[画像] 【木村和久連載】プロも惑う新ルール。アマチュアならこんなのもアリ

専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第199回

 今年から始まったゴルフの新ルール。みなさん、馴染んできましたか? なにせ、初めてのことで、戸惑いもあることでしょう。

 それでも、アマチュアゴルファーは「この場合、どうする?」などと、同伴者と協議しながらできるからいいですが、シビアなのはプロの試合です。まずは、そちらの話からお伝えしましょう。

 世界選手権シリーズ(WGC)のメキシコ選手権では、リッキー・ファウラー(アメリカ)が膝の高さからとなったドロップのルールを忘れて、これまでどおりに肩の高さからボールをドロップ。その結果、ペナルティー(1打罰)を科されてしまいました。

 条件的には、昨年までの肩からドロップしたほうが厳しいですよね。より上から落とせば、ボールがラフに埋もれたり、条件の悪い場所に転がったりする恐れがありますから。

 とすれば、いくらルールとはいえ、困難なほうで処理してペナルティー、というのは解せません。ファウラー自身、ペナルティーは甘んじて受けていましたが、納得はしていないようでした。

 その他、ボール探しの時間や、グリーンブック(※グリーンの傾斜など詳細に記されたもの)の大きさでも、珍妙な判定が出されています。

 こうした弊害をなくすためには、やはり移行期間というものを設けるべきだったと思います。その期間は、これまでのルールで思わずやってしまっても、3回以内なら”注意”で留めるとかね、そういう救済措置がないと。せっかくルールを簡単にしたのに、そのせいでペナルティーや失格処分になるのは、本末転倒のような気がします。

 というわけで、我々アマチュアゴルファーにおける、新ルール問題についても触れていきたいと思います。

 ここでは、アマチュアと言っても、競技志向のアマチュアではありません。あくまでも、プライベートで楽しくラウンドする人々、せいぜいがんばってもゴルフコンペに参加するレベルの人たちの話です。

 ただ、そういったアベレージゴルファーにも、新ルールの波は大きく押し寄せてきています。

 如実に変わったのは、パターを打つとき、ピンを立てたままでいい、という解釈です。新ルールが施行されたばかりの1月頃は、まだ「(ピンを立てたまま)やったほうがいいよ。カップに入る確率が高まるし、進行もスムーズになるから」くらいの雰囲気だったのが、3月に入ると、ピンを立ててパットを打つのが当たり前、という状況になってきました。

 私の知り合いは全員、100%ピンを立てたまま、パターを打っています。ときどき、「ホントはピンを外して打ちたいんだよね。とくに短い距離は」と納得しないでやっている方もいますが、”ピン立てパター打ち”の流れに逆らえず、しぶしぶ承諾してやっているようです。

 おそらく、今後はこうした流れになっていくのでしょう。

 ただ、ゴルフ場全体を見渡した場合、まだまだピンを抜いてパターを打っている人のほうが多いのが現状です。アマチュアゴルファーがみんな、ゴルフ雑誌などを読んで勉強し、啓蒙活動に勤しんでいるわけではないですしね。

 だからでしょうか、ピンを抜いてパターを打っている組は、相対的にプレーが遅く感じます。加えて、オーケーのような距離でも打たせているのは解せません。が、だいたいそういうパーティーは、ニギリを真剣にやっているのでしょう。ゆえに、イライラしても、外野は余計なことを言えないのです。

 続いてOBの処置ですが、OBと思しき場所から2打罰で打ち直すことは、従来もやっていたので違和感はありません。でも、打ち直す場所が、OBの境界線を横切ったと推定される地点とホールに近づかないフェアウェーエッジ地点の間、さらにそのフェアウェーエッジ地点から内側に2クラブレングス以内(※従来のローカルルールは、ボールが横切ったと推定されるOBの境界線から2クラブレングス)、ということに気づいていない人が多いです。

 これを情報として告げると、みんな喜んで「えっ、そうなの? 楽だわ〜」と言ってフェアウェーから打ち直します。アマチュアにとっては、非常に喜ばれるルールです。

 一方で、ボールを見失ったときはつらいです。従来は5分間探すことができたものが、新ルールでは3分間で捜索終了となります。アマチュアにとって、これは非常に不利です。とくにセルフプレーで、アベレージゴルファーがプレーしているときは目も当てられません。

 いいですか、プロは3分とはいえ、キャディーやスタッフ、しかもテレビカメラまで動員しての3分間ですよ。それに、おおよそプロの打球はテレビカメラが追っていますから、ロストボールなんて相当深いブッシュ以外は考えられません。

 ところが、アマチュアのセルフプレーとなると、みんな下手くそで、他人のボールなんて見ていません。そもそも、自分の打ったボールすら見失っているのですから、それが深いラフや林の中に入ってしまったら、3分で探せるわけがないのです。

 アマチュアのロストボールの多くは、OB杭や黄杭、赤杭の内側で起きています。だから、「あのボール、絶対にセーフなのにロストかよぉ〜。あぁ、悔しいぃ〜」となるのです。ルール上、2打罰扱いになりますしね。

 この点について、セルフプレーの際にはローカルルールを決めておいたほうがいいでしょう。プライベートラウンドなら、たとえば同伴メンバーがひとりでもボールの方向を見ていて、明らかにセーフの場所に飛んでいたら、ロストボールとなっても1ペナにするとかね。そういうことをやっているアマチュアはたくさんいます。

 もちろん、練習ラウンドのことですからね。他にも「雪ルール」、「枯れ葉ルール」と言って、コース内に邪魔するものがたくさんある場合、そこでボールを見失ってもセーフにするとか、いくらでもやりようはあります。

 アマチュアのプライベートラウンドは、せっかく簡略化したルールがあるのですから、もっと甘やかしたほうがいいです。

 甘えついでに、1ペナの処置も考えたいです。通常、1ペナは黄色杭のそばから打っていますが、OBの扱い同様、フェアウェーまで出して打ってもいいと思います。

 なるべく叩かないようにプレーする。そうすれば、自ずと進行も速まり、ストレスなくゴルフができるってものです。

 あっ、そうそう、肝心のドロップですが、これはみなさん、膝の高さからのほうが楽だし、得した気分になるので、率先してやっています。昔のルールのまま間違って肩の高さからボールを落としても、「それは昨年までだから」と言って、やり直して終わり。昔のルールでやってペナルティーって、あり得ないでしょう。ファウラーが怒るもの無理もありません。


「新ルール」の抜き打ちチェックなんてあったら、ちょっと怖いですね...

 そんなこんなで新ルールが始まりましたが、別にプライベートでラウンドしていて、R&A(英国ゴルフ協会)の人が抜き打ちで来て、ルールを守っているかどうかなんて、チェックしませんよ。

 だから正直言って、間違ったまま、自分の都合よく解釈してラウンドしてもいいんじゃないですか。さすれば、各地でルールの独自解釈がなされて、それが盛んになる――というのもあるかもしれません。

 アメリカじゃあ、「マリガン」と言って、朝イチのティーショットは2回打っていいことになっています。何度かアメリカでラウンドしましたが、現地の人は本当にそうやっていました。

 所詮、ルールってそんなものでしょ。日本人が真面目すぎるんです。どんどんローカルルールを編み出して、自分の名前が付くようにがんばりしょう……って、そこかぁ〜強調するところは!?