イスラエルの新興企業「Corephotonics(コアフォトニクス)」は、iPhone 7 PlusやiPhone 8 Plus、iPhone X、iPhone XS、およびiPhone XS Maxに搭載されているデュアルカメラが、同社の10件の特許を侵害していると主張し、アップルに対して追加の訴訟を起こしていると報じられています。Corephotonicsは2017年にiPhone 7 Plusのデュアルカメラが同社の特許を侵害しているとしてアップルを訴えた企業です。さらに2018年初頭にはiPhone 8 PlusとiPhone Xも特許侵害の対象として追加した後、今回のiPhone XSやiPhone XS Maxがそれに加えられたかたちです。

もともとの訴状では、同社が特許取得済みの望遠レンズの設計や光学ズームの方法、広角レンズや望遠レンズの捉えた画像をインテリジェントに融合して画質を改善する方法が模倣されたと主張。その当時は4つの特許侵害とされていましたが、現状10件まで拡大されています。

CorephotonicsはOPPOともパートナーシップを締結しており、開発中の光学10倍ズームにもCorephotonicsの技術が使われると謳われていました。実際、同技術を採用したReno 10x Zoomは発売済みです。

その後、Corephotonicsはサムスンに1億5500万ドル(約170億円)で買収されています。カメラ性能が高く評価されていたサムスンが取得したということで、同社のモバイルカメラ関連技術の水準は客観的にも高レベルにあると言えるでしょう。

ちなみにCorephotonicsは2018年のMWCでも技術の一部を披露しています。その中でも、別々のカメラが捉えた画像を組み合わせて、可動部分なしで光学的に最大5倍ズーム機能を含む、精細な画像を作成できるソフトウェア技術は注目を集めていました。



とはいえ、デュアルカメラを採用したスマートフォンメーカーはアップルだけではありません。Corephotonicsがアップルを訴えた理由としては、同社がアップルと戦略的パートナーシップを交渉し、「多くの有望な報告」と「肯定的なフィードバック」を受け取ったにも関わらず、最終的には技術ライセンスを締結するに至っていない背景があるようです。

Corephotonicsの主張では、アップルが同社の特許の知識を得てデュアルレンズを搭載したiPhone 7 Plusのリリース準備を進め、故意に特許を侵害したと述べられています。

それに加えて、アップルの交渉責任者はたとえ同社が特許を侵害していたとしても、何かを支払うまでには(Corephotonicsに訴訟費用として)何年もの時間と数百万ドルがかかると語ったとのこと。要は立場を軽視された、といったところでしょうか。

Corephotonicはアップル本社のある米カリフォルニアの地方裁判所にて訴訟を起こし、損害賠償に加えて特許侵害とするiPhoneの販売差し止めを求めています。アップルは別のイスラエルのカメラ技術企業 LinX Imagingを2015年に買収しており、「iPhoneのカメラとイスラエル」は何かと因縁が深そうです。