シートヒーターも完備! 国産車の驚きおもてなし術

 どこへ出かけるにも移動手段はクルマで、運転大好き、長距離ドライブもぜんぜん平気、という男性を夫にすると、周囲からは羨ましがられたりするものです。確かにドアツードアで移動できるのは、荷物が多い旅行などでは助かるし、暑くても寒くても雨が降っていても快適な空間で、他人の目を気にせず過ごせるクルマ移動はラクではあるのですが……。渋滞などであまりに長時間になったりすると、助手席でず〜っと座っているというのもけっこう疲れてイヤになってしまうものです。

 そんな時は、寝てしまうに限る! と思うのですが、シートの座り心地が良くないとか、狭くて窮屈だとか音が気になるとか、心地よい眠りにつける助手席を持つクルマというのも、いざ探そうとするとなかなか難しいものなのです。なので今回は、運転好きな夫(妻)を持つ人にはぜひチェックしていただきたい、超絶快適な助手席を持つ貴重なクルマたちをご紹介します。

1)日産エルグランド

 まずは、プレミアムミニバンの元祖と言ってもいいでしょう、日産エルグランド。現行モデルは登場から9年が経過しているのでちょっと古さは否めず、最近はめっきりトヨタ・アルファード/ヴェルファイアに押されていますが、発売当初から力を入れているシートの快適性ではまだまだ負けずとも劣らず。

 1列目・2列目のシートは、通常のベース骨格+ワディングという構造にさらにもう一段、スラブウレタン(ソフトウレタンフォーム)を加えた3層構造。これによって長時間座っていても疲労を感じにくいシートになっています。

 そして当然ながら助手席にもシート一体型のオットマンが付いていて、足を伸ばしてリラックスできるほか、瞬時に温まるクイックコンフォートシートヒーターを世界初装備。人間の生理学特性に着目して、温める場所と時間をシーンによって最適化してくれるので、冷え性の奥様も快適に過ごせることでしょう。

2)レクサスLS

 続いて、日本を代表するプレミアムセダンから、レクサスLS。見た目にも上質感たっぷりで、肌触りも極上のシートに座る前から心が踊りますが、じつはその中身にはすごい技術が隠されています。一般的にはシートの調整機能というのは8wayくらいでも高級な部類なのですが、LSの助手席はなんと28way調整式!

 しかもニューマチック(空気式)システムで、エアプラダー(空気袋)の膨張・収縮によってランバー前後上下、腰後部、ショルダー、ヒップ、クッションサイドといった細かな部分をフィットさせることができます。これなら夫がノリノリでアクティブなドライビングを楽しんでいても、身体が最適にホールドされているので疲れ知らず。さらに、背中から大腿部までを押圧するリフレッシュ機能(マッサージ)もあり、全5コースから選択できてスパ気分で過ごせるのも嬉しいですよね。

「いつまでも乗っていたい」うっとりする乗り心地を提供

3)プジョー508

 そしてもう1台、マッサージ機能が助手席でも使えるシートを持つのが、プジョー508です。シートに内蔵された8つのマルチポイントが空気圧で膨張・収縮しながら、肩から腰までを優しくマッサージ。パターンもいろいろ選べます。

 508は室内の静粛性が高く、車内に響いてくる音も耳に心地いいものなので、脳と身体をいたわりながらスーッと眠りにつけることでしょう。通常は、こうしたマッサージ機能付きシートが搭載されるクルマというのは、日本車でも価格が1000万円超えの場合が多いのですが、508はフランス車なのに417万円からというところも魅力的です。

4)日産キューブ

 えっ、400万円なんてムリムリ。という人にも快適な助手席を持つクルマはありますよ。162万円から揃う、日産キューブです。走るマイルームと謳われるだけあって、車内はクルマらしからぬリラックスした雰囲気。バスタブに浸かってのんびりできるような空間を目指した、というところがもう、助手席でくつろいでくださいと言われているようなものですよね。実際に座ってみるとシートもぶ厚いクッションでソファのよう。多彩に揃うシート生地にはベロア調なんかもあるので、思わずゴロゴロしたくなってしまうかも。

 そして、少し背もたれを倒して天井を見上げれば、波打つ水面のような模様があって和みます。スタイリッシュガラスルーフ+SHOJIシェード+ロールブラインドをつけると、青空が見たい時にはガラスで開放的に、ちょっと眩しい時には障子をモチーフにしたSHOJIシェードで調光を。完全に光を遮りたい時にはロールブラインドを引くこともできて、昼でも夜でも心地いい助手席になるはずです。

5)シトロエン・グランドC4スペースツアラー

 さて、最後はアウトドアが大好きな人に最適な助手席かもしれない、シトロエン・グランドC4スペースツアラー。座った瞬間に思わず上を見上げてしまう、見たこともないほど大きなスーパーパノラミックフロントウインドウが特徴で、車内というよりサンルームに近い空間です。足を支えてくれるカーレフトがついた助手席で、ゆったりと空を眺めながら揺られているうちに、ついついうたた寝……なんて、最高ですよね。

 しかもシトロエンは昔から独創的な乗り味でコアなファンを掴んできた自動車メーカー。このグランドC4スペースツアラーも、一般的な7人乗りミニバンとはちょっと違った世界観を持っています。フランス流、シトロエン流のおもてなしがどんなものなのか、助手席で過ごすうちにきっとわかってくることでしょう。

 というわけで、プレミアムカーから個性的なコンパクトカーまで、快適な助手席にスポットを当ててご紹介してきました。まだまだ行楽シーズンは続きますから、渋滞などで思いがけず長時間のドライブになってしまうこともあるかもしれませんが、「いつまででも乗っていたい……」と思えるこんな助手席を持つクルマなら、イライラからくる夫婦喧嘩も減るかもしれないですよね。

 全国の運転好き夫を持つ奥様たちも、もう助手席でガマンする必要はありません。これからは「助手席ファースト」のクルマ選びもアリだと思います。