中国では近年の経済発展に伴い、現代病と言われる「生活習慣病」の患者が増加している。「肥満」もその1つで、お腹がポッコリと出ている中年男性は少なくない。また、子どもたちにも肥満気味の傾向が見られ、大きな社会問題となっている。

 一方、中国より早くに経済が発展し、より成熟した日本では肥満気味の人が少ないことに驚く中国人は多いようだ。中国メディアの快資訊は21日、「日本人は美味しいものをたくさん食べているはずなのに、肥満が少ないのはなぜか」という疑問を投げかける記事を掲載し、その理由について分析している。

 記事はまず、世界には様々な「美食」があり、日本食も非常に美味であると主張。続けて、日本食は油を多用しないものの、人間が美味しいと感じる物質は「コレステロール」や「澱粉」であり、これは日本料理にも含まれていて、和牛には多くの脂肪が含まれていたり、日本人は「脂が乗っている」魚を好んで食べると指摘。また日本人の主食は澱粉質の米であると主張し、それでも日本で肥満の人が少ないのは不可解だと主張した。

 では、なぜ日本人に肥満が少ないのだろうか。記事は、中国から「仏教」が伝わったことによって「素食」の文化が根付いたこと、また675年に天武天皇が初めて肉食禁止令を出してから約1200年にわたって日本人は肉を多く食べなかったことが関係していると分析。他にも、1985年に当時の厚生労働省による「1日に30品目を食べる」という提唱が、日本人に肥満が少ない原因に大きく貢献していると伝えた。

 日本人にも肥満の人はいるが、近年の中国では日本以上に肥満の人が多いのが現状だ。経済の急激な発展と共に人々の食生活が変化し、高カロリーの食品を多く摂取するようになったことに加え、近距離でもタクシーを使用するなどの運動不足が大きく関係している。生活が豊かになることは誰もが歓迎することであろうが、その代償として肥満による生活習慣病を罹患する中国人が多いのは皮肉と言えるだろう。(編集担当:村山健二)(イメージ写真提供:123RF)