参加選手が明かした思い「こんな時だからラグビーより重要なものが存在する」

 ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会は13日、同日に予定されていたB組最終戦のカナダ―ナミビア戦が台風19号の影響により中止に。カナダは戦わずして無念の最下位が決まったが、チームは台風の爪痕が残る釜石に残り、泥掃除などのボランティア活動に参加した。大会公式ツイッターが画像付きで取り上げ、大きな反響を呼んだが、実際に参加したカナダ代表選手は「ここまで友好的な国に、できるだけの恩返しをしたかった」と日本愛を理由に挙げている。英公共放送「BBC」が報じている。

 台風19号の影響で、釜石で予定されていた1次リーグ最終戦は中止になった。戦わずして、無念の最下位が決まったカナダだったが、彼らの取った行動は海外メディアも特集している。「BBC」は「カナダの選手たちがナミビア戦の中止後、復旧活動の手助けをする」と取り上げた。

 代表選手たちは釜石市内の住宅街の道路に溜まった泥を除去するためスコップを手にした。心優しきカナダ人たちはポリ袋に泥を詰め込むボランティア活動を行った。大会公式ツイッターなどが実際の様子を公開すると、日本のみならず海外からも称賛の嵐が巻き起こった。

 何が、カナダ代表をボランティアに駆り立てたのか――。参加したSO/FBピーター・ネルソンがその理由を明かしている。

「試合がキャンセルとなって、我々は落胆しました。しかし、こんな時だから、ラグビーよりも遥かに重要なものが存在するのです。ここでは(台風で)壊された人々の住む家を何軒も見ました。そして、我々にできることであれば、どれだけ小さい役割だとしても、彼らの手助けになることはしようとしたのです」

行動の裏にあった思い「こんなにまで友好的な国ですから恩返しをしようと」

 釜石に刻まれた自然災害の爪痕にカナダ代表は立ち上がった。その行動には、恩返しの意味が込められていたという。記事では、ネルソンがこうも付け加えたことを伝えている。

「この人たちのおかげで、大会が成り立っている。こんなにまで友好的な国ですから、できるだけの恩返しをしようというのが正しい道です」

 日本国内での事前合宿などで地元と絆を育んできたカナダ。惜しみない声援などで大会を盛り上げてくれた日本に感謝したい。ボランティアの根源に存在した日本への愛情を明かしていた。

 ピッチ上で勝敗を争うだけが、出場選手の役割ではない。釜石で見せたカナダ代表のボランティア活動は、海外メディアやファンからも大きな称賛を集めている。(THE ANSWER編集部)