直進車や左折車を妨害しないタイミングなら右折しても問題ない

 2019年5月8日の大津市での保育園児が犠牲となった交通事故以来、対向車線の直進車より右折車優先(?)の「松本走り」に注目が集まっているが、テレビのワイドショーなどに取り上げられている「松本走り」の映像は、一般的にいってほとんどセーフ、というケースが多いのでは?

 もちろん強引な右折は論外だが、右折信号もなく右折レーンもないような交差点では、ある程度対向車が途切れた時点で右折しないと、後ろに長い列ができるだけ。わりと対向車まで距離があるタイミングで、右折しはじめたクルマの映像を見てコメンテーターたちが、「これは危ない」と大げさに語っているのは不見識というもの。

 道交法の第37条には、「車両等は、交差点で右折する場合において、当該交差点において直進し、又は左折しようとする車両等があるときは、当該車両等の進行妨害をしてはならない」とあるので、直進車や左折車の進行を妨害しないタイミングなら、視界に対向車が入っていたとしても右折するのは問題ないはず。

 では一般論として、どのタイミングなら右折OKで、どのタイミングならアウトなのか。わかりやすいのは、対向車(直進車)がブレーキを踏まなくても、右折を終えられるタイミングなら文句がないはず。

直進車にブレーキを踏ませない右折を心がけるべき

 これは距離だけでなく、速度も絡んでくるので見極めが難しいが、きちんとウインカーを出したうえで、上記のタイミングで曲がれるなら、むしろ積極的に右折した方がスマートだし、交通の流れをよくするためにも望ましいので、これはセーフ。

 直進車がブレーキを踏むところまではいかなくても、少しアクセルを戻して右折車にタイミングを合わせたとしたら、アウトとまでは言えないがやや強引な右折だろう。そして直進車にブレーキを踏ませるような右折は、立派なアウト! こういう線引きをひとつの基準にしてはどうだろうか。

 もっとも、なかには直進車が減速不要、等速度で交差点を通過できるタイミングで、ウインカーを出しながら右折しているのにも関わらずクラクションを鳴らされるようなケースもあるし、右折開始のタイミングはバッチリだったのに動き出してからがノロノロで、直進車に減速を強いるといったパターンもある。

 とくに今話題の高齢者ドライバーは、対向車との距離は見ていても速度の把握がかなりあいまいで、周囲と間の取り方に隔たりがあり、ヒヤッとさせることが多々あるので要注意。

 いずれにせよ一番優先しなければならないのは安全なので、松本市に限らず、自分の判断を過信せず、相手のクルマにも甘えず(信用せず)、安全性を最優先し直進車にブレーキを踏ませることのない右折を心がけるようにしよう。