by Lord Jim

コンサルティング会社Cambridge Analyticaによる5000万人のユーザーデータの不正利用や、Androidアプリでユーザーの通話履歴やSMS履歴を収集していたことが大きな問題となったFacebookが、ライバルであるAppleやGoogleに批判的な記事を書くPR会社に接触していたと、ニューヨークタイムズが報じています。

Delay, Deny and Deflect: How Facebook’s Leaders Fought Through Crisis - The New York Times

https://www.nytimes.com/2018/11/14/technology/facebook-data-russia-election-racism.html

Facebook hired PR firm that wrote negative articles about rivals: NYT

https://www.cnbc.com/2018/11/14/facebook-hired-pr-firm-that-wrote-negative-articles-about-rivals-nyt.html

Mark Zuckerberg ordered all Facebook executives to use Android phones - The Verge

https://www.theverge.com/2018/11/14/18095729/mark-zuckerberg-order-facebook-executive-android-phones

2018年3月、ティム・クック氏はテレビ番組のインタビューで、Facebookの一件に代表されるプライバシー保護の件について語り、プライバシーの取り扱いについてAppleはFacebookやGoogleとは方針が違うことを明確に示しました。また、そのインタビューの中で投げかけられた「もしあなたがマーク・ザッカーバーグCEOだったら?」という質問に対して、クック氏は「私ならああいった状況には陥らない」と答えていました。

「もしザッカーバーグの立場だったらどうする?」との問いにティム・クックは「私はあんな状況には陥らない」と回答 - GIGAZINE



これに対してザッカーバーグ氏は、2018年4月に行われたVoxのインタビューの中で「私たちは決してユーザーを軽視しているわけではない」と語り、クック氏の批判を「馬鹿馬鹿しい」と一笑に付していました。

しかし、ニューヨークタイムズの報道によると、Facebookは「Definers Public Affairs」というPR会社に接近していたとのこと。Definers Public Affairsは「NTK Network」というニュースサイト上で、ロシアによるFacebookへの干渉の影響は軽視しながら、同時にGoogleとAppleのビジネススタイルを強く批判するような内容の記事を数十本程度書いたと伝えられています。

FacebookがDefiners Public Affairsに接近していたのは今回が初めてではなく、ロシアのフェイクアカウントに広告枠を販売していたことに対する批判を受けた後の2017年10月にも両社が接触していたことが報告されています。Facebookは、「We Get It」というキャッチフレーズで社内システムを刷新し、2018年には以前のような軌道に乗せると従業員に約束していましたが、2018年に入ってもなおFacebookへの批判は続く中、Definers Public Affairsに再び接近したとニューヨークタイムズは伝えていて、Definers Public Affairsによる一連の記事はFacebookによるメディア戦略である可能性も示唆しています。



by Maurizio Pesce

さらに、ニューヨークタイムズは、ザッカーバーグ氏がクック氏のインタビューを見て激怒し、Androidの携帯電話のみを使用するよう経営陣に命令したと報じています。The Vergeは「Androidは世界的にシェアの大きいOSであるため、結果として利にかなっている」と評価する一方で、Facebook幹部のTwitterではiPhoneから行われたツイートもあったことから、Facebookの社内はザッカーバーグ氏の命令がちゃんと実行されていない状況にあると指摘しています。