実際、平野氏が、社長として日本マイクロソフトを指揮した2016年度〜2018年度の3年間の総成長金額は、2006年〜2016年度の10年間の総成長金額の2倍に達しており、日本のビジネスを大きく伸ばした。そして、今年度に1.5倍増にするSurfaceの販売計画も、すでに達成している。

 また、働き方改革に率先して取り組み、日本マイクロソフトを、「働き方改革推進企業」と名付け、日本マイクロソフトが実証ケースとなりながら、勤務制度の変更や、在宅勤務やモバイルワークを促進してきた。

 平野社長自らも、まったく紙を使わない仕事をしたり、社長室の会議スペースやオフィス内の会議エリアには、椅子を置かず、立ったまま会議をすることで効率的な会議をするといったことも実行してきた。こうした様々な働き方改革の成果をもとに、2019年8月には、週休3日の取り組もうとしているところだ。

 今回の平野氏の米本社バイスプレジデントへの就任は、東中欧および日本マイクロソフトの経営トップとしての功績が評価されたものだ。特に、日本は、パートナーとの連携が極めて強い国であり、そこでの実績が、今後は、グローバルで生かされることになる。

道筋を作る
 外資系企業の日本法人トップが、本社のなかで幹部として活躍する例は意外にも少ない。時価総額世界トップ5に入るマイクロソフトにおいて、そうした動きが生まれたことは、マイクロソフトにおける幹部への日本人登用、ひいては外資系IT企業において、日本が幹部として活躍できる道筋を作るきっかけになるかもしれない。

 スポーツ界では、すでに多くの日本人がグローバルで活躍し、先頃、八村塁選手が、NBAのドラフト一巡目に指名され、話題を集めたばかりだ。経済界やIT業界においても、日本人が本社幹部として活躍する動きを加速させることができるか。その点でも、平野氏の新たなポジションでの挑戦に注目したい。

 なお、日本マイクロソフトの次期社長については、2019年8月後半以降に発表される公算が高そうだ。
(文=フリージャーナリスト・大河原克行)