映画に登場する衣装や部屋は、登場人物たちの心情やキャラクターを表わす重要なアイテム。実際に参考にしたいアイデアも盛りだくさん。
今回は、ファッションをテーマにした映画ではないけれど、ファッションやインテリアにも注目したい素敵な映画をピックアップしてご紹介しよう。
『スウィート・ノベンバー』(2001)
サンフランシスコの一流広告会社に勤める仕事人間のネルソン(キアヌ・リーヴス)は、ある日出会った風変わりな女性サラ(シャーリーズ・セロン)から、11月の1ヵ月間だけ恋人になることを唐突に提案される。ひと月ごとに恋人を変えているらしい彼女のこの提案には、ある理由があった──。
キアヌ・リーヴスとシャーリーズ・セロン主演による、切ない大人のラブ・ストーリー。
シャーリーズ・セロンと言えばショートカットのヘアスタイルが多くて似合っているけれど、本作の前髪が長めのショートカットもとってもキュート。ピンで留めたり、撫でつけて髪飾りを指したりとバリエーションも豊か。
出典元:YouTube(MOVIE PREDICTOR)
そしてファッションも素敵。赤、黄色、黒……ざっくりと編んださまざまなストールをその時々の服に合わせて身につけている。ボーイッシュ過ぎず甘過ぎないファッションは、真似したくなるような身近なアイデアばかりで、冬のコーディネートに参考にしたい。
出典元:YouTube(MOVIE PREDICTOR)
『ペネロピ』(2006)
魔女にかけられた呪いのせいで、豚の鼻と耳を持って生まれた名家の娘ペネロピ(クリスティナ・リッチ)。世間の目から身を守るため屋敷から出ることなく暮らし、呪いを解いてくれる真実の愛を待ち続けていた彼女は、ある日、青年マックス(ジェームズ・マカヴォイ)と出会う
豚鼻・豚耳のヒロインと、名家の青年の恋を描いたロマンチックコメディ。
ずっと家の中だけで暮らしてきたペネロピにとって、部屋はとても大切な場所。ビビッドなピンクとモスグリーンで統一された部屋はそのままおとぎ話から飛び出してきたよう。
部屋に生えて来たような大きなピンクの樹のオブジェ、シンプルな木のブランコ、大きな額縁のような黒板、すこしデフォルメされた草木の描かれたモスグリーンの壁紙。特に照明と壁紙はインテリアの参考になるはず。
また、外出時に鼻を隠しているパープルとグリーンのハニカム柄の長ーいマフラーと紫のコートの組み合わせも素敵。足元はもちろん緑のタイツと靴で、しっかりとグリーン&パープルで統一。可愛いもので溢れたとびきり可愛い一作。
出典元:YouTube(Movieclips Classic Trailers)
『エターナル・サンシャイン』(2004)
バレンタインを目前に喧嘩別れしたジョエル(ジム・キャリー)とクレメンタイン(ケイト・ウィンスレット)のカップル。ジョエルは、仲直りをしようとクレメンタインに会いに行くが、彼女はジョエルとの思い出を忘れるために、すでに記憶除去手術を受けた後だった。傷ついたジョエルは、自分も同じ手術を受けようと決意する。
なんと言っても目を引くのはクレメンタインの髪色。「私は気まぐれなの」と言う通り、“青の廃墟色”というネーミングのブルーやタンジェリン・オレンジ、グリーン、レッドと次々と変わるけれど、これは物語の時間軸を解く上でも大切な役割を果たしているので要チェック。
出典元:YouTube(Movieclips Classic Trailers)
派手な髪色に合わせるのはオレンジのパーカーや赤いパンツなど、パッと目を引く色ながらも無地でシンプルなデザインのアイテム。でもそれだけで十分オシャレ。
また、彼女の部屋のカーテンはさまざまな柄の布を縫い合わせたパッチワークの布をぶら下げたもの。これも真似してみたいアイデアだ。
『スウィート17モンスター』(2016)
何かと騒動を起こしては情緒不安定気味の母親や教師を翻弄している、こじらせ高校生ネイディーン(ヘイリー・スタインフェルド)。ある日、唯一の心の拠り所である親友クリスタ(ヘイリー・ル・リチャードソン)が、ネイディーンの天敵である人気者でエリートの兄と恋仲になり、2人の友情に亀裂が入ってしまう。
本作は、コンプレックスにジタバタもがく、格好悪くて愛おしいネイディーンの成長を描いた青春映画。
注目したいのはネイディーンのダサ可愛いファッション。ある日のファッションは胸元に大きくシカが描かれたニット。襟にファーがついたブルーのナイロンブルゾンも、70年代のような昔の雰囲気で逆に新鮮。
デニール数の低い黒のストッキング&グレーのソックスとスニーカーや、柄×柄の組み合わせ。主張しつつもカオスな印象は、ネイディーンの心情そのもの。
カッコよく着こなせる人はそうそういない難易度高そうなダサ可愛いファッション、ぜひ一度はチャレンジしてみたい。
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』(2014)
舞台はスコットランド、グラスゴー。拒食症の治療で入院しながらピアノに向かい作曲に没頭するイヴ(エミリー・ブラウニング)は、ある日、街へ飛び出して訪れたライブハウスで、アコースティックギターを手にしたジェームズ(オリー・アレクサンデル)と知り合う。やがて彼に紹介されたキャシー(ハンナ・マリー)と共に、3人は音楽活動を始める。
本作はグラスゴー出身の人気バンド「ベル・アンド・セバスチャン」のスチュアート・マードックが、2009年に放ったソロアルバムを自ら監督・脚本を務めて映画化したミュージカル。
出典元:YouTube(Movieclips Trailers)
登場するファッションはどれも清潔感があるポップなブリティッシュスタイルで、ベル・アンド・セバスチャンの持つイメージそのままだ。リュックやバッグ、サングラスといった小物を合わせたレトロなファッションが本当にオシャレ。
イヴが身につけているベレー帽やターバン風スカーフ、まとめ髪などはとても参考になるのでぜひチェック!
『ルビー・スパークス』(2012)
若くして天才作家としてもてはやされ、今ではひどいスランプに陥ってしまったカルヴィン(ポール・ダノ)。カウンセラーの勧めで理想の女の子“ルビー・スパークス”の物語を書き始めたカルヴィンの前に、ある日、自分が創造したヒロイン、ルビー(ゾーイ・カザン)が現われる。
ヒロイン“ルビー”を演じたゾーイ・カザンが脚本・製作総指揮を務め、また主人公である小説家を演じたポール・ダノも、製作総指揮を務めた本作。
実はこの2人は実生活でもカップル。ルビーの衣装が可愛い本作は、ブルーのミニドレスにパープルのタイツをはじめとした、ミニワンピースの着こなしがとても勉強になること間違いナシ。
他にも赤いパンツにフルーツ柄のTシャツ&スカイブルーのカーディガン、赤いタイツや赤いブラ……名前の通り“ルビー”色の使い方がとても上手。ミニマルな白い豪邸に住んでいたカルビンの家が、ルビーの登場と共に色づいていくのも必見。
『胸騒ぎの恋人』(2010)
ストレートのマリー(モニア・ショクリ)とゲイのフランシス(グザヴィエ・ドラン)は親友同士。ある日2人はパーティーで同じ青年ニコラ(ニールス・シュネデール)に恋をしてしまい、恋の駆け引きや片思いの苦悩、ジェラシーがない交ぜになった奇妙な三角関係がはじまる。
若き天才監督グザヴィエ・ドランが20歳の時に製作した長編2作目となる本作。監督自身が、コスチュームやアートディレクションも務めている。
ニコラの清潔感のある短髪に合わせた青いチェックのネルシャツや、ブロンドの巻き毛のフランシスがオレンジのVネックニットにカンカン帽を合わせていたりと、ファッションも可愛い。
終盤オシャレした2人がさす相合傘も愛らしい。マリーの家の四角い真っ赤な電話とフランシスの家の楕円の真っ白い電話、窓際に飾られた観葉植物や壁の照明スイッチカバーなど、おしゃれなインテリアも満載で隅々まで目を離せない。
『永遠の僕たち』(2011)
交通事故で両親を失い、臨死体験をした少年イーノック(ヘンリー・ホッパー)のたったひとりの友人は、彼だけにしか見えない青年ヒロシ(加瀬亮)。日常的に他人の葬式に参列しているイーノックは、ある日、病気で余命いくばくもない少女アナベル(ミア・ワシコウスカ)と出会う。
死にとりつかれた青年と、不治の病に侵された少女の恋を描いたガス・ヴァン・サント監督による青春ドラマ。
特筆すべきはミア・ワシコウスカ演じるダーウィンと鳥類を愛する風変わりな少女アナベル。ベリーショートだけでもキュートだけど、ファッションもすごくチャーミング。
千鳥格子柄のポンチョやゆったりしたチェックのロングコートなど、ヨーロピアンなレトロスタイルは、流行に関係なく取り入れてみたいファッション。けばけばしくなりがちなダルメシアン柄のコートを、さらりと羽織る姿は要チェックだ。
『ゴーストワールド』(2001)
高校を卒業したものの、まだ進路も決められないまま遊び呆けているイーニド(ソーラ・バーチ)とレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)。ある日、2人は新聞の出会い広告欄に載っていた中年男をからかおうと企むが、イーニドはその中年オタクのことが気になり始める。
ダニエル・クロウズのコミックを実写映画化した本作。美人でコンサバなレベッカに比べ、イーニドのとにかく個性的なファッションが目を引く。
出典元:YouTube(Movieclips)
黒髪に黒ぶちの眼鏡、青いTシャツに合わせるのはグリーンのタータンチェックのミニスカート。クラシカルな赤いワンピースには、大きな黒の円形バッグ。髪を緑に染めたらTシャツに革ジャンのパンクスタイルに。
代わる代わるキッチュなァッションに身を包み、自分が好きな、自分に合うスタイルを追い求め続けるイーニドは、格好悪くて格好いい。
出典元:YouTube(Movieclips)
『オンネリとアンネリのふゆ』(2015)
フィンランドで1960年代から愛され続けるマリヤッタ・クレンニエミによる児童文学「オンネリとアンネリ」シリーズの実写映画化第2弾。おませで仲良しの少女、オンネリとアンネリの楽しい日々を描く。
1作目の『オンネリとアンネリのおうち』では、9人兄弟の真ん中のオンネリと、離婚した父と母の間を行ったり来たりのアンネリが、2人で暮らすおうちを手に入れる。2人のおそろいファッションとインテリアは、真似したくなる可愛さ。
白と青を基調とした可愛らしいおうちの庭の樹に吊るされたオフホワイトのハンモックは、レースとタッセルがついていて、とてもキュートだった前作に引き続き、2018年11月24日から公開の本作の舞台は冬。
クリスマスも間近のある日、2人のおうちに、小さなお客様が訪れます。星型のペンダントが吊るされた部屋の中はライトクリスマスの飾りつけが施され、これからの季節に参考にしたいアイデアがいっぱい。
ニットの肩ひものエプロンや、半袖のニットの下に長袖のニットを重ね着した部屋着もとってもキュート。どれもホワイトや淡いグレーやピンク、ブルーで統一された北欧らしさが溢れる、砂糖菓子アーモンド・ドラジェのような一作。
さいごに
“オシャレ”。それは、自分自身を映す鏡。流行だろうが流行じゃなかろうが、関係ナイ。自分が心から好きなものを身につけている時のその人らしさこそが真の“オシャレ”。好きな服を着ている人はその服からも愛される。すると、本当にその服が似合う人になる。
ぜひ自分が好きなファッションを見つけて輝こう、映画の主人公のように。だって、あなたの人生の主人公は、あなたなのだから。
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