メディアバイヤーたちによると、Twitterやスナップ(Snap)のチームでさえ先を見越した思慮深いパートナーへと成熟したのに、FacebookとGoogleの広告担当者にはイラ立たされることがますます増えているという。

FacebookとGoogleの広告担当者は、反応が遅く、最終的に反応があってもアドバイスが役に立たないという評判だと、バイヤーたちは語った。これに対し、Twitterとスナップのチームは、メッセージの方向が変わり、予算の規模にかかわらずバイヤーとのコミュニケーションを重視するなど、この1年で成熟したという。バイヤーたちによると、広告予算の使い先に影響するような差にはまだなっておらず、ROIはFacebookの勝ちという広告主がまだ多いが、Facebookは仕事が難しくはなっている。プラットフォーム側でも、Twitterとスナップの広告担当者は、率直にバイヤーとの関係の深まりを売り込んでいる。

バイヤーたちの率直な意見



フリーランスのメディアバイヤーであるデビッド・ハーマン氏は、「Facebookの担当者――エージェンシー担当者ではなく広告担当者――は力にならない。実際的な指針ではなく、懸案事項を寄こしてくる」と語った。

エージェンシーのアーキタイプ(Archetype)でシニアコンサルタントを務めるジム・ミニャーノ氏も、Facebookには同じような不満があると話す。Facebookの広告担当者はFacebookのベストプラクティスを主張するばかりだというのだ。「Facebookは、キャンペーン予算の最適化や自動プレイスメントなど、自社のベストプラクティスの方にキャンペーンが向かうように推進できる関係にしか興味がなく、実際にパフォーマンスの向上や支援に努めていないように感じる」とミニャーノ氏は語った。

フリーランスのマーケティングストラテジストであるローレン・ファビアンスキ氏は、Facebookの広告担当者は電話の際、「フォーマットやターゲティングなど、その月の方法を推奨する台本に従っている」ように感じると語った。「(Facebook担当者の)指示に対し、自社のチームが提案に関する何らかの懸念を表明すると、いつも突っ込んだ質問に回答できない。プラットフォームを自分で使っていないように思えてならない」と同氏はいう。

Googleの広告担当者について、バイヤーたちは、新しい人と仕事をしなければならないことが多く、質問の待ち時間が増えることがあると語っている。ウォーラルー・メディア(Wallaroo Media)の創業者、ブランドン・ドイル氏は、「(Googleで)多くの資金を管理していているのに、いつもたらい回しにされているように感じる。大事な質問も回答に何日もかかる。回答がないものもある。よい担当者にあたることもあるが、1週目の人にあたることもある。正直、かなり異様な状況だ」と述べた。

応対が悪化が顕著に



こうした違いは新しいものではないと、7人のバイヤーが語った。ただ、FacebookとGoogleは応対が悪化しており、特にTwitterとSnapの改善と比較すると、それが顕著なのだ。もちろん、バイヤーたちも言っていたが、FacebookとGoogleのほうが会社がずっと大きい。しかし、この2社の心づかいの欠如で、関係の緊張は強まっている。

グロースマーケティングコンサルタントのグレース・ロー氏は、「私が落胆するのは、両社が問題を修正する必要性をわかっていないことだ。(我々に対して)結局のところお金を出すだろうという根本的な傲慢さは本当に頭にくる」と語った。同氏は先日、こうした問題をツイートした

Facebook Ads Managerはこの1年で信頼性のなさに拍車がかかり、それがFacebookへのフラストレーションを高めている。Facebook Ads Managerでの仕事は「果てしない疑念状態」を生きるようなものだと、英国のメディアバイヤーたちは以前に語った。

こうした不満について問い合わせたところ、Facebookの広報担当者は、「ビジネスを成長させるために我々のプラットフォームを選ぶすべてのビジネスの力になるべく全力を注いでいる。チームとシステムをグローバルに準備して、規模に関係なくすべてのビジネスと広告主をサポートしている」と語った。

Googleの広報担当者は、「すべての顧客に最高水準のサービスを提供することを常に志してきた。このフィードバックを真剣に受け止め、顧客の成功の力になるための方法の改善策を引き続き探っていく」と応えた。

Twitterの関係改善の背景



一方、Twitterとスナップは相対的に、バイヤーたちと建設的な関係を構築している。ミニャーノ氏はTwitterの担当者について、「本気で取り組む意思がある」「本当のレコメンドをしてくれる」などと評した。ベストプラクティスや最適化のリストを単に伝えるのではなく、個々のキャンペーンに沿った回答をする。バイヤーたちによると、両社は要求への回答も向こうからの先を見越した連絡も迅速だ。

ロー氏は、「各社、クリエイティブ戦略チームがあるが、Twitterとスナップからは、我々の後押しになるオリジナルのアイデアが提供され、実際に実装に至っている。GoogleとFacebook(の担当者)はチームについて、実際にはアクセスできないかのように話しており、一般的なフィードバックを出すのに何週間もかかる」と語った。

Twitterのバイヤーとの関係改善は、株式市場における好転のストーリーと黒字化達成とセットになっている。2018年、Twitterは「#StartWithThem」というテーマを中心にセールス戦略を見直した。現に最近の媒体資料でも、ローンチやライブイベントのための場所として売り込むことに力を入れている。

Twitterのセールスチームはまた、「#CareMore」という気風を中心にまとまっている。Twitterの担当者は、社内でも自身のプラットフォームでも会話にこのハッシュタグを使い、エージェンシーリレーションシップを公表している。一部のTwitterの担当者は、プラットフォームの広告担当者を比較したロー氏のツイートを、このタグを添えた引用ツイートまでしている。

スナップは新しい経営陣によって



一方、スナップは、新しい経営陣によってメディアバイヤーから新たに敬意を獲得した。Amazonの広告セールス責任者を経て、最高ビジネス責任者としてスナップに加わったジェレミ・ゴーマン氏は、セールスチームを地域戦略から垂直戦略へ再編することにした。この変更により、エージェンシーとブランドは新しい担当者と仕事をすることになったが、バイヤーたちによると、この移行が「シームレス」で、自分たちに恩恵があるものだった。

ハーマン氏は、「つい昨日、こちらから求めたわけでもないのに、私のアカウントを調べていて興味深い傾向に気づいたので最適化の方法を送付すると、スナップの担当者からのメールがあった。彼女はパートナーだと感じられる。すばらしいことだ」と語った。

メディアバイヤーたちは、FacebookとGoogleへのイラ立ちをネット上や舞台裏で表明しており、広告担当者にも直接伝えている。それでもほとんど変化はなかったし、これからも変わらないと思っているとバイヤーたちはいう。ハーマン氏は、Facebookという会社の問題を同社の広告担当者のせいにはしたくないと語った。そのうえで、スナップのようなリーダーシップの変更はFacebookに有効ではないかと提案した。

「スナップがこの1年で物の見事に変わったのは確かだ。新しい担当者に2回あたったが、しっかり取り組んでいるようで、実際にいまのほうがずっと歩調を合わせて進めてくれている」とハーマン氏は語った。

「残念ながら逃れられない」



ただ、バイヤーたちによると、(FacebookとGoogleの)二大企業は貧弱な関係管理でも通用している。

ZGMモダン・マーケティング・パートナーズ(ZGM Modern Marketing Partners)のデジタルストラテジスト、クリス・ミクーリン氏は、「かなり当てずっぽうで、大金を使わないとうまく行かないのが普通だが、たくさんの広告主がいるなか全員にサポートを提供するのは難しいのだから、私は理解はできる」と語った。

実際に、Facebookはオンラインにおけるリーチの規模とプラットフォームのアクティブな広告主の数を繰り返し宣伝している。1月にはCOOのシェリル・サンドバーグ氏が、Facebookは広告主数が700万に到達したと発表した。

ミニャーノ氏は、「クライアントのためにベストな結果を生み出し、クライアントのROIを最大化したい。そうした結果をもたらすベストな方法はFacebookであることが多い。広告担当者との体験がほかのプラットフォームほど強力なものではないとしても」と語った。

ファビアンスキ氏は、「残念ながら、我々は(Facebookから)逃れられない。それでも広告の成績がいい。しかし、それはFacebookが顧客のスキルを向上させようとしたというよりも、我々のチームが経験を積み、テストから知見を得られるようになったからだ」と、語った。

Kerry Flynn (原文 / 訳:ガリレオ)