全仏でハプニング、衝突&転倒したボールキッズに取った行動に海外ファン称賛

 テニスの全仏オープンで、まさかのハプニングが起きた。ショットがアウトになり、打ち上がったボールをキャッチしようとした選手とボールキッズが衝突。ボールキッズがコートに倒れ込んだが、選手本人が咄嗟に抱きかかえ、励まし続け、会場も喝采となったシーンを海外メディアが動画付きで公開。「選手の誰もがボールボーイを思いやれるものではない」「真のスポーツマンシップだ」などと称賛を呼んでいる。

 まさかのシーンが起きたのは、1日の男子シングルス3回戦、アレクサンダー・ズベレフ(ドイツ)―ダミル・ジュムール(ボスニア・ヘルツェゴビナ)だった。

 ジュムールが2-1とリードして迎えた第4セット、0-1の第2ゲームだった。繰り広げられた速いラリー。ズベレフのフォアハンドがわずかにオーバーしてアウトになり、ジュムールはラケットに当てたが、打球は自陣に高々と舞い上がった。いったんプレーが切れたため、ジュムールはボールを見上げたまま、小走りで落下地点に入り、素手でキャッチしようとした次の瞬間だった。

 これをネット脇にいたボールキッズもキャッチしようと駆け寄っていたのだ。両者ともにボールを見上げていたために気づかずに衝突。ボールキッズは弾みでコートに倒れ込んでしまった。頭を押さえて横たわった少年。一瞬、騒然となった会場も静まり返ってしまった。すると、すぐに動いたのはジュムール本人だった。

最後は少年とハグ、ファン反響「選手の誰もが思いやれるものではない」

 関係者が駆け寄る先に抱きかかえるようにして上体を起こすと、無事を確認するように何度も声をかけた。少年が大丈夫と何度か頷くと会場から拍手が沸き起こった。そして、立ち上がった少年に対し、さらに声をかけ続け、励ましている様子。最後はゆっくりとした足取りで立ち去る少年を後ろからハグし、送り出した。

 幸いにも怪我はなく、試合中にもかかわらず、咄嗟の行動を見せたジュムールと勇敢な少年に対し、会場から喝采はしばらく鳴りやまなかった。一部始終をオーストラリア放送局「SBS」は公式ツイッターに動画付きで紹介。さらに「テニスチャンネル」「米ヤフースポーツ」も同様に映像を公開し、それぞれファンから称賛のコメントが相次いだ。

「完全なアクシデント、誰も悪くない。ジュムールはとても丁寧に行動した。男の子が大丈夫だといいけど」
「新しい大好きなプレーヤー!」
「これは見られて良かった。選手の誰もがボールボーイを思いやれるものではない」
「真のスポーツマンシップ」
「プロのようにボールに貪欲だったね」
「アウチ、実際に音が聞こえるわ」

 心優しい一面を見せたジュムールだったが、結局、第4、第5セットを落とし、格上のズベレフを追い詰めながら逆転負けを喫してしまった。それでも、勝負をかけた大一番で演じた振る舞いはファンの心にしっかりと刻まれた。(THE ANSWER編集部)