた。

 だが、台風一過の横浜で試合は無事に開催され、死闘の末にスコットランドは敗れ去った。だが、ギルピン氏はドッドソン氏の発言を看過しなかった。スコットランド側の発言について、独立紛争委員会で審議されることを明言した。

母国記者懸念「自動出場権を犠牲にする可能性」

 この問題に関して、STVのサーシャ・プラット記者はツイッターでスコットランド代表が途轍もない代償を払う可能性を明らかにしている。

「スコットランド代表は“ラグビーの評判を貶めた”という(ペナルティで)告発される可能性がある。ワールドカップでは前代未聞。申し立てが認められた場合、罰金か勝ち点剥奪になる。勝ち点6以上の剥奪となれば、ドッドソンのコメントはスコットランド代表の2023年大会の自動出場権を犠牲にする可能性がある」

 スコットランドはA組で2勝2敗の勝ち点11の3位に終わった。勝ち点7以上剥奪されると、4位のサモアの勝ち点5を下回る可能性が出てくる。W杯ではプール戦の各組上位3チームが次回の本大会出場権を手にできるシステムになっており、スコットランドが仮に勝ち点でサモアを下回った場合、予選からの参戦を余儀無くされる危険性もあるという。

 W杯に過去全大会参戦のティア1国。トップの発言が招く、最悪の事態の可能性を地元メディアは憂慮している。(THE ANSWER編集部)