Googleが開発するChromeブラウザーからプロプライエタリな要素を取り除いたオープンソースブラウザーChromimは、いまやマイクロソフトのEdgeブラウザーをはじめOpera、VivaldiそしてBraveといった多数のブラウザーのベースとして使われています。

Chromeを開発するGoogleはいまからひと月ほど前、ブラウザーに関する新たな変更提案「Manifest V3」にて、拡張機能として提供される広告ブロッカーによるWeb Request APIの使用を非推奨とし、新たに用意されたDeclarative Net Request APIを使うよう求めました。これはWeb Rquest APIで受け取ったコンテンツから広告ブロッカーが広告を認識して除去できていたところ、新APIではその処理をChromeブラウザー側に委ねる格好とするというものです。しかしそれは、第三者による広告ブロッカーが実質的に役立たずになる可能性を意味しており、Chromium系ブラウザーの広告ブロック機能はGoogleの広告ビジネスに都合良く動作するようにされてしまう可能性が指摘されています。

そうしたなか、ChromiumベースのブラウザーのひとつBraveは、Googleの意図に反してWeb Request APIの利用を継続できるようにすると宣言。さらに表示速度を追求するために、C++ではなくMozillaが開発したRust言語を使ってさらに高速な広告ブロッカーを再構築することを決定しました。現在、その成果物はBraveのDevチャンネルとNightlyチャンネルで提供されるビルドで試用可能になっています。

Braveは人気広告ブロッカーであるGhostlyやuBlock Originから着想を得てアルゴリズムを再構築し、広告ブロック機能の処理速度を従来より最大69倍にまで高めました。結果、Web Requestからの広告分類にかかる時間は5.6μsec(1μsecは100万分の1秒)にまで短縮されたと主張しています。

Braveは「ユーザーは広告ブロッカーによるオーバーヘッド削減に気づかないことがほとんどであろうものの、オーバーヘッドが69倍にまで高速化すればその間のCPU使用時間を他の処理に充てられることを意味します」と述べました。オーバーヘッドが著しく小さくなれば、コンピューターの作業負担も大きく削減でき、OSそのものや同時に走っているプログラムの安定性が増すことが期待されます。

ちなみにBraveと同じChromiumベースのOpera、Vivaldiなども、Manifest V3で提案される広告ブロッカー関連の計画に反対し、Web Request APIを継続使用可能にする方針を打ち出しています。