人気アーティストが誕生するキッカケといえば、かつては路上ライブやレコード会社への持ち込みが多かっただろう。しかし、若者のあいだにもインターネットが浸透し始めた10年ほど前から、ニコニコ動画やYouTubeといった「動画サイト」を味方につけ、一気にその名を轟かせる者が増えている。

ライブドアニュースでは、インターネットにルーツを持ち、その文化と共存する4組にインタビュー。メジャーデビューまでの経緯やその後の活躍をたどり、インターネットと音楽の親和性を紐解いていく。

第3回は、CHiCO with HoneyWorksのCHiCOにインタビュー。ミュージックビデオ総再生回数2億回以上を誇る、「CHiCO with HoneyWorks」のボーカルだ。彼女はデビュー後、どのようにインターネット上で人気を獲得していったのだろうか。

取材・文/江尻亜由子

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デビュー前から、「歌ってみた」動画に興味があった

ライブ以外の場所では顔を明かしていないCHiCO。デビューのキッカケである「ウタカツ!オーディション」に応募した経緯を、よく通るまっすぐな声で語ってくれた。
「ウタカツ!」にはお友達の勧めで応募されたとのことですが、そのときから「グランプリをとってデビューへのチャンスにつなげたい!」という気持ちだったのでしょうか?
そうですね。高校生の頃から、アニソン系のオーディションを何回か受けていました。でも書類審査落ちが多かったんですけど。そのまま学年が上がって進路を考える時期になって、親もだんだん心配になったらしく(笑)、ずっと「進路どうするの?」と言われ続けていました。私も、このオーディションが最後なんだろうな、と感じながら「ウタカツ!オーディション」に応募しました。
これでダメなら諦めよう、みたいに?
もし落ちていたとしても、きっと別のオーディションを受けていたとは思うんですけど(笑)。気持ち的に「これに落ちたら、可能性はないんだろうな」と感じていました。
オーディションに受かるために、何か新たに工夫されたことはありますか?
音源を2曲提出できたので、「2曲にギャップがあったほうがいいのかな?」とか考えて、カッコいいアップテンポの曲と、ゆっくりめのバラードの2曲で応募しました。
高校時代はボーカルトレーニングに通われていたとも伺いましたが。
はい。知り合いに紹介してもらって、高校3年間ずっと通ってました。
デビュー前に、ニコニコ動画に「歌ってみた」動画を投稿しようと考えたことはなかったのですか?
興味はとてもあったんですけど、投稿はしていませんでした。学生の頃から、ニコニコ動画が大好きでよく見ていたんです。ryoさんの『ブラック★ロックシューター』から始まって、『男女』とか(笑)。ニコニコ動画は学生時代の一部というか、欠かせない存在でした。今も1回見ちゃうと、3〜4時間は見てる気がします。関連動画を見始めると、あっという間に時間が経っています。
そうなんですね。
そこから「MAD」(※既存の音声・画像・動画などを再構成した動画)を見たり、ボカロや「歌ってみた」の存在を知りました。そのうちに、有名な歌い手さんたちがステージで歌うイベントの動画を見たんです。それで、私もニコニコ動画に歌をあげれば、いつかこういうステージで歌えるんだと知って、自分でもあげてみたいと興味はあったんですけど…。
学生の頃、校則でアルバイトが禁止だったんです。やっぱり音楽を投稿するために必要な音楽機材が集められなくて。歌うマイクも何がいいのかわからないし、インターフェイスやパソコンを揃えて…っていうと、すごくお金がかかるので「あ、無理だ〜」って思ったのを覚えてます。それで、私はオーディションでチャンスを掴もうと思ったんです。

HoneyWorksとデビュー。「私でいいの?」という気持ちも

では、いざ「ウタカツ!」でグランプリを取った後、HoneyWorksの皆さんとユニットを組んでデビューすると知って、どう思いました?
実はHoneyWorksの曲はたくさん聴いていたし、知ってもいたんですけど、HoneyWorks自体はよく知らなかったんです。
そうだったんですね!
「HoneyWorksと一緒にコラボユニットとしてデビューします」と聞いて調べてみたら、『ラズベリー*モンスター』『竹取オーバーナイトセンセーション』という曲を見つけて、「あ、これがHoneyWorksだったんだ!」ってわかったんです。
いざデビューとなると、不安を感じることはありませんでした?
私でいいのかな、とは思いました。とてもうれしかったんですけど、いまいちデビューした自分を想像できなくて…(苦笑)。
最初は、グランプリを取ったら顔出しでデビューするつもりでオーディションに挑まれたと思うんですが、イメージイラストで行くよ、と言われたときの気持ちは?
そんなに抵抗もなく…ニコニコ動画の方は顔出ししないパターンも多いから、「そういうスタイルなんだな」とすんなり受け入れられました。とくに疑問も感じませんでした。むしろ「私の絵、描いてもらえるんだ♪」って楽しみな気持ちでした。しかもヤマコさんの個人の活動も見ていたので、「あんな有名な方に描いてもらえるなんて!」と思いました。
では、イメージイラストを見たときの印象は?
あくまでCHiCOというキャラクターのイメージイラストだから、私自身の似顔絵ではないですけど、自分を絵にしてもらうのは初めてだったので、うれしかったです。最初のイラストはちょっとクールな感じで自分とは少し違って、すごくカッコいいなと思いました。「あぁ、CHiCO with HoneyWorksでの私って、こういう感じなのか」と認識できた気がしました。
自分のファッションが、イラストの影響を受けることもありますか?
洋服は回を重ねるごとに似てきたなとは感じています。MA-1のジャケットを着たり、黒いブーツを履いている絵があるんですけど、私、似たデザインのものを持っているんです。そういう共通点が、どんどん増えてきてる気はします。
最近はライブでいろんな衣装を着させてもらったりするので、自分の中でも着たい服のレパートリーが増えてきています。それがリアルタイムでイラストに反映されていたりするんです。前に私が「メガネ欲しいんですよね」って言ったら、その後のイラストではメガネをかけていて「おや!?」ってなったり(笑)。

最初は顔も見られず…“ハニワ”メンバーの第一印象

HoneyWorks(通称:ハニワ)のメインメンバーは、作・編曲を担当するGom、shitoのふたりと、イラストを担当するヤマコの3人。彼らのエピソードを話すCHiCOの表情は、とても楽しそうだ。そこからは、これまでの4年間で培われた、彼らへの深い信頼感がうかがえた。
HoneyWorksメンバーと初めて会ったときのことを、教えてください。
グランプリをいただいた2日後にお会いしました。HoneyWorksさんのお家で仮歌を入れる作業をするので、お邪魔させていただいたんです。私の中では、「ニコニコ動画で活躍している方々」で、しかも漠然としか知らないときだったので、すごく緊張したのを覚えてます。テレビの前のソファに私、Gomさん、ヤマコさんの3人で並んで座ったんですけど、全然顔が見れなくて(笑)。
Gomさんが「オーディションどうだった?」とか聞いてくれるんですけど、私は(一瞬だけ横を見て)「あ、緊張しました!」って一言言うのが精一杯でした。ちらっとおふたりの顔を見ては、あとはずっと正面の本棚を見つめるという(笑)。
緊張感が伝わりますね。
マネージャーさんも、テレビの横にあるツムツムの人形とかを見て話題をたくさん振ってくれたんですが、私はツムツムをやってなくて…(苦笑)。
裏目、裏目に…(笑)。
緊張してるから「あっ、はい…」としか言えず。そんな「はじめまして」をしました。もう、今は大丈夫ですけど。
もう4年経ちますからね(笑)。メンバーそれぞれの第一印象は?
ヤマコさんはアニメ好きな方で、『進撃の巨人』がちょうど放送されていた時期でもあったので、「そういえば、『進撃』好きなんでしょ?」って、スッとオタクの心に入ってきてくれました(笑)。同性というのもあったのか、一番話しやすかった記憶があります。
Gomさんとshitoさんについてはどうですか?
Gomさんとは、お互いに緊張している感じでした。shitoさんは相槌を打つタイプで、Gomさんが質問してくれて、私が「○○なんです」って答えたら、shitoさんが「へぇー! そっかぁ!!」って感じでした。
HoneyWorksの皆さんも、「彼女には何を聞いたらいいんだろう」と、探り探り質問してくれてる感じでした。私も普段は、学校の先生以外の大人の方と一緒になることがあんまりなかったので、「大人の人や…!」ってビクビクしながらしゃべってました。
そこから4年間一緒に活動してきて、皆さんの印象はどう変わりました?
shitoさんは、歌やレコーディングに対してはスパルタな、体育会系の人なんです。現場ではムードメーカーで、「よし、がんばっていこう!」と盛り上げてくれますね。
スパルタというのは、「もう一回歌ってみようか」みたいな?
そうですね。Gomさんは様子を伺ってくれて「ちょっと休む? 行けそうだったら次行くけど、どう?」という感じなんですけど。shitoさんは「どう、キツい? 行ける? よしっ、調子出てきてるからもう一回行ってみよう!」みたいな(笑)。

苦戦するあまり大号泣。『世界は恋に落ちている』レコーディング秘話

2014年のデビュー曲『世界は恋に落ちている』はアニメ『アオハライド』のOPテーマとなり、YouTubeでは4500万回を超える再生数を誇るほどの大人気(※数字は6月上旬時点)。 リリースから4年経った現在も支持される代表曲だが、そのレコーディングには涙のエピソードがあった。
デビュー曲『世界は恋に落ちている』については、どんな思い出がありますか?
カッコいい系の曲が好きなので、『世界は恋に落ちている』みたいにかわいい曲はあんまり歌ったことのないジャンルだったんです。なので、仮歌を録るときもすごく苦戦しました。アニメの主題歌ではアニメバージョンとフルで合計2回、仮歌を入れるんですが、『世界は恋に落ちている』だけは5、6回くらいは録りました。
どのあたりで苦戦されたんですか?
ニュアンスの入れ方、感情の込め方です。アップテンポな曲は勢いで歌うことが多かったので、「ここで感情を入れる」とか「悲しく歌う」とか、あまりしてこなかったんです。
難しそうですね…。
「ここで悲しくなって、ここからは明るくなって」とか、「ここは吐息多めな感じで」とか、全部初めて言われたことでした。あまりに苦戦したので、初めての仮歌の後にHoneyWorksの中で会議があったらしいです。「あの子で大丈夫か!?」って(笑)。
えー!! 仕上がりの楽曲を聴くと、とてもそんなふうには思えませんけども。
けっこうボロボロだったから、「ちょっとヤバいぞ」と思ったそうです。Gomさんから「この人の歌のニュアンスが理想に近いから、この部分を聴いて練習してきて」と参考曲を渡されたりしました。大変でした…。何もかもが初めてだったこともあって、全部が難しかったです。
その後のレコーディングはスムーズに?
3月に仮歌をやった後、みっちり練習して6月に行ったんですけど、初めてのレコーディングなので、これがまた、ものすごく緊張して…。密閉された空間でコンデンサーマイクが目の前にぶら下がってて、ヘッドホンで自分の声を聴きながら歌うのも初めてだったし、ガラス越しの向こうでは大人がいっぱい見ていて、とにかく緊張しまくりでした。
うわぁ…。たしかに、聞くだけで緊張しそうな状況ですね。
レコーディングブースの中に一日中いました。お昼の11時に始まって、帰ったのは終電でした。ディレクターさんが「今の良かったけど、どう?」って聞いてくれるんですけど、歌ってるうちに、もう何が正解かもわからなくなってしまったんです。
私はAの部分を直したいけど、ディレクターさんはBを録り直してほしい、みたいに意思疎通がうまくできなくて、何回も何回も録り直しました。なので、夕方くらいにそれが溜まってパンッて弾けて、大泣きしました。もう、“えづき泣き”ですね(笑)。
えづき泣き…!! ますますパニックになってしまいそうですね。
大パニックでした! (静かに)ヘッドホンをスルッて取って、くずれ落ちて、泣き始めてしまったんです。Gomさんやshitoさん、マネージャーさん、プロデューサーさんたちみんなが「どうした!?」ってビックリしていました。
もっとソツなく、順調にこなしていらしたのかと思ってました。
もう全然です。全部悪く聴こえてきちゃう負のループが、自分の中でずっとぐるぐるしていました。それが初めてのレコーディングです。忘れられないですね。
無事に終わって、完成した曲を聴いたときはどんな気持ちでした?
レコーディングの様子を思い出して、口の中が苦くなりながら(笑)、でも、完成した曲を聴いたときはとても感動しました。その後、TVアニメ『アオハライド』のオープニングで流れるのを見て、「がんばって良かった!!」って思えました。
放送が始まってからもずーっと、毎週Twitterでみんなの反応を見ていました(笑)。「初めて聴いたけど、すごく素敵ですね」とか、励ましのコメントをたくさんもらえたので、本当にオーディション受かって良かったな、デビューできて良かったな、と改めて思いました。『アオハライド』のオープニングテーマを担当させていただいて本当に嬉しかったです。
動画サイトに投稿され、ぐんぐん再生数が伸びていくのを見てどう思いましたか?
もう、あまりにも数が大きすぎて「スゴい」しか言えなかったです。自分で動画を投稿したことがないので、体が震える、みたいな感覚がよくわからなくて。あまりに規模が大きすぎて、再生回数の数字に麻痺していく感じでした(笑)。

自分の頃と比べると…今の若者の恋愛は「とてもオープン」

HoneyWorksの楽曲は、とても胸キュンな世界観ですよね。CHiCOさんご自身は、こういう曲風について思うことは?
「恋愛ソングをたくさん歌ってますけど、こういう経験あるんですか?」ってよく聞かれるんですけど、私自身にはビックリするくらいないです(笑)。どっちかというと少女マンガとかを読んで、そういう世界観に憧れる学生生活でした。だから毎回HoneyWorksの曲を歌うときは、共感より憧れをもっているんです。
というと、好きな人がいてもアタックできなかったり?
それこそアニメ好きだったり、趣味の合う先輩にドキドキしたりとかはしましたけど、「この人、好きかも」って思ったらもう、顔が見れなくなっちゃうんです(笑)。
マンガやアニメがお好きということで、このキャラがお気に入りというのはありました?
ありました! 『君に届け』のアニメやマンガが超流行っていた頃で、「風早くん」がお気に入りでした(笑)。
ご自身の歌を通じて、今の中高生の恋愛事情に触れることも多いと思います。LINEで告白したりカップル動画を投稿したり、きっとCHiCOさん世代ともかなり違いますよね。
今の子たちは、すごくオープンな感じがします。私たちが学生の頃は「付き合ってるんだ」って言うのも恥ずかしいし、できたとしてもプリクラくらいだった気がします。でも今の子たちって、「見て見て!」という感じで記念日動画を投稿したり…、スゴいと思います!
SNSを活用してますよね。
そうですね。『世界は恋に落ちている』をそういう動画のBGMにしてくれたり。「そっかぁ、私たちの曲、そういうふうに使ってくれるんだ」と考えると、本当に「ありがとう!」って思います。街中で学生のカップルを見かけると、「チコハニ聴いてね!」って思ってます(笑)。
HoneyWorksの皆さんは、楽曲を作るにあたって、そういう中高生の恋愛事情リサーチもされているんですか?
Gomさんとshitoさんは「今、何が流行ってるか?」とリサーチしてるみたいです。詞曲を作っているのが女性陣ではなくお兄さんふたりなんですけど、あれだけキュンキュンさせられるっていうことは、すごくリサーチ力が高いんだと思います(笑)。とくにshitoさんは、少女マンガが大好きなので。
スパルタで盛り上げ役で、少女マンガ好き…。
shitoさんはHoneyWorksの中でも、少女マンガが好きな方みたいです。もともと『ストロボ・エッジ』(集英社)を読んでいて、(同じ咲坂伊緒さん原作の)『アオハライド』もすごく好きだから、チコハニのデビュー曲がそのオープニングに決まってめちゃめちゃうれしかった、とおっしゃっていました。
そんなshitoさんの少女マンガ好きに感化されていくGomさんたち、みたいな(笑)。毎回曲をいただくたびに、「女子の私でさえ、こういう感情気づかなかったー」ということが描かれているんですよね。

CDを手にとってからのワクワク感を、10代にも届けたい

今はCDが売れない時代と言われますが、CHiCOさんは普段CDを買いますか? それとも配信派?
CD、買います。逆に配信はあんまり買ったことないです。ガラケーのときにはフルバージョンとか1分半バージョンとか買ってたんですけど、WALKMANとかを使うようになってからは、ずっとCDを買っています。ジャケットが好きなんです。
やっぱり、実体のあるアイテムとして欲しいですよね。
そうなんです! 結局WALKMANとかに入れちゃうと、あんまりジャケットも開かなくなっちゃうんですけど、お店でCDを手に取って、お会計して、「よぉし、聴くぞー!」っていう過程がすごく楽しくて好きです。じっくり見るのが好きだから、ジャケットや歌詞カード、盤面のデザインもじっくり、スミからスミまで見ています。
ファンには若者が多いと思いますが、自由に使えるお金が少ない世代もCDを買いたくなるような工夫はありますか?
CDの魅力はもちろん、パッケージの魅力も見つけてもらえたらいいな、という気持ちがあるので、リリースさせてもらうときは毎回ギミックにこだわっています。ジャケットからCDの円盤を外すとじつはハートが描かれてて、歌詞カードとつながってるんだよ、とか。そういうことは、スタッフさんもすごく考えてくれてますね。
それはパッケージならではの楽しみですね! では、テレビは普段から見ていますか? 最近は、テレビを見ないけれど動画サイトなら毎日チェックしている!という人も増えています。
私もテレビはニュースくらいしか見ないです。暇なときは、ネットで動画を見ていることが多いです。何回も繰り返し見れるのが、ネット動画の魅力ですよね。最近、Twitterで「CHiCOちゃんの曲が流れてましたよ!」と教えてもらうこともあるんです。テレビ番組でチコハニの曲を使ってくれることもあるみたいで、その番組はチェックしています。
私達のミュージックビデオをネット動画で何回も見てくれてるのも、そうやってテレビの番組で取り上げていただくのも、どちらもすごくうれしいです。両方とも、さらに盛り上がってくれたらいいな、と思ってます。

3月の武道館ライブでは、不安や怖さとサヨナラできた

今年3月には初の武道館ワンマンライブを開催。順風満帆な道のりに思えるが、それまでのCHiCOは「ライブを楽しむ」ことよりも、別の思いにとらわれていたという。3月のライブで、何が変わったのか。心境を紐解く言葉からは、彼女の責任感の強さが感じられた。
普段は顔出しせず謎めいた存在のCHiCOさんですが、ライブでは直接ファンと対面して、一気に距離が近づきますよね。それって、どんな感覚なんでしょうか?
普段、プロモーションやジャケット、ミュージックビデオなどで顔出しをしていないのもあって、ライブを見に来る人達は初めて私を見るんだなぁと思って、来てくださったお客さんたちに対して、「この人たちに、私はどう見えてるんだろう」っていう怖さがありました。
なかなか、自分が楽しもうというところまで行かない感じだったんですね。
そうなんです。もう、いっぱいいっぱいでやっていました。もちろん楽しい瞬間はたくさんあるんですけど、せっかくみんながお小遣いを使って、お休みをもらってライブに来てくれてるから、「ちゃんとやらなくちゃ!」っていう気持ちがずっと強かったです。だから、いろいろな方にアドバイスをもらったり、少し慣れてからも、ちょっと心が折れたときには反省会をしたりしていました。
心が折れたとき?
たくさんライブをさせていただいて、いろんな方に自分の存在を知ってもらえたときに、あまりにも必死になりすぎちゃって、「私はこんなにがんばってるのに!」と、バーッと1回爆発しちゃったときがあるんです。
視野が狭くなってしまったというか。
そうです。その時期は、今考えるとバンドメンバーのありがたみも見えなくなっちゃっていました。自分の気持ちを伝えるのが、ホントに苦手なんです。ただ、メンバーやスタッフさんと話をしていって、少しずつ自分の考え方が変わってきたんです。今年の武道館公演ではいろいろと自信がつくことがあって、心からライブが楽しいと思えるようになりました。
どんなキッカケがあったのでしょうか?
武道館いっぱいのお客さんを見て、ふと今まで考えてきたマイナスのことが、バカらしく思えてきたんです。そのライブでは、皆さんにギターをお披露目する機会があって、初めての挑戦をしている中、ものすごく緊張してたんですが、ステージからたくさんのお客さんを見て、「こんなにたくさん応援してくれる人がいるじゃん!」っていうことを、今さらちゃんと実感できたんです。
がんばってきたことが、やっと自分の中で腑に落ちたんですね。
何かストンと視界が開けた気がします。100%上手くは弾けなかったですけど、「すごくカッコよかった」って言ってくれる方々がいたり、初めてギターを弾くにあたって、バンドメンバーと音楽を通してのコミュニケーションができたんです。
音楽を通してのコミュニケーションとは…?
これまで、「ドラムのリフが1個多いよ」とか、バンドメンバーどうしの会話はあったんですけど、私はボーカルだからちょっと違うじゃないですか。でも今回、ギターに挑戦するにあたって「こーちー(CHiCOさん)、いつもここで遅れるから、誰々の音を聴いてたほうがいいよ」とアドバイスをもらったりしました。
そこで初めて、メンバーと音楽についてのコミュニケーションをとれた気がしたんです。もともとメンバーからしたら、コミュニケーションを取ってくれていたんですけどね。改めて気付かされた感じです。自分の中の意識が、すごく変わりました!
ではこの夏の全国ホールツアーをはじめ、これからのライブ活動が楽しみですね!
はい! きっと武道館みたいに楽しいライブができるんだろうな、と自信がつきました。あと、イベントライブなどに呼んでいただけるときは、アピールの場だとも思って、目一杯想いを届けるように意識しています。
アピール、ですか?
ときどき、「チコハニのライブは若い子が多いから、おじさんにはちょっと無理だわ」みたいなツイートを見かけるんです(笑)。でも、いろんな曲があるし、「そんなことないんだよ」って言えるようなキッカケが作れればいいなと思っています。だからいろんなイベントで、私より上のお兄さん、お姉さんにも「どう? カッコいいでしょ!!」ともっとアピールしていきたいです。
CHiCO(ちこ)
2013年、アニソンとボカロに特化した歌手オーディション『ウタカツ!』で第1回のグランプリを受賞。HoneyWorksとのコラボユニット「CHiCO with Honeyworks」として、2014年8月に『世界は恋に落ちている』でデビューする。2015年11月に初アルバム『世界はiに満ちている』をリリースし、2016年に初のワンマンライブ、ホールライブ、ライブハウスツアーを開催。2018年3月には初の日本武道館ワンマンライブを成功させる。7月からは、全国8ヶ所でのホールツアーが開催予定。9thシングルは、テレビ東京系TVアニメ『銀魂』銀ノ魂篇のエンディングテーマに決定。

サイン入り色紙プレゼント

今回インタビューをさせていただいた、CHiCOさんのサイン入り色紙を抽選で3名様にプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。

応募方法
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受付期間
2018年6月15日(金)12:00〜6月21日(木)12:00
当選者確定フロー
  • 当選者発表日/6月22日(金)
  • 当選者発表方法/応募受付終了後、厳正なる抽選を行い、個人情報の安全な受け渡しのため、運営スタッフから個別にご連絡をさせていただく形で発表とさせていただきます。
  • 当選者発表後の流れ/当選者様にはライブドアニュース運営スタッフから6月22日(金)中に、ダイレクトメッセージでご連絡させていただき6月25日(月)までに当選者様からのお返事が確認できない場合は、当選の権利を無効とさせていただきます。
キャンペーン規約
  • 複数回応募されても当選確率は上がりません。
  • 賞品発送先は日本国内のみです。
  • 応募にかかる通信料・通話料などはお客様のご負担となります。
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