二刀流での新人王の可能性は…サーモン氏「規定打席に足りなくてもいける」

 エンゼルスの大谷翔平投手はルーキーシーズンの今季序盤戦、二刀流の活躍でアメリカでセンセーションを巻き起こした一方、右肘靭帯損傷の影響で一時は戦線離脱し、現在は指名打者としてのみ復帰を果たしている。

 当初は新人王も確実視された大谷だが、現在は打率.260、9本塁打、25打点、投手としては4勝1敗、防御率3.10という成績。ここにきて打率が下降しているが、2001年のイチロー(マリナーズ)以来となる日本人3人目のMLB新人王は誕生するのだろうか。

 エンゼルス一筋で現役時代には「ミスターエンゼル」と呼ばれたレジェンド、元外野手のティム・サーモン氏が単独インタビューに応じ、賞レースの行方を占ってくれた。

「オオタニには新人王獲得の可能性があると思う。彼は確かに故障で戦列を離れることもあった。しかし、後半戦に指名打者としてラインナップで貢献すれば十分に獲得できると思う。序盤戦の投手での貢献もあった。そうすれば、規定打席に足りなくてもいけると思う」

 1992年にメジャーデビューを果たしたサーモン氏は、2006年に現役引退するまで活躍。現在も地元テレビ局の解説者を務めている。1993年には新人王を獲得。エンゼルスで新人王に輝いた選手は、エンゼルスでは2012年のマイク・トラウト外野手と2人のみだ。

 サーモン氏はデビュー2年目の1993年シーズンに大ブレーク。打率.283、31本塁打、95打点と圧倒的な数字を残し、新人王に輝いた。

 大谷は右肘故障前に投手としての先発前後の試合は出場せず、それ以外の試合で指名打者として打席に立つのがルーティーンだった。故障前から打席数は足りなかったが、「打者・大谷」の放つインパクトは圧倒的だという。

「彼の場合はホームランは自然に生まれる。最高のスイングだよ」

「彼のパワーはクレイジーだよ。そして、あんなに美しいフルスイングを見ることは珍しいんだ。力任せに力み切ってホームランを狙う打者は多いが、彼はまったく違う。いつも通りのスイングで自然にパワーは生まれるんだ。彼の場合はホームランは自然に生まれる。彼はそういうタイプの打者だ。最高のスイングだよ。エンゼルスは今、彼の打撃を求めている。救いの部分は今マウンドに立てなくても、彼は打撃でチームに十二分に貢献できるということなんだ」

 メジャー通算1674安打、299本塁打で2002年にはエンゼルスのワールドシリーズ初制覇にも貢献した猛者のサーモン氏をもってしても、大谷の規格外のパワーとスイングの美しさはメジャーでも別格と称賛している。

 ア・リーグではヤンキースのグレイバー・トーレス内野手が打率.286、15本塁打、44打点、同じくヤンキースのミゲル・アンドゥハー内野手が打率.293、12本塁打、43打点とブレークしており、大谷の賞レースのライバルと目されている。

 だが、ピンストライプの名門で躍進する中南米コンビとは別次元で大谷は評価すべきだと、サーモン氏は語る。

「オオタニこそがメジャーの風景を一変させた男なんだ。メジャーの歴史で誰が二刀流を実現させたというんだ。彼は当然、新人王の議論の対象になってしかるべし。可能性は十分にあると思う」

 ベーブ・ルース以来、100年ぶりの偉業に挑む男はメジャーに熱狂をもたらした。数字では測りきれないメジャーへの貢献度の高さをサーモン氏は指摘。「革新家」という一面を正当に評価すべしと持論を展開していた。(Full-Count編集部)